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ストレスマネジメントとは?仕事のストレスを軽減するセルフケアと相談窓口

仕事や日常生活でストレスを感じるのは、特別なことではありません。しかし、過度なストレスは心身に不調を引き起こすため、自身でコントロールすることが大切です。この「ストレスと上手に付き合っていくための技術や方法」がストレスマネジメントです。本記事では、ストレスマネジメントの基本から、すぐに実践できる具体的なセルフケア、そして一人で抱えきれない時に頼れる相談窓口まで、網羅的に解説します。ストレスの原因は人それぞれですが、その正体を知り、自分に合った対処法を見つけることで、心の負担は大きく軽減できます。この記事が、あなたがストレスとのより良い向き合い方を見つけ、健やかな毎日を送る一助となれば幸いです。

ストレスマネジメントとは?基本的な概念を知る

ストレスと上手に付き合うためのスキル

ストレスマネジメントとは、ストレスをなくすことではなく、ストレスと上手に付き合っていくための知識やスキルを身につけ、実践することを指します。ストレスの原因(ストレッサー)を管理し、それによる心身の反応(ストレス反応)を和らげることが目的です。自身のストレス状態にいち早く気づき、適切な対処法(コーピング)を知ることで、心の健康を維持し、仕事や私生活のパフォーマンス向上に繋がります。これは、心の「健康管理術」とも言えるでしょう。

ストレスの正体とは?心身に影響を与える刺激と反応

一般的に「ストレス」はネガティブなイメージですが、本来は外部からの刺激によって心や体に生じる反応全般を指す、中立的な言葉です。

「良いストレス」と「悪いストレス」

ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」の2種類があります。

良いストレス(Eustress)
適度な緊張感や心地よいプレッシャーです。集中力を高め、仕事のパフォーマンス向上や、目標達成へのモチベーションになります。スポーツの試合前の高揚感などがこれにあたります。
悪いストレス(Distress)
過度なプレッシャーや、長期間解決されない問題です。心身の許容量を超え、さまざまな不調の原因となります。一般的に問題視されるのはこちらのストレスです。

重要なのは、ストレスをゼロにするのではなく、 悪いストレスを減らし、良いストレスを活力に変えていくことです。

ストレスの原因「ストレッサー」の種類と具体例

ストレスの原因となる外部刺激を「ストレッサー」と呼びます。ストレッサーは主に以下の種類に分類されます。

ストレッサーの種類 説明 具体例
物理的ストレッサー 温度、光、音など物理的な環境からの刺激 ・暑さ、寒さ
・騒音
・人混み、満員電車
化学的ストレッサー 公害物質、薬物、酸素の欠乏など化学的な物質による刺激 ・タバコの煙
・アルコール
・排気ガス
心理・社会的ストレッサー 人間関係や仕事上の問題など社会生活の中で生じる精神的な刺激 ・仕事のプレッシャー
・職場や家庭の人間関係
・将来への不安

特に現代社会で働く人にとっては、 心理・社会的ストレッサー が最も大きな影響を与える要因となるケースが多く見られます。

ストレスによって起こる「ストレス反応」の種類

ストレッサーによって引き起こされる心身の変化を「ストレス反応」と呼びます。主に「心理面」「身体面」「行動面」の3つの側面に現れます。自身のストレスサインに気づくため、どのような反応があるか知っておきましょう。

心理面の反応

  • 活気がなく、気分が重い(抑うつ気分)
  • 理由もなく不安で落ち着かない(不安感)
  • ささいなことでイライラする、怒りっぽくなる(易怒性)
  • 楽しめていたことへの興味や関心がなくなる
  • 集中できない、思考力が低下する

身体面の反応

  • 頭痛、肩こり、腰痛などの体の痛み
  • 目の疲れ、動悸、息切れ
  • 食欲不振または過食
  • 胃腸症状(吐き気、腹痛、便秘、下痢)
  • 寝付けない、夜中に目が覚める(不眠)

行動面の反応

  • 仕事でのケアレスミスが増える
  • 遅刻や早退、欠勤が増える
  • 飲酒や喫煙量が明らかに増える
  • 人との交流を避けるようになる
  • 身だしなみに構わなくなる

これらのサインは、心と体が発しているSOSです。一つでも当てはまる状態が2週間以上続く場合は注意が必要です。

働く人のストレスの主な原因は?【最新データ】

厚生労働省が実施した最新の調査結果から、働く上で何がストレスの原因になりやすいかを見てみましょう。

仕事のストレス要因トップは「仕事の量」

厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活で、強いストレスを感じる事柄がある労働者の割合は82.2%に上ります。多くの人が、何らかのストレスを抱えながら働いていることがわかります。中でも、ストレスの原因として挙げられた上位の項目は以下の通りです。

順位 ストレスの内容 割合
1位 仕事の量 42.5%
2位 仕事の失敗、責任の発生等 34.1%
3位 仕事の質 32.9%
4位 対人関係(セクハラ・パワハラを含む) 25.9%
5位 役割・地位の変化等 20.6%

この結果から、 業務の量や質、それに伴う責任の重さ が、働く人にとって大きなストレス源となっていることが読み取れます。また、 対人関係 も依然として大きなストレス要因です。

今日からできる!ストレスマネジメントの具体的なやり方とセルフケア

ストレスに対処するには、まず自身のストレス状態に気づき(セルフモニタリング)、状況に応じた対処法(コーピング)を実践することが重要です。

Step1:セルフモニタリングで自分の「ストレスの癖」を把握する

セルフモニタリングとは、自身の心や体の状態、行動を客観的に観察し、記録することです。自分が「いつ」「どのような状況で」「どんなストレスを感じ、どう反応するのか」というパターンを把握することが第一歩です。これにより、危険な状況を避けたり、早めに休息をとったりといった対策が可能になります。

セルフモニタリングの実践方法

日記やメモ、アプリなど続けやすい方法で、以下の4項目を記録してみましょう。

出来事
いつ、どこで、誰と何をしていたか?
感情
その時、どんな気持ちになったか?(例:焦り、不安、イライラ)
身体の変化
体にどんな変化が現れたか?(例:頭痛、肩こり、動悸)
行動
その後どう行動したか?(例:コーヒーを多飲、黙り込む)

「今ストレスを感じたな」と思った時に書き留めるだけでも、多くの気づきが得られます。

「ストレスチェック制度」も有効な自己分析ツール

セルフモニタリングと合わせて活用したいのが、ストレスチェック制度です。労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場で年に1回の実施が義務付けられています。質問票に回答すると、自身のストレスレベルや原因などが客観的なデータとして通知されます。結果は本人の同意なく事業者に知られることはないため、安心して受検できます。自身のストレス状態を客観的に把握し、セルフケアにつなげる良い機会です。

Step2:効果的な「ストレスコーピング」で対処する

ストレスコーピングとは、ストレスの原因や、それによる不快な感情・身体症状に意図的に働きかけ、ストレスを軽減しようとする対処行動です。コーピングには大きく2つのタイプがあります。

①問題焦点型コーピング(原因解決アプローチ)

ストレスの原因そのもの(ストレッサー)に直接働きかけ、問題を解決・改善しようとするアプローチです。「仕事量が多すぎる」というストレスに対し、上司に相談して業務量を調整する、仕事の進め方を見直す、同僚に協力を依頼する、といった行動がこれにあたります。自身の行動で状況を変えられる可能性がある場合に有効です。

②情動焦点型コーピング(気分転換アプローチ)

ストレッサー自体をなくすことが難しい場合に、それに対する自分の考え方や感じ方(ストレス反応)に働きかけて、気分を楽にするアプローチです。「職場の人間関係がうまくいかない」といったストレスに対し、信頼できる人に話を聞いてもらう、趣味に没頭する、スポーツで汗を流す、考え方を変えてみる、といった行動がこれにあたります。

どちらが優れているということではなく、 状況に応じて両方を使い分け、多くの対処法(レパートリー)を持つこと がストレス対応力を高める鍵です。

今日から使える!ストレスコーピングの具体例リスト

リラクゼーション系(心身を落ち着かせる)

  • 腹式呼吸:場所を選ばず手軽にできます。鼻からゆっくり息を吸い、口から時間をかけて吐き出します。
  • 瞑想・マインドフルネス:「今、ここ」に意識を集中させます。5分程度の短い時間からでも効果的です。
  • 入浴:38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かり、リラックスします。
  • 音楽鑑賞:心地よいと感じる音楽を聴きます。

運動系(体を動かして発散する)

  • ウォーキング・ジョギング:リズミカルな有酸素運動は、気分を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促します。
  • ストレッチ・ヨガ:凝り固まった筋肉をほぐし、心身の緊張を和らげます。

生活習慣系(心と体の土台を整える)

  • バランスの取れた食事:1日3食、規則正しく食べることが基本です。セロトニンの材料となるトリプトファン(肉、魚、大豆製品など)やビタミン、ミネラルを意識しましょう。
  • 質の良い睡眠:心身の疲労回復に不可欠です。毎日同じ時間に寝て起きる、寝る前のスマホを控えるなどで質を高めましょう。

職場全体で取り組むべきストレスマネジメントとメンタルヘルスケア

個人のセルフケアだけでは、ストレス問題の根本解決は困難です。従業員が安心して働ける環境の整備は、企業の重要な責任であり、生産性向上にも直結します。

企業に求められるメンタルヘルスケアの取り組み

企業には、労働契約法に基づき、労働者の安全に配慮する義務(安全配慮義務)があり、これには心の健康(メンタルヘルス)を守ることも含まれます。

①教育研修・情報提供による意識向上

セルフケア研修
従業員がストレスに気づき、対処するための研修。
ラインケア研修
管理監督者(上司)が、部下の変化に早期に気づき、適切に対応するための研修。
情報提供
社内報やポスターなどで、メンタルヘルスに関する情報や相談窓口を継続的に周知する。

これらの取り組みは、職場全体でメンタルヘルスへの理解を深め、不調時に相談しやすい雰囲気を作る上で重要です。

②職場環境そのものの改善

長時間労働の是正
勤怠管理を徹底し、過重労働を防ぐ。
ハラスメント対策
相談窓口を設置し、防止規定を策定・周知する。
円滑なコミュニケーションの促進
定期的な面談の実施など、風通しの良い職場づくりを推進する。
障害への合理的配慮
障害のある従業員に対し、特性に応じた業務内容の調整や環境整備を行うこともストレス軽減に繋がります。

もう一人で悩まない!ストレスで困った時に頼れる相談窓口

セルフケアを試しても改善しない場合や、一人で抱えきれないほどの強いストレスを感じる場合は、専門家や第三者に相談することが重要です。

まずは社内の相談窓口を活用しよう

多くの企業には、従業員のための相談窓口があります。

産業医・保健師
医学的な立場から専門的なアドバイスがもらえます。
人事労務部門の担当者
労働条件や職場環境に関する相談ができます。
社内カウンセリングルーム
専門のカウンセラーに相談できます。
信頼できる上司や同僚
話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になることもあります。

無料で利用できる公的な相談窓口と支援機関

社内で相談しにくい場合も、無料で利用できる公的な相談窓口があります。秘密は厳守されます。

相談窓口の名称 主な相談内容・特徴
こころの耳(厚生労働省) 働く人のメンタルヘルス不調全般について、電話・SNS・メールで相談が可能。
総合労働相談コーナー(各都道府県労働局) 労働問題に関するあらゆる分野の相談に対応。面談や電話相談が可能。
地域の精神保健福祉センター こころの健康に関する専門機関。本人だけでなく家族からの相談も可能。
ハローワーク 仕事探しだけでなく、職業生活上の悩みも相談可能。「障害者専門窓口」では、障害特性に配慮した相談ができます。

医療機関(精神科・心療内科)の受診を検討するタイミング

心身の不調が2週間以上続き、日常生活や仕事に支障が出ている場合は、専門の医療機関の受診を検討しましょう。

  • よく眠れない、疲れがとれない
  • 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
  • 何をしても楽しくない、興味がわかない
  • 気分がひどく落ち込む、涙もろくなる
  • 常に不安や焦りを感じる
  • 集中力がなくなり、ミスが増えた

心の不調で専門医に相談するのは、自分を大切にするための適切な行動です。症状が悪化する前に専門的なサポートを受けることで、早期回復に繋がります。

就労継続支援B型事業所オリーブで、ストレスと向き合いながら働くという選択

ストレスマネジメントには個人のセルフケアと職場環境の改善が不可欠です。しかし、一般企業では自分のペースで働くことが難しい場合も少なくありません。もし「過度なストレスを感じない環境で働きたい」「自分の体調やペースを尊重してほしい」と感じているなら、「就労継続支援B型事業所」という選択肢があります。

私たち「就労継続支援B型事業所オリーブ」は、関西(大阪、兵庫、京都、奈良)で、障害や病気のある方が安心して自分らしく働ける環境を提供しています。

オリーブでは、支援スタッフが一人ひとりの特性や体調に合わせ、作業内容や勤務時間(週1日・1時間からでも可)を一緒に考えます。経験豊富なスタッフが常駐し、仕事や体調、人間関係の悩みをすぐに相談できる体制が整っています。ノルマに追われることなく、穏やかな環境で自分のペースで作業に取り組めます。

「まずは社会と繋がるリハビリから始めたい」という方も歓迎です。オリーブは、あなたが安心して過ごせる居場所となり、社会参加への一歩を踏み出すための場所です。ご興味のある方は、ぜひ一度、お近くのオリーブへ見学・相談にお越しください。

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