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主治医に本音を言えないあなたへ 遠慮や不安を乗り越え信頼関係を築く伝え方

あなたは、主治医やカウンセラーとの診察や面談の場で、ご自身の本当の気持ちや症状を伝えられずに悩んでいませんか。「こんなことを言ったらどう思われるだろう」「うまく説明できない」といった気持ちから、つい遠慮してしまい、後から「ああ言えばよかった」と後悔することは少なくありません。

しかし、あなたの本音は、より良い治療や支援を受けるための最も重要な情報です。本音を伝えられない背景には、遠慮や不安、言語化の難しさなど、様々な理由があります。そして、それを伝えないままにしておくと、治療が最適なものにならなかったり、あなた自身のストレスが増えたりする可能性も考えられます。

この記事では、なぜ医師や支援者に本音を話しにくいのか、その理由を多角的に解き明かし、本音を上手に伝えるための具体的な準備や工夫について詳しく解説します。さらに、私たち就労継続支援B型事業所のような場所が、安心して「本音を話す練習」をする場となり得ることもご紹介します。この記事が、あなたが自分らしい治療や支援への一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

なぜ医師やカウンセラーに本音を話せないのか

「こんなことを言っていいのだろうか」という遠慮

毎日多くの患者を診ている医師に対して、「忙しいのに、些細なことを質問しては申し訳ない」「自分の感覚的な話をしても、専門家には相手にされないかもしれない」といった遠慮が、発言をためらわせる大きな原因になります。特に、相手を「先生」と敬う気持ちが強いほど、その傾向は強くなりがちです。

また、「処方された薬が効いていない気がする」といったネガティブな情報を伝えることは、医師の治療方針を否定するようで失礼にあたるのではないか、と考えてしまう人も少なくありません。こうした遠慮が、本当の症状や悩みを伝える上での障壁となっているのです。

否定されたり怒られたりすることへの不安

「そんなことは気のせいだ」「考えすぎだ」と自分の訴えを否定されることへの恐れも、本音を話せなくさせる大きな要因です。「わがままだと思われたくない」「やる気がないと見なされたくない」という気持ちから、本当は辛いのに「大丈夫です」と答えてしまうこともあるでしょう。

過去に、自分の気持ちを話した際に誰かから否定的な反応をされた経験があると、その不安はさらに強くなります。特に、メンタル面の不調は目に見える症状が少ないため他者に理解されにくい側面があり、勇気を出して話したことが受け入れられなかったらどうしよう、という不安が口を重くさせてしまうのです。

「うまく話せない」という言語化の難しさ

自分の体調の悪さや、心の中のもやもやとした不安を、的確な言葉で表現することは、誰にとっても簡単なことではありません。「頭が重い」「なんだか気分が晴れない」といった感覚的な不調を、論理的に説明しようとすると、かえって混乱してしまうこともあります。

特に、心身の調子が悪いときは、思考がまとまりにくくなるものです。伝えたいことはたくさんあるのに、いざ医師を目の前にすると、何から話せばよいか分からなくなってしまう。そうした経験が重なると、「どうせうまく話せないから」と、本音を伝えること自体を諦めてしまうことにも繋がりかねません。

短い診察時間への焦り

大学病院や人気のクリニックでは、一人の患者に割ける診察時間が数分ということも珍しくありません。待合室で長時間待った後、ようやく呼ばれた診察室で、「時間をかけてはいけない」「要点を手短に話さなければ」というプレッシャーを感じてしまうのは自然なことです。

後ろに待っている他の患者のことを考えると、自分の悩みを長々と話すことに罪悪感を覚えてしまうかもしれません。この「時間内に収めなければ」という焦りが、本当に伝えたい大切な情報よりも、当たり障りのない報告を優先させてしまい、結果的に本音を飲み込んでしまうことに繋がるのです。

本音を伝えないことで生じるデメリット

治療や支援が最適なものにならない可能性

医師は、患者から提供される情報(主訴)や検査結果などをもとに、診断を下し、治療方針を決定します。もし、あなたが副作用の辛さを伝えなかったり、「薬を飲んでもあまり変化がない」という事実を隠していたりすると、医師は「治療は順調に進んでいる」と誤って判断してしまうかもしれません。

その結果、あなたにとっては効果が薄い、あるいは副作用の大きい治療が継続されてしまう可能性があります。最適な治療法は、あなたの「本音のフィードバック」があってこそ見つかるものです。正確な情報が伝わらなければ、回復への道が遠回りになってしまうこともあり得るのです。

疑問や不信感が募りストレスになる

診察の場で本音を言えずにいると、「本当にこの治療法で合っているのだろうか」「先生は私のことを分かってくれていないのではないか」といった疑問や不信感が、心の中に少しずつ溜まっていきます

こうした満たされない気持ちは、治療や支援を受けること自体を大きなストレスに変えてしまいます。信頼関係が築けていないと感じる相手からのアドバイスは、素直に受け入れることが難しくなり、治療へのモチベーションも低下しかねません。結果として、医療機関へ通うこと自体が苦痛になってしまうケースもあります。

回復の遅れや症状の悪化に繋がることも

最適な治療が受けられず、治療への不信感からモチベーションも下がってしまうと、当然ながら症状の回復は遅れる可能性が高まります。本来であれば、薬の調整や別のアプローチを試すことで改善が見込めたはずの症状が、長引いてしまうかもしれません。

さらに深刻なのは、症状が悪化してしまうケースです。例えば、薬の副作用で食欲が落ちているのにそれを伝えられずにいると、栄養状態が悪化して別の問題を引き起こす可能性があります。本音を伝えることは、単に気持ちをすっきりさせるだけでなく、あなたの心と体の健康を守るために不可欠な行為なのです。

本音を上手に伝えるための具体的な準備と工夫

一番伝えたいことをメモに書いて持参する

最もシンプルかつ効果的な方法が、事前に伝えたいことをメモに書き出しておくことです。頭の中だけで整理しようとすると、緊張で忘れてしまうことがありますが、紙に書いておけばその心配はありません。

書き出す内容の例 具体的なポイント
現在の症状 いつから、どんな時に、どの程度つらいか。頻度など。
聞きたいこと 薬の副作用、今後の見通し、生活での注意点など。
不安なこと 症状が改善しないことへの不安、仕事や将来のことなど。
希望すること 薬を変えてほしい、話をもっと聞いてほしいなど。

箇条書きで構いません。診察室でそのメモを直接医師に見せながら話すのも良いでしょう。「うまく話せる自信がなかったので、書いてきました」と伝えれば、あなたの真剣な気持ちがより伝わりやすくなります。

「実は…」と切り出して素直な気持ちを話す

どうしても言い出しにくいと感じる時は、「クッション言葉」を使ってみましょう。「言いにくいのですが…」「先生がおっしゃることも理解できるのですが、実は…」といった前置きをすることで、話を切り出しやすくなります。

この一言があるだけで、相手も「何か大切な話だな」と耳を傾ける態勢に入りやすくなります。また、あなた自身にとっても、本題に入る前の心の準備ができます。「本当はこう感じている」というサインを先に示すことで、その後の会話がスムーズに進むことも少なくありません。

感情的にならずに事実と気持ちを分けて伝える

不安や不満が強いと、つい感情的に話してしまいがちです。しかし、感情だけをぶつけてしまうと、本当に伝えたい事実が曖昧になり、相手に正確な状況が伝わりにくくなることがあります。そこで意識したいのが、「事実」と「自分の気持ち」を分けて話すことです。

悪い例:
「この薬は全然効かない!もう嫌だ!」
良い例:
「(事実として)この薬を1週間飲んでいますが、夜中に目が覚める回数は変わっていません。(気持ちとして)なので、このままの治療で良くなるのか、少し不安に感じています」

このように事実と気持ちを整理して伝えることで、医師は客観的な状況を把握しやすくなり、あなたの不安な気持ちにも配慮した上で、次の対策を考えやすくなります。

感謝の言葉でポジティブな関係を築く

医師やカウンセラーとの良好な関係は、質の高い医療や支援の土台となります。その関係を築く上で、感謝の言葉は非常に有効です。診察の最初や最後に「いつもありがとうございます」と一言添えるだけで、場の雰囲気が和らぎ、コミュニケーションが円滑になります。

たとえ、これから伝えにくい話をしようとしている時でも、まずは日頃の感謝を伝えることで、相手への敬意を示すことができます。これは、単なる礼儀ではなく、あなたと専門家が同じ目標(症状の改善)に向かうパートナーであることを確認し、協力関係を築くための大切なステップなのです。

一人で難しい場合は、家族や支援者に同席してもらう

どうしても一人で本音を伝える自信がない場合は、信頼できる家族や支援機関のスタッフに診察へ同席してもらうのも有効な手段です。第三者がいることで、客観的な視点からあなたの状況を補足説明してくれたり、あなたが伝え忘れたことをフォローしてくれたりするメリットがあります。

また、あなた自身も一人ではないという安心感から、いつもより落ち着いて話せるようになるかもしれません。事前に同席者と伝えたい内容を共有しておくことで、よりスムーズに診察を進めることができます。同席を希望する場合は、事前に医療機関に可能かどうかを確認しておくと良いでしょう。

どうしても主治医と合わないと感じたら

セカンドオピニオンを検討する

様々な工夫をしても、どうしても医師とのコミュニケーションがうまくいかない、治療方針に納得できない、と感じることもあるかもしれません。そのような場合は、「セカンドオピニオン」を利用するのも一つの選択肢です。セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の医師に意見を聞き、今後の治療の参考にすることを指します。

別の専門家の意見を聞くことで、現在の治療法を客観的に見つめ直したり、新たな治療の選択肢が見つかったりする可能性があります。主治医にセカンドオピニオンを希望することを伝えにくいと感じるかもしれませんが、これは患者の正当な権利です。伝える際は、感情的にならず「他の先生の意見も聞いて、今後の治療の参考にしたい」と冷静に申し出ましょう。

転院も視野に入れる

セカンドオピニオンの結果や、長期的に見ても信頼関係の構築が難しいと判断した場合は、主治医を変える「転院」も考えられます。治療において医師との相性は非常に重要であり、あなたが安心して治療に専念できる環境を選ぶことは、決して悪いことではありません。

ただし、頻繁に転院を繰り返すと、一貫した治療が受けられなくなるデメリットもあります。転院を考える際は、なぜ今の主治医では難しいのか、次の医師には何を期待するのかを自分の中で整理しておくことが大切です。地域の相談支援事業所などに相談し、情報提供を受けながら慎重に判断することをお勧めします。

就労継続支援B型事業所は「本音を話す」練習の場

ここまで、主治医に本音を伝えるための方法について見てきましたが、「練習なしでいきなり本番は難しい」と感じるかもしれません。実は、私たちのような就労継続支援B型事業所は、日々の活動の中で、安心して自分の気持ちを伝える練習ができる場所でもあります。

支援員との日々の対話で伝えることに慣れる

B型事業所では、軽作業などの活動をしながら、支援員とコミュニケーションをとる機会が豊富にあります。短い診察時間とは異なり、日々の何気ない会話や定期的な面談を通じて、時間を気にせず自分のペースで話すことができます。

「今日の作業で、ここが難しかった」「最近、少し疲れ気味かもしれない」といった小さな本音を口に出すことから始めてみましょう。支援員は、あなたの言葉にじっくりと耳を傾け、気持ちを受け止めるプロです。こうした日々の対話の積み重ねが、「自分の気持ちを言葉にして相手に伝えても大丈夫だ」という安心感と自信を育んでいきます。

自分の気持ちや希望を整理する機会

支援員との対話は、単に話す練習になるだけではありません。自分の考えを話しているうちに、「自分は本当は何に困っていて、どうしたいのか」が明確になっていくことも多々あります。これは、自分自身の気持ちや希望を整理し、自己理解を深める大切なプロセスです。

事業所で「こういう作業は得意だけれど、こういう作業は少し苦手だ」「将来的には、こんなことができるようになりたい」といった希望を伝える経験は、主治医に対して「こういう症状で困っていて、こうなりたい」と伝える上での大きな糧となります。安心して話せる環境で自己分析を深めることが、専門家との対話の質を高めることに繋がるのです。

あなたの「本音」から始める支援がオリーブにはあります

私たちはまずあなたの声に耳を傾けます

「働きたい気持ちはあるけれど、自信がない」「人とのコミュニケーションが苦手で不安」「自分のペースでできることを見つけたい」。あなたが今、抱えている悩みや希望、不安な気持ちを、まずは私たちに話してみませんか。オリーブでは、一方的にプログラムを決めるのではなく、あなたの声にじっくりと耳を傾け、一緒に「これからどうしていきたいか」を考えます

安心して本音を話せる信頼関係を大切にする

私たちが何よりも大切にしているのは、利用者さん一人ひとりとの信頼関係です。日々のコミュニケーションを通じて、あなたが安心して何でも話せる「居場所」でありたいと考えています。支援員は、あなたの気持ちに寄り添い、あなたのペースを尊重します。ここでなら言える、と思えるような温かい環境づくりを心がけています。

見学・相談であなたの本当の気持ちを聞かせてください

もしあなたが、誰にも言えない本音を抱えて一人で悩んでいるのなら、ぜひ一度、就労継続支援B型事業所オリーブに見学・相談に来てみませんか。主治医にはまだ話せないようなことでも構いません。あなたの本当の気持ちを、私たちに聞かせてください。あなたの「本音」から、新しい一歩を一緒に踏み出せることを、スタッフ一同心からお待ちしています。

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