
障害のある方が自分らしく働くための選択肢は、企業に雇用されることだけではありません。
この記事では、障害のあるフリーランスや起業を目指す上でのメリット・治療法を詳しく解説します。 さらに、夢の実現に向けた具体的な準備、そして就労継続支援B型事業所を「準備の場」として活用する方法など、成功への道を一歩一歩確実に進むためのヒントを伝えます。
障害者雇用だけではない「自分で仕事をつくる」という働き方
障害のある方の就労というと、多くの方が障害者雇用枠での企業への就職をイメージするかもしれません。 もちろん、それは強引な選択肢の一つです。 しかし、テクノロジーの進化や社会の変化に伴い、働き方は多様化しています。
障害のある方にとって、この「自分で仕事をつくる」という働き方は、考え方の追加以上の意味があることがあります。自分の能力を最大限に発揮し、理想のワークライフバランスを実現するための堅実な手段となり得るのです。
フリーランス・起業の魅力とは
フリーランスや起業の最大の魅力は、その自由度の高さにあります。働く時間、場所、仕事の量、そして仕事の内容まで、自分自身でコントロールすることが可能です。
例えば、体調に波がある方なら通院の時間を柔軟に確保したり、疲れやすい方は休憩を多めに取って、自分のペースを最優先して働き方を設計できます。 また、特定の分野に強いこだわりや才能がある場合、その「好き」や「得意」を直接仕事に楽しみながら、専門性を追求することも可能です。
「自分に合った仕事がない」から「自分に合った仕事をつくる」へ
「障害特性に合った仕事がなかなかうまくいかない」「職場の環境に悩むのが難しい」といった悩みを抱えている方も少ないでしょう。
もし「自分に合った仕事がない」と感じているなら、発想を転換し、「自分に合った仕事をつくる」という視点を持ってみてはいかがでしょうか。 フリーランスや起業は、それを自ら実現するための手段です。
フリーランス・起業のメリット
障害のある方がフリーランスや起業という働き方を選ぶことには、多くのメリットがあります。 企業に雇用される働き方では得にくい、自由度の高さが大きな魅力と言えます。
障害特性に合った環境やペースで働ける
フリーランスや起業の最大のメリットは、自分の障害特性や体調に合わせた労働環境を自分で構築できる点です。例えば、聴覚過敏のある方なら静かな自宅で集中して仕事ができますし、疲れやすい方なら1日の労働時間を短く設定したり、こまめに休憩したりすることも自由です。
企業では「相応の配慮」を求めることができますが、周囲に気兼ねしてしまったり、要求が100%スルーとは限らなかったりすることもあります。
の「好き」と「得意」を最大限に活かせる
「決められた業務を達成するのが苦手でも、特定の分野なら驚くほどの集中力を発揮できる」という方もいるでしょう。 フリーランスや起業は、それなりに自分の「好き」や「得意」を仕事の核に据えることができます。 自分の情熱を注ぐ分野で専門性を高めていけば、それが独自の強みとなり、他にはない価値を提供できる可能性があります。
これにより、仕事に対するモチベーションを高く維持しやすく、大きなやりがいを感じながらキャリアを進めていくことが可能になります。 障害特性によっては、特定の分野で健常者以上の能力を発揮できることも少なくなく、才能を発揮しやすい点も魅力です。
どのような仕事があるのか?具体的な分野の例
特に、パソコンとインターネット環境があれば始められる仕事は、在宅での働き方を希望する方にとって積極的な選択肢となります。
- ウェブライター
- 企業のウェブサイトに掲載するコラム記事や、メールマガジンの文章を作成する仕事です。文章を書くことが好きな方や、特定の分野について深い知識を持つ方を向いています。
- ウェブデザイナー
- Webサイトのデザインや、サイト制作を行う仕事です。IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトのスキルが求められますが、創造性を発揮できます。
- プログラマー
- Web アプリケーションやシステムの開発を行います。論理的思考が得意で、コツコツと作業を進めることが好きな方に向いています。
- 動画編集者
- YouTubeなどの動画コンテンツの編集作業を請け負います。映像表現に興味があり、細かい作業が苦にならない方におすすめです。
- イラストレーター
- 書籍やWebサイト、広告などに使用されるイラストを制作します。絵を描くことが得意な方の才能をまっすぐ活かせる仕事です。
- オンラインアシスタント
- 企業の事務作業、スケジュール管理、メール対応などをオンラインで代行します。丁寧なコミュニケーションと事務処理能力が求められます。
通勤や職場の人間関係のストレスがない
満員電車での通勤や、職場の複雑な人間関係は、多くの人にとって大きなストレス源です。 特に、障害のある方にとっては、精神への負担がさらに大きいことも少なくありません。
在宅でのフリーランスワークなら、ついでにストレスから完全に解放されます。 クライアントとの悩みはメールやチャットが中心になることが多く、対面でのコミュニケーションが苦手な方でも安心して仕事を進められます。
フリーランス・起業のプロ
多くのメリットがある一方で、フリーランスや起業には厳しい側面も存在します。自由の裏側にある責任やリスクを正しく理解し、事前に対策を考えておくことが成功への鍵となります。安易に「楽そうだから」という理由で始めると、思わぬ困難に直面する可能性があります。
収入の不安定さと社会的保障の欠如
最大のデメリットは、収入が不安定であることです。会社員のように毎月固定給が支払われるわけではなく、仕事がなければ収入は途絶えてしまいます。病気やケガで働けなくなった場合の傷病手当金なども、会社員が加入する健康保険組合の制度に比べて保障が手薄になります。
また、会社員が加入する厚生年金ではなく国民年金になるため、将来受け取れる年金額が少なくなる可能性があります。こうしたリスクに備え、ご自身で貯蓄や民間の保険への加入、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用などを検討する必要があるでしょう。
高度な自己管理能力が求められる
自由な働き方ができるということは、裏を返せば、全ての管理を自分で行う必要があるということです。納期を守るためのスケジュール管理、体調を崩さないための健康管理、そして仕事を続けるためのモチベーション管理。これらすべてが自己責任となります。
特に、ADHDの傾向がある方はスケジュール管理に、うつ病などの経験がある方はモチベーションの維持に困難を感じるかもしれません。ご自身の特性をよく理解し、タスク管理ツールを活用したり、意識的に休息日を設けたりするなど、自分なりの管理方法を確立することが不可欠です。
営業から経理まで全てを一人でこなす必要性
フリーランスは、ご自身の専門スキルを提供するだけが仕事ではありません。クライアントを見つけるための営業活動、報酬の交渉、契約書の作成、請求書の発行や入金管理など、事業運営に関わるあらゆる業務を自分で行う必要があります。
これらの事務作業が苦手な場合、本業である専門業務に集中できず、疲弊してしまうこともあります。外部のサービスを利用するなどの対策も考えられますが、それには当然コストがかかります。事業を始める前に、これらの業務内容を把握しておくことが重要です。
特に注意が必要な確定申告と税金
会社員の場合は会社が年末調整を行ってくれますが、フリーランスや個人事業主は、年に一度、自分自身で「確定申告」を行い、所得税を納めなければなりません。これは、1年間の売上から経費を差し引いた「所得」を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。青色申告は、複式簿記での記帳が必要など手間がかかる一方、最大65万円の特別控除が受けられるなど、税制上の大きなメリットがあります。また、障害のある方は、確定申告で「障害者控除」を適用することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。日頃から領収書を整理し、帳簿をつける習慣を身につけることが大切です。
孤立しやすく相談相手がいない
会社にいれば、困った時に相談できる上司や同僚がいます。しかし、在宅で働くフリーランスは、基本的に一人です。仕事で行き詰まった時、クライアントとのトラブルがあった時、あるいは将来への不安を感じた時、気軽に相談できる相手がいないことで、孤独感や不安を深めてしまうことがあります。
意識的に同業者のオンラインコミュニティに参加したり、メンターを見つけたりするなど、自ら外部との繋がりを求める努力が重要になります。社会的な孤立は、精神的な健康を損なう要因にもなり得るため、軽視できないデメリットです。
成功に向けた準備と活用できる支援
フリーランスや起業は、決して「行き当たりばったり」で成功するものではありません。特に、心身のコンディションを安定させることが大切な障害のある方にとっては、周到な準備が不可欠です。しかし、一人で全てを抱える必要はありません。利用できる制度やサービスを積極的に活用し、着実にステップを踏んでいくことが成功への近道です。
事業計画の作成と資金調達
まずは、ご自身の「好き」や「得意」を、どのようにビジネスにするかを具体的に考える「事業計画」を立ててみましょう。
- 何を?(事業内容)
- どのようなサービスや商品を提供するのか。
- 誰に?(ターゲット)
- どのようなお客様を対象とするのか。
- どうやって?(提供方法)
- どのようにして仕事を得て、サービスを提供するのか。
- いくらで?(収益計画)
- どのくらいの価格で、どのくらいの収入を目指すのか。
これらを書き出すことで、自分のやりたいことが明確になり、課題も見えてきます。また、事業を始めるには、パソコンの購入費や当面の生活費など、ある程度の資金が必要です。自己資金で足りない場合は、資金調達の方法を調べる必要があります。
障害者向けの創業支援制度や助成金
障害のある方が起業する際には、国や地方自治体が提供する様々な支援制度を利用できる場合があります。これらの制度は、資金調達のハードルを下げ、事業の安定化を助けてくれます。
主な支援制度の例
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 障害のある方向けに、通常よりも有利な条件(低金利など)で事業資金を融資する制度があります。新規開業資金などが該当し、多くの創業者に利用されています。
- 地方自治体の創業者向け補助金・助成金
- 自治体によっては、障害のある創業者を対象とした補助金や、事業所の家賃補助などを行っている場合があります。
- 小規模事業者持続化補助金
- フリーランスや小規模事業者が、販路開拓(ウェブサイト作成、広告出稿など)に取り組む際に経費の一部が補助される制度で、活用しやすい支援策の一つです。
これらの制度は、自治体や時期によって内容が異なります。「J-Net21」や「ミラサポplus」といった中小企業向けのポータルサイトや、お住まいの地域の自治体のウェブサイト、商工会議所などで最新の情報を確認してみましょう。
就労継続支援B型事業所を「準備の場」として活用する
「いきなり一人で始めるのは不安だ」「起業に必要なスキルや経験が足りない」と感じる方にとって、就労継続支援B型事業所は、フリーランスや起業への夢を育むための、またとない「準備の場」となり得ます。
多くの人はB型事業所を「簡単な軽作業を行う場所」というイメージで捉えがちですが、近年では、Webデザイン、プログラミング、動画編集、ライティングなど、フリーランスとして独立しやすい専門的なスキルを学べる事業所が増えています。
B型事業所を活用するメリットは以下の通りです。
- スキルアップ
- 安定した環境で、専門的なスキルを基礎から学べます。
- 作り実績
- 事業所内で実際の仕事(制作物など)に関わることで、独立してアピールできる「実績」を作ります。
- 生活リズムの安定
- 決まった時間に通所することで、在宅ワークで乱れがちな生活リズムを整え、安定して働くための体力を養えます。
- 安定した収入
- スキルを学びながら労働賃金を稼げるため、経済的な不安を抱えながら、事業の準備に集中できます。
- 相談相手の存在
- 支援員に事業計画の相談をしたり、同じ目標を持つ仲間と情報交換をしたりできます。孤独をやめ、モチベーションを維持する上で大きな支えとなります。
フリーランスや起業は、孤独な挑戦になりがちです。しかし、B型事業所というセーフティネットを活用することで、リスクを抑えながら、適切に未来への一歩を踏み出すことができるのです。
あなたの「起業の夢」をオリーブで育てませんか
私たち就労継続支援B型事業所オリーブは、関西(大阪、兵庫、京都、奈良)を中心に、フリーランスや起業を目指す方も含めて、もしかしたらの「こうなりたい」という想いを全力でサポートしています。
オリーブでは、PCスキルやデザイン、軽作業など、多岐にわたる仕事の機会を提供しており、あなたの「好き」や「得意」を見つけ、それを伸ばしていくための環境を整えています。
事業のスキルを磨きながら安定した基盤をつくる
オリーブの強みは、あなたのペースを尊重しながら、無理なくステップアップできるポイントにあります。 まずは週1日、短時間の利用からスタートし、体調や目標に合わせて少しずつ利用日数を増やしていくことが可能です。
安定した工賃を稼ぎながら、フリーランスとして必要なスキルを学び、生活リズムを整える。オリーブは、あなたの挑戦をしっかり安定した「基盤」となることを目指しています。将来の独立に向けて、心身ともに万全の準備を整えましょう。
リスクを抑えながら自分のビジネスを試せる
オリーブでは、事業所内での制作活動や、外部からの受注案件などを大切に、あなたのビジネスアイデアを試験的に達成するチャンスを得る事も可能です。
支援員という相談相手がいる環境で、お客様からのフィードバックを得たり、価格設定を考えたりする経験は、独立後の大きな自信に繋がります。失敗を恐れずに挑戦できる環境で、あなたの可能性を試してみませんか。
あなたの挑戦を全力でサポートします
フリーランスや起業という道は、一時平坦ではありません。しかし、その先には、自分らしく輝ける働き方が待っているかもしれません。もし、あなたが少しでも「挑戦してみたい」という気持ちをお持ちなら、ぜひ一度、オリーブ相談ください。
経験豊富な相談員が、あなたの現状や夢を丁寧にお伺いし、目標達成に向けた最適なプランを一緒に考えます。 見学や体験利用も随時受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。 あなたの新しい一歩を、私たちは本気で応援しています。
