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仕事に行きたくないのはうつ病が原因?サインや対処法・相談先を解説

「朝、どうしてもベッドから出られない」「会社が近づくにつれて、動悸や吐き気がする」

誰でも一度は「仕事に行きたくない」と感じたことがあるでしょう。しかし、その気持ちが何週間も続き、日常生活にまで深刻な影響を及ぼしているとしたら、それは単なる「やる気の問題」や「甘え」ではないかもしれません。そのつらい気持ちの背景には、うつ病という心の病気が隠れている可能性があります。

この記事では、多くの人が経験する「仕事に行きたくない」という気持ちの主な原因を整理した上で、それがうつ病のサインかどうかを見分けるためのポイントを具体的に解説します。さらに、うつ病が疑われる場合の具体的な対処法や、仕事に関する悩みを相談できる専門機関についても詳しくご紹介します。自分の心のSOSに気づき、正しく対処することは、あなた自身を守るための非常に大切な一歩です。一人で抱え込まず、まずはご自身の状態を客観的に見つめることから始めましょう。

「仕事に行きたくない」と感じる主な原因

「仕事に行きたくない」という気持ちは、決して特別なものではありません。その背景には、多くの場合、職場環境や業務内容に関連する、はっきりとした原因が存在します。

原因1:仕事の責任やプレッシャー

適度な責任感やプレッシャーは仕事のやりがいにもつながりますが、ご自身のキャパシティを超えた重圧は心を疲弊させる大きな原因となります。

    • 過度なノルマや目標:達成困難な目標が設定されており、常にプレッシャーを感じている。
    • 責任の重い役職:自分の判断が部署や会社の業績に大きく影響する立場にあり、精神的な負担が大きい。
    • 大きなプロジェクト:失敗が許されない重要なプロジェクトを任されており、常に緊張状態にある。

 

原因2:職場の人間関係の悩み

仕事の内容以上に心を消耗させるのが人間関係のトラブルです。

    • 上司との関係:高圧的な態度をとられたり、理不尽な要求をされたりする(パワーハラスメント)。
    • 同僚との関係:悪口や無視、仲間外れなど精神的な攻撃を受けたり(モラルハラスメント)、職場で孤立し気軽に話せる相手がいなかったりする。
    • 部下との関係:指示を聞いてもらえない、育成がうまくいかないなど、マネジメントに悩んでいる。

 

一日の多くの時間を過ごす職場で、安心してコミュニケーションがとれる相手がいない、あるいは敵意に満ちた関係があることは、出社そのものを苦痛にさせます。

原因3:仕事の量や内容とのミスマッチ

ご自身の能力や希望と、実際の業務内容とのミスマッチも、仕事への意欲を削ぐ大きな原因です。

    • 長時間労働:毎日終電まで残業し、休日も仕事のことを考えてしまうなど、心身を休める時間がない。
    • 業務内容への不満:単調な作業ばかりでやりがいを感じられない、あるいは、自分のスキルや知識が全く活かせない。
    • 評価への不満:どれだけ頑張っても正当に評価されず、給与や昇進に反映されない。

 

原因4:特定の職場環境に適応できない「適応障害」

上記の原因など、特定のストレスが原因で心身に不調が生じ、社会生活に支障が出ている状態を「適応障害」と呼びます。憂うつな気分や不安感、出社拒否といった症状はうつ病と似ていますが、ストレスの原因(職場など)から離れると症状が和らぐのが大きな特徴です。しかし、適応障害を放置すると、うつ病に移行する可能性もあるため、早期の対応が重要です。

もしかしてうつ病?見分けるための症状のサイン

上記のような原因に心当たりがある「仕事に行きたくない」気持ちは誰にでも起こりうることですが、それがうつ病のサインである場合は、いくつかの特徴的な違いが見られます。

<一時的な不調とうつ病のサインの違い>

一時的な不調・ストレス うつ病のサイン
期間 数日~1週間程度で改善することが多い 2週間以上、ほとんど毎日症状が続く
気分の落ち込み 休日や楽しいことがあると気分が晴れる 休日でも気分が晴れず、常に憂うつ
興味・関心 仕事以外の趣味などは楽しめる 今まで好きだったことさえ楽しめない
影響の範囲 主に仕事に関連することに限定される 仕事だけでなく、日常生活全般に支障が出る
身体症状 軽い不眠や食欲不振など 顕著な睡眠障害や食欲の変化、原因不明の疲労感などを伴う

 

サイン1:2週間以上続く「気分の落ち込み」

うつ病の最も重要なサインは、症状が続く「期間」です。一時的な気分の落ち込みは誰にでもありますが、それが2週間以上にわたって、ほとんど毎日続いている場合は、うつ病の可能性が考えられます。「そのうち良くなるだろう」と放置せず、専門家への相談を検討すべきサインです。

サイン2:好きだったことに「興味が持てなくなる」

「仕事に行きたくない」だけでなく、「大好きだった趣味にも全く興味が湧かない」「友達と会うのも億劫だ」「テレビを見ても面白いと感じない」といったように、これまで喜びを感じていたこと全般に対して関心が失われてしまうのは、うつ病に特徴的な症状です。これは「興味・喜びの喪失(アンヘドニア)」と呼ばれ、脳のエネルギーが枯渇しているサインと考えられています。

サイン3:「睡眠」や「食欲」の異常が続く

うつ病は、心の不調だけでなく、体に顕著なサインとなって現れます。

    • 睡眠の異常:「夜、なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早くに目が覚めて、そのまま眠れない」といった不眠症状や、「いくら寝ても眠い」という過眠症状。
    • 食欲の異常:「食欲が全くなく、味がしない」といった食欲不振や、急激な体重減少。逆に、甘いものなどを過剰に食べてしまう過食や、体重増加。
    • その他の身体症状:原因不明の頭痛、めまい、動悸、息苦しさ、強い倦怠感などが続く。

 

こうした身体症状が、気分の落ち込みと同時に現れている場合は、特に注意が必要です。

うつ病が疑われる場合の診断と治療

もし、うつ病のサインに当てはまると感じたら、一人で抱え込まず、できるだけ早く専門家の助けを借りましょう。

まずは精神科や心療内科で専門家の診断を受ける

うつ病は、本人の「気の持ちよう」や「根性」で治る病気ではありません。脳の機能不調が関係している病気であり、専門医による適切な診断と治療が必要です。精神科や心療内科を受診することにためらいを感じる方もいるかもしれませんが、体の病気と同じように、早期に治療を始めることが、早期回復への一番の近道です。医師はあなたのつらい状況を理解し、あなたに合った治療法を提案してくれます。

治療の基本は「休養」「薬物療法」「精神療法」

うつ病の治療は、主に以下の3つを組み合わせて行われます。

休養:
心と体のエネルギーを回復させるため、何よりもまず、ストレスの原因から離れてゆっくりと休むことが大切です。

 

薬物療法:
医師の指示のもと、抗うつ薬などを服用し、乱れた脳内の神経伝達物質のバランスを整えます。

 

精神療法:
カウンセリングなどを通じて、ストレスへの対処法を学んだり、うつ病になりやすい思考パターンを見直したりします。

 

うつ病で仕事に行きたくないときの具体的な対処法

うつ病と診断された、あるいはその可能性が非常に高い場合、無理して働き続けることは症状を悪化させるだけです。ご自身を守るための具体的な対処法を知っておきましょう。

対処法1:休職制度を利用して治療に専念する

多くの会社には、病気やケガで長期間働けなくなった従業員のための「休職制度」があります。医師の診断書を提出することで、会社に籍を置いたまま、一定期間、治療に専念することができます。休職期間中は、健康保険から「傷病手当金」が支給されるため、経済的な不安をある程度和らげることができます。まずは、ご自身の会社の就業規則を確認し、人事部や上司に相談してみましょう。

休職中は、焦らず治療に専念することが第一ですが、回復期には、生活リズムを整えたり、職場復帰支援プログラム(リワーク)を利用したりして、スムーズな社会復帰を目指すことも可能です。

対処法2:会社に相談し、働き方の調整を求める(合理的配慮)

休職するほどではないけれど、今のまま働き続けるのはつらい、という場合は、会社に「合理的配慮」を求めることも選択肢の一つです。医師の意見書などを基に、上司や人事担当者に相談し、以下のような調整が可能か検討してもらいましょう。

    • 業務量の軽減や、負担の少ない部署への一時的な異動
    • 残業の制限や、時短勤務への変更
    • 通院への配慮(休暇取得の柔軟な対応など)
    • 在宅勤務(リモートワーク)への切り替え

 

対処法3:退職や障害者雇用での再就職を検討する

休職しても、元の職場環境に戻ることがどうしても症状の再発につながってしまうと考えられる場合もあります。その際は、「退職」して一度ゆっくりと療養し、ご自身に合った新しい環境を探すことも、前向きな選択です。退職後の生活については、傷病手当金の継続給付や、失業保険(雇用保険)の給付を受けられる場合があります。

再就職の際には、一般の求人だけでなく、障害者手帳を取得して、障害への理解や配慮のある「障害者雇用」という枠で仕事を探す道もあります。

ご家族や周囲の方ができること

ご本人が「仕事に行きたくない」と悩んでいるとき、ご家族や職場の同僚など、周囲のサポートも非常に重要です。

    • 話をじっくり聴く:アドバイスや意見を言う前に、まずは本人のつらい気持ちを否定せずに受け止め、共感的に耳を傾けましょう。
    • 安易に励まさない:「頑張れ」「気の持ちようだ」といった励ましは、本人をさらに追い詰めてしまうことがあります。「十分頑張っているね」「ゆっくり休んでいいんだよ」というメッセージが大切です。
    • 専門家への相談を促す:本人が一人で抱え込んでいる場合は、「一緒に病院に行ってみようか」「相談窓口に電話してみようか」と、具体的な行動を後押ししてあげましょう。

 

仕事の悩みを相談できる専門機関

うつ病と仕事に関する悩みは、一人で抱え込まず、専門機関のサポートを積極的に活用しましょう。

ハローワーク:
障害のある方向けの専門窓口があり、病気の特性を理解した相談員が、就職活動をサポートしてくれます。障害者雇用の求人紹介も豊富です。

 

地域障害者職業センター:
ハローワークと連携し、より専門的な職業評価や、休職者向けの職場復帰支援(リワーク)プログラムなどを提供しています。

 

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ):
仕事のことだけでなく、金銭管理や体調管理といった、働くための土台となる生活面についても、一体的に相談に乗ってくれます。

 

就労移行支援・就労継続支援事業所:
障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。一般企業への就職を目指すための訓練を行う「就労移行支援」や、支援を受けながら自分のペースで働き、工賃を得ることができる「就労継続支援」があります。

 

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