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うつ病の人が転職・再就職を成功させるためのポイントと支援機関を解説

うつ病の治療を経て、体調が少しずつ上向いてくると、「新しい環境で再出発したい」「自分に合った仕事を見つけたい」と、転職や再就職を考え始める方も多いのではないでしょうか。新しい一歩を踏み出すことは、大きな希望であると同時に、「また体調を崩してしまったらどうしよう」「今度はうまく働けるだろうか」といった不安も伴うものです。うつ病からの社会復帰を成功させるために最も大切なのは、焦らず、ご自身のペースで、適切な準備とサポートを得ながら進めることです。この記事では、うつ病の方が転職・再就職を考える際の重要な心構えから、活動を始める前の具体的な準備、自分に合った働き方の見つけ方、そしてあなたを力強く支えてくれる専門の支援機関まで、順を追って詳しく解説します。この記事を読めば、あなたが今何をすべきか、誰に相談すればよいかが見えてくるはずです。自分らしい働き方を見つけ、安定して働き続けるための第一歩を、ここから始めましょう。

うつ病で転職・再就職を考えるときに最も大切な心構え

転職や再就職は、人生における大きな転機です。特にうつ病の治療を経験した方にとっては、その決断は慎重に行う必要があります。活動を始める前に、まず押さえておきたい2つの大切な心構えがあります。

心構え1:焦って決断せず、体調の回復を最優先する

「早く仕事を見つけなければ」「ブランクが長くなると不利になる」といった焦りは、回復途上の心と体にとって大きな負担となります。焦りから不調のサインに蓋をして活動を始めてしまうと、途中で息切れしてしまったり、就職後に症状が再発してしまったりするリスクが高まります。転職・再就職活動は、心身のエネルギーを非常に多く消耗します。まずは、主治医が「働ける状態にある」と客観的に判断するまで、治療に専念し、体調を安定させることが何よりも重要です。安定した就労は、安定した体調という土台があってこそ実現します。焦る気持ちをぐっとこらえ、ご自身の心と体の声に耳を傾けることを最優先してください。

心構え2:一人で判断せず、主治医や信頼できる人に相談する

うつ病の症状は、判断力や思考力にも影響を与えることがあります。「もう大丈夫だ」という自己判断が、必ずしも客観的に見て正しいとは限りません。転職や再就職といった重要な決断は、決して一人で抱え込まないでください。

    • 主治医:あなたの病状を医学的な観点から最もよく理解している専門家です。就労を開始できるタイミングや、働く上での注意点など、必ず相談し、客観的なアドバイスをもらいましょう。
    • 家族や信頼できる人:あなたのことを親身に考えてくれる存在です。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが整理されたり、自分では気づかなかった視点を得られたりします。
    • 専門の支援機関:後述するハローワークや支援機関の専門スタッフは、数多くのうつ病の方の就労をサポートしてきたプロです。客観的で実践的なアドバイスをもらうことができます。

 

周りの意見に耳を傾け、多角的な視点から判断することが、後悔のない選択につながります。

転職・再就職活動を始める前に準備すべき3つのポイント

主治医から就労の許可が出て、いざ活動を始めようという段階になったら、やみくもに求人を探すのではなく、まずは自分自身と向き合う準備期間を設けましょう。この準備が、転職・再就職の成功率を大きく左右します。

ポイント1:うつ病の治療を継続し、自己管理能力を高める

就職活動中や、就職後も、うつ病の治療を継続することは大前提です。「元気になったから」と自己判断で通院や服薬をやめてしまうと、環境の変化によるストレスで再発するリスクが高まります。主治医の指示に従い、定期的な通院を続け、心身の状態を安定させることが、長く働き続けるための土台となります。日々の体調や気分の波、睡眠時間、服薬状況などを記録する「セルフモニタリング」を習慣づけると、自分の状態を客観的に把握でき、再発の予兆に早く気づけるようになります。これは、主治医への的確な報告や、就職後の自己管理にも大いに役立ちます。

ポイント2:自己分析で「自分の取扱説明書」を作成する

うつ病になった経験は、決してマイナスなだけではありません。その経験を通じて、自分の得意なこと、苦手なこと、ストレスを感じる状況など、自己理解が深まったはずです。この機会に、それらを客観的に整理し、「自分の取扱説明書」を作成してみましょう。

<自己分析で整理する項目例>

    • 自分の強み・得意なこと:(例:集中して行うPC作業、丁寧な資料作成、こつこつ続ける力)
    • うつ病の症状が出やすい状況(ストレス要因):(例:複数のタスクが同時に発生する、急な予定変更が多い、騒がしい環境、顧客との直接的なやりとり)
    • 働く上で配慮してほしいこと(合理的配慮):(例:定期的な通院への理解、残業を減らす、体調が悪い時に短時間休憩を取らせてもらう、指示を明確にしてもらう)
    • うつ病の経験から学んだこと:(例:一人で抱え込まないことの重要性、体調管理能力、他人の痛みに共感する力)

 

これらを書き出して整理することで、自分に合った仕事の軸が見えてきたり、後述する面接で自分の言葉で説明できるようになったりします。

ポイント3:再発させない「無理のない働き方」を考える

以前と同じ働き方にこだわる必要はありません。再発を防ぎ、安定して働き続けるためには、ご自身にとって「無理のない働き方」は何かを考えることが非常に重要です。

<働き方の選択肢の例>

    • 雇用形態:正社員だけでなく、契約社員、パート・アルバイトなど、柔軟な働き方を選択肢に入れる。
    • 勤務時間:フルタイムだけでなく、時短勤務や週3〜4日勤務から始める。
    • 勤務形態:在宅勤務(リモートワーク)やフレックスタイム制度など、時間や場所に縛られない働き方。
    • 職種・業種:対人ストレスの少ない職種(事務、データ入力、軽作業など)や、比較的業務量が安定している業種を選ぶ。

 

すぐに理想の働き方が見つからなくても、「将来的にはこうなりたい」という目標を持つことが、仕事選びの羅針盤になります。

障害者雇用と一般雇用、どちらを選ぶ?

うつ病の診断を受けている場合、応募する求人の選択肢として「障害者雇用」と「一般雇用」の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて慎重に選びましょう。

オープン就労とクローズ就労の違い

障害者雇用で働くことは、ご自身の病気や障害について会社に開示して働く「オープン就労」を意味します。一方、一般雇用で病気や障害を伝えずに働くことを「クローズ就労」と呼びます。

オープン就労(主に障害者雇用) クローズ就労(主に一般雇用)
メリット ・病気への理解や配慮を得やすい
・通院や体調不良時に休みやすい
・採用選考で障害特性を考慮してもらえる
・支援機関との連携が取りやすい
・求人数が多く、職種の選択肢が広い
・給与水準が高い傾向がある
・キャリアアップの機会が多い可能性がある
デメリット ・求人数が少なく、職種が限定されがち
・給与水準が低い場合がある
・キャリアアップの機会が少ない可能性
・病気への理解や配慮は期待できない
・通院や体調不良を理由に休みにくい
・再発しても一人で抱え込むリスクがある

オープン就労を選ぶ場合は、「精神障害者保健福祉手帳」の取得が必要となることがほとんどです。手帳を取得すると、障害者雇用枠への応募が可能になるほか、税金の控除や公共料金の割引など、様々な福祉サービスを受けられます。お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で申請できます。

うつ病の転職・再就職、面接でどう伝える?

面接は、転職・再就職活動における大きな関門です。特に、病気や休職期間(ブランク)について、どう説明すればよいか悩む方は多いでしょう。

うつ病について説明する際のポイント

病名を伝えるかどうかは、オープン就労かクローズ就労かによって異なります。オープン就労で伝える場合は、以下の点を簡潔かつ前向きに話せるよう準備しておきましょう。

    • 現在の状態:症状が安定しており、主治医からも就労の許可が出ていることを伝える。
    • 発症の経緯と学んだこと:(例:「前職での過度な長時間労働がきっかけでしたが、この経験からセルフケアと周囲に相談する重要性を学びました」)

 

    • 必要な配慮:自己分析でまとめた「配慮してほしいこと」を具体的に伝える。
    • 仕事への貢献意欲:配慮は求めるが、それに甘えるのではなく、自分の強みを活かして会社に貢献したいという意欲を示す。

 

休職期間(ブランク)を前向きに説明する

休職期間は、決してマイナスではありません。「治療に専念し、自己分析を深めた貴重な時間」と捉え、前向きに説明しましょう。

(例:「約1年間、療養に専念しておりました。その期間、体調管理の方法を学ぶとともに、自身のキャリアを見つめ直し、貴社で〇〇のスキルを活かして貢献したいという思いを強くいたしました」)

大切なのは、正直に、しかし過度に悲観的にならず、今後安定して働ける見込みと意欲を伝えることです。

うつ病の方の転職・再就職をサポートする支援機関

転職・再就職活動を一人で進めるのは、心細く、困難な道のりです。幸い、うつ病など障害のある方の就労を専門的にサポートしてくれる公的な機関が数多く存在します。積極的に活用し、専門家と伴走しながらゴールを目指しましょう。

ハローワーク(専門援助部門)

全国のハローワークには、障害のある方の就職を専門にサポートする窓口があります。精神保健福祉士などの専門知識を持つ職員が配置されており、一人ひとりの病状や希望に合わせたきめ細やかなサポートを提供してくれます。障害者雇用の求人紹介はもちろん、応募書類の添削や面接練習、就職後のフォローアップまで、一貫した支援を受けられます。

地域障害者職業センター

各都道府県に設置されている、より専門的な支援機関です。ハローワークや医療機関と連携し、専門的な職業評価(カウンセリングや作業検査を通じて適職を探る)や、職場復帰に向けたリハビリプログラム(リワーク支援)などを提供しています。「働く上での自分の課題を整理したい」「復職に向けて本格的なリハビリがしたい」という方におすすめです。

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)

仕事(就業面)の支援と、日常生活(生活面)の支援を一体的に行ってくれるのが大きな特徴です。「就職活動と並行して、金銭管理や体調管理の相談もしたい」といった場合に、両方の側面からサポートしてくれます。地域の様々な機関とのネットワークを持っており、あなたに必要なサービスへつないでくれる「地域の支援の拠点」です。

就労移行支援・就労継続支援事業所

障害者総合支援法に基づく福祉サービスで、実際に通所しながら支援を受けます。

就労移行支援:
一般企業への就職を目指す方が、ビジネスマナーやPCスキルなどの職業訓練、職場探し、就職後の定着支援などを最長2年間受けられます。「働くためのスキルや自信をつけたい」という方に適しています。

 

就労継続支援:
すぐに一般企業で働くのが難しい方が、支援を受けながら働き、工賃(給料)を得られるサービスです。A型(雇用契約あり)とB型(雇用契約なし)があり、特にB型は、体調に合わせてごく短時間から始められるため、社会復帰への最初のステップとして多くの方が利用しています。

 

焦らず社会復帰を目指すなら|就労継続支援B型事業所オリーブへ

うつ病からの社会復帰の道のりは、一直線ではありません。少し進んでは休み、また少し進む、といったように、ご自身のペースで進むことが何よりも大切です。

「就職活動を始めたけれど、まだフルタイムで働く自信はない」「まずは社会とつながるリハビリから始めたい」

もしあなたがそう感じているなら、「就労継続支援B型事業所」という選択肢を考えてみませんか。

私たち「就労継続支援B型事業所オリーブ」は、大阪、兵庫、京都、奈良の関西エリアで、うつ病をはじめ様々な障害や病気を抱える方が、安心して社会復帰への第一歩を踏み出すためのお手伝いをしています。

オリーブは、雇用契約を結ばずに利用できるため、週1日・1日1時間といった、あなたの体調に合わせたペースからスタートできます。データ入力やウェブサイトの更新作業、軽作業など、一人ひとりの興味や得意なことに合わせて、無理なく取り組める仕事を提供しています。

経験豊富な支援員が常にそばにいて、仕事のことはもちろん、日々の悩みや不安も気軽に相談できる、温かい居場所がここにあります。焦らず、自分らしく。あなたらしい働き方への道を、オリーブで見つけてみませんか。見学やご相談は随時受け付けております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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