お役立ち情報 ハローワーク 傷病手当金 各種支援センター(障害者就業・生活支援センター、地域活動支援センターなど) 手帳・経済支援 相談先 精神疾患 自立支援医療制度 適応障害
適応障害で仕事を続けるには?休職や退職に悩む方へ対処法と支援制度を解説

「仕事のストレスで心身ともに限界…、もう会社に行けない」「このまま働き続けるべきか、休職か、それとも辞めるべきか…」適応障害と診断され、このような人生の大きな岐路に立ち、一人で悩み苦しんでいる方は少なくありません。心身がつらい状況で、冷静に将来を考えるのは非常に困難なことです。しかし、焦って結論を出す前に、それぞれの選択肢の先にあるものを正しく理解し、利用できるサポートを知っておくことが、後悔しないための大切な一歩となります。
この記事では、適応障害と仕事の問題に直面している方のために、「仕事を続ける」「休職する」「退職する」という3つの選択肢について、それぞれのポイントや注意点を詳しく解説します。さらに、休職や退職の際にあなたの生活を支える公的な支援制度についても網羅的にご紹介します。この記事が、暗闇の中にいるように感じるあなたのための「道しるべ」となり、ご自身にとって最善の道を見つけ出す手助けとなれば幸いです。
適応障害の原因は仕事のストレス?再発防止の重要性
まず、なぜご自身がこれほどつらいのか、その原因と向き合い、どうすれば同じ状況を繰り返さずに済むのかを理解することが、全てのスタートラインとなります。
適応障害は「特定のストレス」が原因で発症する
適応障害は、ある特定の出来事や状況がその人にとって大きなストレスとなり、それによって心身のバランスが崩れ、日常生活に支障が出てしまう状態です。特に、社会人にとっては「仕事」がストレスの原因(ストレッサー)となるケースが非常に多く見られます。
仕事における主なストレスの原因
- 人間関係
- 上司からの叱責、同僚との不和、顧客とのトラブル、いじめなど
- 業務内容
- 仕事の量が多い(過重労働)、責任が重すぎる、仕事内容が合わない、単調すぎる
- 職場環境
- 頻繁な配置転換、長時間労働の常態化、成果主義のプレッシャー、相談しにくい雰囲気
あなたの不調は、決してあなたの「弱さ」や「甘え」が原因ではありません。あなたの許容量を超えるほどの強いストレスが、心と体にSOSサインを出させているのです。
再発防止には「ストレス要因からの離脱」が不可欠
適応障害の治療において最も重要なのは、根本的な原因である「ストレス因」を特定し、それに対して適切に対処することです。それが行われない限り、たとえ一時的に症状が良くなっても、同じ環境に戻れば再発してしまう可能性が非常に高いのです。
そのため、治療と今後の働き方を考える上で、ストレス要因から物理的・心理的に距離を置くための「環境調整」こそが、治療と再発防止の核となります。次の章では、この環境調整をどう実現していくか、具体的な選択肢を見ていきましょう。
仕事を続けるか休職・退職するか|選択肢別のポイント
環境調整を実現するための選択肢は、大きく分けて「今の職場で働き続ける」「休職する」「退職する」の3つです。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況と照らし合わせて検討しましょう。
選択肢1:仕事を続ける場合のポイント(職場への相談と環境調整)
現在の職場から離れずに、環境を調整して働き続ける方法です。生活を変えずに済むというメリットがありますが、会社側の理解と協力が不可欠です。
取り組むべきこと:
-
- 職場への相談:まずは直属の上司や人事部、産業医などに相談しましょう。その際、主治医の診断書や意見書を提示すると、客観的な事実として状況が伝わりやすくなります。
- 合理的配慮の依頼: 「何に困っていて、どうしてほしいのか」を具体的に伝え、業務上の配慮を求めます。例えば、「〇〇さんとの業務上の関わりを減らしてほしい」「残業を免除してほしい」「一時的に負担の軽い部署へ異動させてほしい」などです。
- セルフケアの徹底: 認知行動療法などのカウンセリングを通じて、ストレスへの対処法(コーピング)を学ぶことも有効です。また、生活リズムを整え、十分な休息を取ることを心がけましょう。
注意点:
会社に相談しても、必ずしも望む配慮が得られるとは限りません。環境が変わらないまま無理に働き続けると、かえって症状が悪化し、うつ病などに移行してしまうリスクもあります。改善が見られない場合は、休職や退職といった次の選択肢を考える必要があります。
選択肢2:休職する場合のポイント(治療への専念と計画的な過ごし方)
休職は、仕事のストレスから完全に離れ、心身の回復に専念するための最も有効な手段です。会社に籍を置いたまま、経済的な支援(傷病手当金)を受けながら安心して休めるのが最大のメリットです。
休職中の過ごし方のポイント:
- 【急性期】とにかく休む
- 休職開始直後は、罪悪感や焦りを感じるかもしれませんが、まずは何もしないで心と体を休ませることに集中しましょう。
- 【回復期】生活リズムを整える
- 少し元気が出てきたら、毎日同じ時間に起きて、散歩や軽い運動をするなど、生活リズムを整えていきます。
- 【復職準備期】復職に向けた準備
- 主治医と相談しながら、リワーク支援などを利用して、通勤の練習や、オフィスに近い環境で過ごす練習を始めます。
注意点:
休職期間は、あくまで治療の期間です。焦って復職すると再発のリスクが高まります。復職のタイミングは、必ず主治医と相談して慎重に判断しましょう。
選択肢3:退職する場合のポイント(次のステップと経済的準備)
休職や環境調整を試みても状況が改善しない場合や、会社の体質そのものがストレスの原因である場合、退職が最善の選択となることもあります。
退職を決める前に考えるべきこと:
-
- 衝動的な退職は避ける: 心身が限界の状態で「もう辞めるしかない」と衝動的に決断すると、後悔につながりやすいです。可能であれば一度休職し、冷静に考える時間を持ちましょう。
- 経済的な準備: 退職後の生活を支えるための公的な支援制度(後述)について調べ、どの制度が利用できそうか、どれくらいの期間、収入が見込めるかを把握しておきましょう。
- 次のステップを考える: 退職後の再就職活動をどう進めるか、どこに相談できるかをあらかじめ考えておくと、漠然とした不安が和らぎます。
退職は、つらい環境から抜け出し、新しい人生をリスタートするための前向きな決断です。後悔しないためにも、十分な準備をしてから臨みましょう。
休職・退職時に利用できる経済的な支援制度
仕事から離れる上で、最も大きな不安は経済的な問題です。治療に専念するためにも、利用できる公的な制度は漏れなく活用しましょう。
自立支援医療制度(精神通院医療)
適応障害を含む精神疾患の治療で、継続的に通院が必要な場合に、医療費の自己負担額が軽減される制度です。通常3割負担の医療費(診察代、薬代、カウンセリング費用など)が、原則1割負担になります。
- 相談窓口
- お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口
傷病手当金
会社の健康保険に加入している方が、業務外の病気やケガで連続4日以上仕事を休み、給与が支払われない場合に利用できます。休職中の生活を支える重要な制度です。
- 支給額
- 給与のおおむね3分の2
- 支給期間
- 支給開始日から通算して最長1年6ヶ月間
注意点:
退職後も、条件(退職日までに継続して1年以上被保険者であること等)を満たせば、継続して受給することが可能です。
雇用保険の基本手当(失業給付)
会社を退職し、再就職の意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない場合に支給されます。適応障害で退職した場合、「正当な理由のある自己都合離職」と認められる可能性があり、その場合は一般の自己都合退職よりも手厚い給付を受けられます。
- メリット
- 通常2ヶ月ある給付制限期間がなく、待機期間7日を過ぎればすぐに給付が始まります。
注意点:
傷病手当金(働けない状態の人のための手当)と失業給付(働ける状態の人のための手当)は、同時に受給することはできません。
仕事探しや復帰をサポートする専門機関
心身が回復し、次のステップに進みたいと考えた時、あなたをサポートしてくれる専門機関がたくさんあります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りましょう。
- ハローワーク
- 障害のある方向けの専門窓口が設置されており、専門知識を持つ相談員が、あなたの状況に合わせた職業相談や求人紹介を行ってくれます。
- 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
- 就職活動の支援から職場定着、さらには金銭管理や体調管理といった生活面での相談まで、幅広くサポートしてくれる身近な存在です。
- 就労移行支援事業所
- 一般企業への就職を目指す方が、職業訓練や就職活動支援を受ける場所です。
- 就労継続支援事業所
- すぐに一般企業で働くのが難しい方が、福祉的なサポートのある環境で、ご自身のペースで働くことができる場所です。雇用契約を結ぶA型と、結ばないB型があります。
ご家族や周囲の方ができること
ご本人が「続ける・休む・辞める」という大きな決断に悩んでいるとき、ご家族など周囲のサポートが大きな力になります。
-
- 本人の決断を尊重する: 「もう少し頑張ってみたら?」「すぐに辞めるなんて」など、周囲の価値観を押し付けるのは避けましょう。ご本人が十分悩んだ末に出した結論を、まずは受け止め、尊重する姿勢が大切です。
- そっと見守る: 特に休職中の休養期には、過度に干渉せず、安心して休める環境を整えることが何よりのサポートです。
- 情報収集を手伝う: ご本人は心身のエネルギーが低下し、必要な情報を調べることも困難な場合があります。経済的な支援制度などについて、代わりに調べて教えてあげることも大きな助けになります。
適応障害と向き合いながら働く準備をしませんか|就労継続支援B型事業所オリーブ
仕事を続けることも、休職することも、退職することも、どれも勇気のいる大きな決断です。そして、どの道を選んだとしても、その先には「自分に合った働き方やペースを、焦らずに見つけていく」という大切な時間が必要になります。
もしあなたが、ストレスの多い環境から一旦離れて、心と体を休ませながら、次の働き方をじっくりと準備したいと考えているなら、就労継続支援B型事業所オリーブが、あなたのための「準備の場所」になれるかもしれません。
オリーブは、障害や心身の不調のある方が、雇用契約を結ばず、ご自身の体調を最優先しながら、軽作業などの生産活動に取り組める福祉事業所です。
-
- 安心できる「新しい環境」: 適応障害の治療の鍵となる「環境調整」を、オリーブで実現しませんか。プレッシャーや複雑な人間関係から離れ、穏やかな環境で過ごせます。
- 自分のペースを取り戻す: 週に1日、1日1時間からでも利用できます。「今日は頑張れそう」「今日は休みたい」というあなたの心と体の声に、私たちは耳を傾けます。
- 社会とのつながりを保つ: オリーブは、安心して過ごせるあなたの「居場所」となり、社会とのつながりを保ち続けます。
- 次の一歩への準備: 支援員との対話を通じて、あなたが本当にやりたいこと、あなたにとって心地よい働き方とは何かを、一緒に見つけていきましょう。
つらい経験を乗り越えた先には、きっとあなたらしく輝ける働き方があるはずです。そのための準備期間を、私たちと一緒に過ごしませんか。まずは見学から、お気軽にお問い合わせください。