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精神障害のある方の仕事の悩みとは?解決策や復帰方法・支援制度を解説

うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神障害を抱えながら「働きたい」と願うとき、多くの方が様々な仕事上の悩みに直面します。意欲はあるのに、症状によって思うように力を発揮できなかったり、周囲の無理解に傷ついたりして、「仕事を続けるのはもう無理かもしれない」と、一人で思いつめていませんか。
しかし、精神障害は、決してあなたの「弱さ」や「甘え」が原因ではありません。病気の特性を正しく理解し、適切な対処法やサポートを活用することで、あなたらしく働き続けることは十分に可能です。
この記事では、精神障害のある方が仕事で抱えがちな具体的な悩みから、その解決策、そして休職からの復帰方法や利用できる支援制度までを、網羅的に解説していきます。あなたが安心して働き、充実した社会生活を送るための一助となれば幸いです。
はじめに:「精神障害」とは?
精神障害とは、脳の機能的な障害により、感情や思考、行動などに症状が現れ、日常生活や社会生活に制約が生じる状態の総称です。その原因は様々で、生まれつきの脳機能の特性、ストレス、遺伝的要因などが複雑に関係していると考えられており、決して「心の弱さ」や「性格の問題」ではありません。
代表的な精神障害には、以下のようなものがあります。
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- 統合失調症: 考えや気持ちがまとまりにくくなる病気で、幻覚や妄想などの症状が現れることがあります。
- 気分(感情)障害: 気分が落ち込む「うつ病」や、うつ状態と気分が高揚する躁状態を繰り返す「双極性障害」などがあります。
- 不安障害(神経症性障害): 特定の状況や対象に強い不安や恐怖を感じる「パニック障害」や「社交不安障害」などが含まれます。
- 発達障害: ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)など、生まれつきの脳機能の発達の偏りにより、コミュニケーションや行動面で困難が生じることがあります。
これらの障害は、それぞれ特性や必要な配慮が異なります。
精神障害のある方が仕事で抱えがちな3つの悩み
精神障害のある方が働く上で直面する困難は一人ひとり異なりますが、多くの方に共通する代表的な悩みがあります。
悩み1:見た目では分かりにくく理解されづらい
精神障害は、骨折や怪我のように、外見からそのつらさや困難さが分かりにくい「見えない障害」です。そのため、症状によって仕事のペースが落ちたり、ミスが増えたりしても、周囲からは「怠けている」「やる気がない」といった、本人の意欲や性格の問題だと誤解されがちです。本当は症状と闘いながら必死で業務に取り組んでいるにもかかわらず、その苦労が理解されず、孤独感を深めてしまうことが大きな悩みの一つです。
悩み2:体調の波が大きく安定して働きにくい
精神障害の多くは、症状が良い時期と悪い時期を繰り返す「波」があるのが特徴です。体調が良い日には問題なく仕事がこなせるのに、翌日には強い倦怠感や気分の落ち込みで、ベッドから起き上がることさえ困難になることも少なくありません。この予測不能な体調の波は、「毎日決まった時間に、決まった場所で働く」という一般的な働き方を非常に困難にし、「また急に休んでしまうのではないか」という不安を常に抱えることになります。
悩み3:症状への偏見や誤解に傷つく
残念ながら、社会にはまだ精神障害に対する根強い偏見や誤解が存在します。そのために、職場で「精神障害は心が弱いからなる」「重要な仕事は任せられない」といった心ない言葉や、腫れ物に触るような態度に傷つき、精神的に追い詰められてしまうこともあります。こうした偏見は、ご本人の自尊心を深く傷つけ、症状の悪化や職場での孤立につながってしまいます。
仕事の悩みを乗り越えるための5つのポイント
こうした仕事の悩みを乗り越え、働き続けるためには、どのようなことを心がければ良いのでしょうか。
ポイント1:自分の障害特性を理解し、伝え方を工夫する
まず最も大切なのは、ご自身が自分の病気や障害の特性を正しく理解することです。主治医やカウンセラーと相談しながら、「どんな状況でストレスを感じやすいのか」「どんな配慮があれば安心して働けるのか」を客観的に整理しましょう。その上で、職場の信頼できる上司や人事担当者に、その内容を具体的に伝えることが、働きやすい環境を作るための第一歩となります。
その際、「〇〇という症状があるため、△△が苦手です。つきましては、□□のようにご配慮いただけると助かります」というように、具体的な「事実」と「対処法(求める合理的配慮)」をセットで伝えると、相手も理解しやすくなります。
【合理的配慮の具体例】
- 業務内容の配慮
- 電話応対を減らす、マルチタスクを避けて一つの業務に集中させる、業務の指示を口頭だけでなく文書でもらう。
- 労働時間の配慮
- 通院のための休暇取得、時短勤務やフレックスタイム制度の活用、残業の制限。
- 職場環境の配慮
- 騒音や視線が気にならないようパーテーションのある席にする、体調不良時に休める休憩スペースを確保する。
ポイント2:職場の人間関係で悩んだ時の対処法
職場の人間関係は、大きなストレス要因となり得ます。一人で抱え込まず、適切な対処法を知っておきましょう。
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- 自分の気持ちを上手に伝える(アサーション): 相手を攻撃したり、自分が我慢したりするのではなく、「私は〇〇と言われると、悲しく感じます」のように、主語を「私」にして気持ちを伝える練習をしてみましょう。これにより、相手との間に角を立てずに、自分の状況を理解してもらいやすくなります。
- 相談できる相手を見つける: 職場で信頼できる上司や同僚、産業医など、いざという時に相談できる相手を一人でも見つけておくと、心の負担が大きく減ります。
- ハラスメントへの対処: 障害を理由としたいじめや嫌がらせは、パワーハラスメントに該当する可能性があります。いつ、どこで、誰に、何を言われた(された)かを具体的に記録し、社内の相談窓口(人事部、コンプライアンス室など)や、社外の労働局に相談しましょう。
ポイント3:主治医と相談しながら治療を継続する
精神障害は、適切な治療によって症状をコントロールすることが可能な病気です。仕事を続ける上でも、自己判断で薬を中断したりせず、主治医とよく相談しながら根気強く治療を続けることが不可欠です。体調が良いと感じるのは、薬が効いて症状が安定しているからです。
ポイント4:無理せず休む勇気を持つ
「周りに迷惑をかけられない」という思いから無理を重ねることは、症状を悪化させ、回復を長引かせるだけです。つらい時には、勇気を持って休むこと。これも、長く働き続けるために必要な大切なスキルの一つです。有給休暇の取得や、時には休職という選択肢も視野に入れましょう。
ポイント5:多様な働き方の中から自分に合ったスタイルを見つける
正社員として毎日フルタイムで働くことだけが、唯一の働き方ではありません。ご自身の体調や特性に合わせて、多様な働き方の中から自分に合ったスタイルを見つけることが、安定した就労への鍵となります。
- オープン就労とクローズ就労
- 障害を開示して配慮を求める「オープン就労(障害者雇用枠など)」と、開示せずに働く「クローズ就労」があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、支援機関と相談しながら選択することが重要です。
- 雇用形態の選択
- 正社員だけでなく、短時間勤務が可能なアルバイトやパートタイマー、在宅勤務(テレワーク)など、様々な選択肢があります。
休職や退職も選択肢|利用できる経済的な支援制度
どうしても仕事を続けるのが困難な時は、一度仕事から離れ、治療に専念することも自分を守るための大切な選択肢です。
休職や退職時に利用できる支援制度一覧
仕事から離れる際の経済的な不安を支えるため、様々な公的な支援制度が用意されています。
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- 傷病手当金: 会社の健康保険加入者が、病気やけがで休職し給与が支払われない場合に、最長1年6ヶ月間、給与のおおむね3分の2が支給されます。
- 自立支援医療(精神通院医療): 精神疾患の継続的な通院にかかる医療費の自己負担が、通常3割のところ1割に軽減されます。
- 精神障害者保健福祉手帳: 税金の控除や公共料金の割引など、様々な福祉サービスを利用できます。
- 生活保護: 資産などを活用してもなお生活に困窮する場合に、国が最低限度の生活を保障する制度です。
仕事の悩みや復帰を相談できる専門機関と支援サービス
治療によって症状が安定し、再び働くことを考え始めた際には、一人で悩まずに専門機関の力を借りましょう。
ハローワーク(専門援助窓口)
全国のハローワークには、障害のある方の就職を専門にサポートする窓口があります。精神保健福祉士などの専門知識を持つ相談員が配置されており、個々の状況に合わせた職業相談や求人紹介、応募書類の添削、面接練習など、きめ細やかなサポートを無料で受けられます。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
仕事(就業)の支援と、日常生活(生活)の支援を一体的に行う身近な相談機関です。就職活動のサポートはもちろん、金銭管理や体調管理、住まいのことなど、安定して働き続けるための生活面の課題についても相談に乗ってくれます。
職場復帰支援(リワーク)プログラム
休職者を対象に、復職に向けたリハビリテーションを行うプログラムです。医療機関や障害者職業センターなどで実施されています。オフィスに近い環境で、模擬的な業務やグループワーク、ストレス対処法などを学び、スムーズな復職を目指します。
就労移行支援
一般企業への就職を目指す方が、職業訓練や求職活動支援、就職後の定着支援を受けられる障害福祉サービスです。原則2年間、PCスキルやビジネスマナーなどを学び、職場実習などを通じて、働くための準備を体系的に行います。
就労継続支援(A型・B型)
一般企業で働くことが難しい場合に、支援を受けながら働く機会を提供する障害福祉サービスです。雇用契約を結び給料が支払われる「A型」と、雇用契約を結ばず体調に合わせて柔軟に働ける「B型」があります。
精神障害と向き合いながら働く準備をしませんか 就労継続支援B型事業所オリーブ
精神障害と向き合いながら、一般企業で働き続けることの難しさを感じていませんか。「体調の波があって、毎日通う自信がない」「プレッシャーの少ない環境で、まずは働くことに慣れたい」そんな風に願うあなたにとって、
就労継続支援B型事業所オリーブは、心強い味方となることができます。
オリーブは、雇用契約を結ばず、あなたの体調や気持ちを最優先に考えながら、週に1日、1日2時間といったごく短い時間からでも利用できる場所です。精神障害への深い理解を持つスタッフが、あなたが安心して過ごせるよう、きめ細やかにサポートします。
まずはオリーブという安心できる環境で、生活リズムを整え、働くことの達成感や喜びを感じることから、社会復帰への準備を始めてみませんか。関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良)で、あなたらしい働き方の第一歩を踏み出したいとお考えなら、ぜひ一度、オリーブにご相談ください。