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就労移行支援は2回目の利用(再利用)ができる?条件や期間について解説

就労移行支援事業所を利用して一般企業に就職したものの、残念ながら離職してしまった…。再就職を目指したいけれど、「もう一度、就労移行支援を使ってじっくり準備したい。でも、2回目の利用なんてできるのだろうか?」と、不安や疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。一度就職に失敗した経験から、次のステップに進むことに慎重になるのは当然のことです。結論からお伝えすると、就労移行支援の利用は「原則として1回限り」ですが、自治体の判断によっては2回目の利用(再利用)が認められる可能性があります。この記事では、就労移行支援の2回目の利用について、その可否や条件、利用できる期間、申請する際の重要なポイントなどを詳しく解説していきます。再利用の仕組みを正しく理解し、あなたの再就職に向けた確かな一歩を踏み出すための参考にしてください。

就労移行支援は2回目の利用(再利用)できる?

一度利用したサービスをもう一度使えるのか、これは最も気になる点だと思います。就労移行支援の再利用は、国の制度としてルールが定められています。

原則1回だが、自治体の判断により再利用できる場合がある

まず大前提として、障害者総合支援法に基づく就労移行支援の利用は、「原則として1人1回限り」とされています。これは、就労移行支援が公的な税金によって賄われる福祉サービスであり、限られたリソースをできるだけ多くの人に公平に提供するという考え方に基づいています。しかし、この「原則1回」は絶対的なものではありません。厚生労働省からの通知により、「やむを得ない事情により、就労移行支援を再度利用することが、本人の就労のために実質的に必要である」とお住まいの市区町村が判断した場合には、例外的に2回目の利用が認められる道が残されています。つまり、2回目の利用ができるかどうかの最終的な決定権は、国や事業所ではなく、あなたの住民票がある市区町村(自治体)が持っている、ということが非常に重要なポイントになります。自己判断で「無理だ」と諦めるのではなく、まずは相談することが大切です。

2回目の利用が必要となる「やむを得ない事情」の例

では、自治体はどのような場合に「やむを得ない事情」があり、「必要性が高い」と判断するのでしょうか。明確な基準は自治体ごとに異なりますが、一般的に2回目の利用が検討される可能性があるのは、以下のようなケースです。

本人に責任のない理由での離職
就職した会社の経営不振による倒産、業績悪化によるリストラ(解雇)など、本人の働きぶりとは関係なく、やむを得ず離職した場合。

 

障害特性と職場環境の著しいミスマッチ
実際に働いてみた結果、合理的配慮を求めても職場からの理解が得られなかったり、業務内容が障害特性にどうしても合わなかったりして、努力を重ねても就労を継続することが著しく困難になった場合。

 

病状の悪化による離職
就職後に病状が悪化し、治療に専念するために離職せざるを得なくなった。その後、体調が回復し、改めて再就職を目指す意欲がある場合。

 

新たな課題への対応
前回の利用時には分からなかった、あるいは対応しきれなかった新たな課題が見つかった場合。例えば、うつ病で利用した後に発達障害の診断を受け、発達障害の特性に特化した訓練が必要になったケースなどが考えられます。

 

これらのケースに当てはまれば必ず利用できるわけではありませんが、自治体に相談する際の有力な理由となり得ます。

就労移行支援を2回目(再利用)に利用するための条件

2回目の利用が認められるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。大きく分けて、「自治体に必要性を認めてもらうこと」と「基本的な利用条件を満たしていること」の2つが重要です。

条件1:自治体が再利用の必要性を認めること

これが最も重要かつ、ハードルの高い条件です。自治体の担当者に「なぜ、もう一度就労移行支援が必要なのか」を客観的かつ具体的に説明し、納得してもらう必要があります。ただ「もう一度やりたい」と伝えるだけでは不十分です。「2回目の利用をすることで、今度こそ安定した就労を実現できる」という具体的な見込みを示すことが求められます。

前回の就労が続かなかった原因の分析
なぜ離職に至ったのかを自分なりに客観的に振り返り、課題を明確にする。

 

前回の就労移行支援の振り返り
前回の利用で得られたスキルや成果と、一方で足りなかった点は何かを整理する。

 

今回、改めて支援が必要な理由
前回の課題を踏まえ、今回新たにどのようなスキルを身につけたいのか、どのようなサポートを必要としているのかを具体的に説明する。

 

安定就労への具体的なビジョン
「その目標を達成することで、今度こそ〇〇のような職種で、安定して働き続けることができると考えている」と、将来への前向きな見通しを語る。

 

この「必要性の証明」が、再利用の可否を判断する上での最大の鍵となります。

条件2:就労移行支援の基本的な利用条件を満たしていること

もちろん、2回目の利用であっても、そもそも就労移行支援の対象者でなければなりません。初めて利用する方と同じ、基本的な利用条件を改めて確認しておきましょう。

就労移行支援の基本的な利用対象者

年齢
原則として、申請時点で65歳未満の方。

 

障害の種別
身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、または難病(障害者総合支援法の対象となる疾病)のある方。

 

就労への意欲
一般企業などへの就職を希望しており、就労が可能と見込まれる方。

 

その他の条件
現在、企業に雇用されておらず、就労移行支援事業所に通える方。(※休職中の方などは自治体の判断によります)

 

なお、障害者手帳の所持は必須条件ではありません。手帳がない場合でも、医師の診断書や意見書など、障害があることを証明できる書類があれば対象となる可能性があります。

2回目の利用期間はどうなる?

もし2回目の利用が認められた場合、利用できる期間はどのようになるのでしょうか。これも制度で定められており、原則と例外があります。

原則は「24ヶ月」から利用済み期間を引いた「残りの期間」

就労移行支援を利用できる標準期間は「24ヶ月(2年間)」と定められています。2回目の利用が認められた場合、利用できる期間は、原則としてこの24ヶ月から、すでに利用した月数を差し引いた期間となります。

計算例

ケース1
前回、就労移行支援を12ヶ月利用して就職した。
再利用できる期間:24ヶ月 – 12ヶ月 = 最長12ヶ月
ケース2
前回、上限の24ヶ月をすべて利用した。
再利用できる期間:24ヶ月 – 24ヶ月 = 0ヶ月 となり、原則として再利用はできません。

このように、前回の利用期間が短いほど、再利用できる期間は長くなります。

利用期間がリセットされ、新たに24ヶ月利用できるのは極めて例外的

では、利用期間がリセットされて、もう一度ゼロから24ヶ月間利用できることはないのでしょうか。結論から言うと、これは極めて例外的なケースであり、ほとんどの場合、期間のリセットは認められません。

厚生労働省のQ&Aでは、過去に就労移行支援を利用して一般就労し、一定期間(例:1年以上)就労を継続した経験がある方などが、再度一般就労を目指す際に、新たな訓練期間(最大24ヶ月)が認められる可能性が示唆されています。しかし、これもあくまで可能性の一つであり、最終的には自治体が個々の状況を詳細に審査して判断します。「簡単にリセットしてもらえる」とは考えず、基本的には「残りの期間を利用する」という認識でいることが大切です。

就労移行支援の2回目利用を申請する際の流れとポイント

2回目の利用を希望する場合、どのように行動すればよいのでしょうか。ここでは、申請に向けた具体的な流れと、成功させるための重要なポイントをご紹介します。

ステップ1:まずは市区町村の障害福祉担当窓口に相談する

これが、何よりも先に取るべき最も重要なアクションです。自己判断で「自分は対象外だろう」と諦めたり、いきなり就労移行支援事業所に「再利用したい」と相談したりするのではなく、必ず、お住まいの市区町村の役所にある障害福祉担当窓口へ相談に行ってください。窓口の担当者に、これまでの経緯(前回の利用状況、就職と離職の理由など)を正直に話し、「就労移行支援の2回目の利用を検討している」と伝えます。そして、その自治体ではどのような場合に再利用を認めているのか、どのような手続きや書類が必要になるのかを、直接確認しましょう。

ステップ2:再利用の必要性を客観的・具体的に説明する

窓口での相談や、その後の認定調査の面談では、「なぜ、もう一度就労移行支援が必要なのか」を具体的に説明し、担当者に納得してもらうことが不可欠です。感情的に訴えるのではなく、客観的な事実に基づいて、論理的に話せるように準備しておきましょう。

説明のポイント

離職原因の客観的な分析
「会社のせい」「体調のせい」で終わらせず、「自分の〇〇という課題に対して、職場の△△という環境が合わなかったため、継続が困難になった」というように、具体的に分析する。

 

前回の経験からの学び
「前回の経験を通じて、自分には〇〇というスキルが足りないこと、△△という配慮が必要なことが分かった」と、経験を学びに変えられていることを示す。

 

今回の利用における明確な目標
「今回は、その足りない〇〇のスキルを身につけたい」「△△の配慮がある職場で働くための対処法を学びたい」と、具体的な目標を提示する。

 

安定就労への具体的なビジョン
「その目標を達成することで、今度こそ〇〇のような職種で、安定して働き続けることができると考えている」と、将来への前向きな見通しを語る。

 

可能であれば、主治医の意見書や、相談支援専門員のサポートなどを得て、第三者の客観的な意見を添えることも、説得力を高める上で非常に有効です。

もし2回目の利用が認められなかったら?

審査の結果、残念ながら再利用が認められないケースもあります。しかし、再就職を諦める必要は全くありません。就労移行支援以外にも、あなたをサポートする道はたくさんあります。

就労継続支援(A型・B型)
まずは福祉的なサポートのある環境で、働くことへの自信や生活リズムを取り戻す場所です。

 

ハローワークの専門援助窓口
障害のある方向けの専門窓口で、求人紹介や就職相談ができます。

 

地域障害者職業センター
より専門的な職業評価や職業準備支援を受けられます。

 

再就職に不安があるあなたへ|就労継続支援B型事業所オリーブという選択肢

就労移行支援の2回目の利用は、可能性はあるものの、誰もが認められるわけではなく、ハードルが高いのも事実です。「再利用の審査が通るか不安だ」「審査を待つ間、何もせずにいるのはつらい」「そもそも、もう一度週5日で通う自信がない」と、新たな不安を感じている方もいるかもしれません。

そんな時は、一度立ち止まって、就労継続支援B型事業所オリーブという別の選択肢を考えてみませんか?

就労継続支援B型は、利用回数に制限がなく、ご自身の体調やペースに合わせて、週に1日や1日2時間といった短時間からでも利用を始めることができます。オリーブで軽作業などに取り組みながら、まずは生活リズムを整え、働くことへの自信と体力をゆっくりと取り戻していく。そして、心身の状態が安定した時に、改めて就労移行支援の再利用や、一般就労への挑戦を考えるという道もあります。

再就職へのルートは一つだけではありません。あなたにとって今、本当に必要なサポートは何かを一緒に考えさせてください。オリーブは、あなたの再挑戦をいつでも応援しています。まずはお気軽に見学・ご相談にお越しください。

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