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就労移行支援利用時の生活費はどうする?お金がないときの対処法や支援制度を解説

就労移行支援利用時の生活費はどうする?お金がないときの対処法や支援制度を解説

障害のある方の一般企業への就職を力強くサポートしてくれる「就労移行支援」。就職に向けたスキルアップや準備ができる非常に有効なサービスですが、利用を検討する際に多くの方が直面するのが、「利用している間の生活費はどうすればいいの?」という切実な問題です。就労移行支援は、訓練に専念することが目的のため、原則として利用中に給料や工賃は支払われません。そのため、貯金がなかったり、ご家族からの援助が難しかったりする場合、生活費への不安が利用への大きな壁となってしまうことも少なくありません。しかし、諦める必要はありません。日本には、そうした状況の方々を支えるための様々な公的制度が用意されています。この記事では、就労移行支援の利用中にかかる費用から、あなたの生活を支えるための各種支援制度、そして多くの方が気になるアルバイトとの両立の可否まで、お金に関する疑問や不安を解消するための情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、経済的な不安を軽減し、安心して就職準備に専念するための道筋が見えてきます。

就労移行支援の利用中にかかる費用

生活費について考える前に、まずは就労移行支援の利用に際して「出ていくお金」にはどのようなものがあるのかを把握しておきましょう。主に「利用料」と「その他の費用」に分けられます。

就労移行支援の利用料は、約9割の方が無料

就労移行支援は障害福祉サービスの一つであり、その利用料は国の制度に基づいて定められています。利用料の自己負担額は、前年の世帯所得によって異なり、負担が重くなりすぎないように上限額が設けられています。

所得区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

この表が示す通り、生活保護世帯や住民税非課税世帯の方は、利用料の負担はありません。厚生労働省の調査によると、実際に就労移行支援を利用している方の約9割が自己負担なく(無料で)利用しています。

【ポイント】「世帯」の範囲について

利用者負担額を算定する際の「世帯」の範囲は、18歳以上の障害者の場合、本人とその配偶者となります。親や兄弟姉妹と同居していても、その収入は算定の対象には含まれません。そのため、ご両親に収入があっても、ご本人が住民税非課税であれば、自己負担額は0円となります。この点は多くの方が誤解しやすい部分なので、正しく理解しておきましょう。

交通費や昼食代などその他の費用

利用料以外にも、事業所に通うためには日々の実費がかかります。

交通費
自宅から事業所までの往復の電車代やバス代。

 

昼食代
お弁当を持参しない場合の費用。

 

その他の雑費
訓練で使用する文房具や参考書代など。

 

これらの費用は自己負担が基本となりますが、負担を軽減するためのサポートを用意している自治体や事業所もあります。市区町村によっては交通費の一部を助成する制度があったり、事業所が独自に交通費を補助したり、昼食を無料で提供したりしているケースもありますので、見学などの際に確認してみましょう。

就労移行支援利用中の生活費を支える4つの公的制度

収入が途絶える期間の生活を支えるためには、利用できる公的制度を最大限に活用することが重要です。ここでは、生活費の基盤となり得る4つの代表的な制度をご紹介します。

障害年金

病気やけがによって法律で定められた障害の状態になり、生活や仕事などが制限される場合に受け取ることができる公的な年金です。就労移行支援を利用する方の多くが、この障害年金を受給しながら生活費を賄っています。障害年金の申請は、初診日の証明や病歴・就労状況等申立書の作成など、手続きが複雑な場合があります。ご自身での申請が難しいと感じる場合は、年金の専門家である社会保険労務士に相談するのも一つの方法です。

相談窓口
市区町村の役所の年金担当窓口、または最寄りの年金事務所

 

雇用保険(失業給付)

一般的に「失業保険」と呼ばれるもので、会社を退職した方が、安定した生活を送りつつ、1日も早く再就職するための支援として給付されるものです。障害者手帳を持っている方などは「就職困難者」と区分され、一般の離職者に比べて給付日数が長く設定されるメリットがあります。

【ポイント】受給期間の延長制度

退職後、病気やけがなどですぐに働けない状態の場合、ハローワークで手続きをすることで、失業給付の受給期間を最大で3年間延長できます。これにより、まずは就労移行支援で訓練に専念し、就職活動を始められる状態になってから、改めて失業給付を受給するという選択が可能になります。

相談窓口
お住まいの地域を管轄するハローワーク

 

傷病手当金

会社の健康保険に加入している方が、業務外の病気やけがのために仕事を休み、事業主から十分な給与が受けられない場合に支給される手当です。在職中だけでなく、退職後も条件を満たせば継続して受給できる場合があります。最長で通算1年6ヶ月間、給与のおおむね3分の2が支給されます。

相談窓口
ご自身が加入している健康保険組合や、全国健康保険協会(協会けんぽ)

 

生活保護

資産や能力など、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方に対し、国が不足分を補い、自立を助けることを目的とした制度です。生活保護は、単に生活費を支給するだけでなく、就労支援などを通じて社会的な自立を支援することも大きな目的としています。生活保護の受給は国民の権利であり、必要な場合はためらわずに相談することが大切です。申請は、お住まいの地域を所管する福祉事務所で行います。相談から申請、調査を経て、保護が開始されるという流れが一般的です。

相談窓口
お住まいの地域を所管する福祉事務所

 

生活費の負担を軽減するその他の支援制度

直接的な収入にはならなくても、日々の支出を抑えることで、生活の負担を軽くしてくれる制度もあります。

医療費の負担を軽減する「自立支援医療制度」

精神疾患の治療のために継続的に通院している方が利用する「自立支援医療(精神通院医療)」がよく知られています。通常3割の医療費自己負担が原則1割に軽減されます。

相談窓口
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口

 

各種割引などが受けられる「障害者手帳」

身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を提示することで、日常生活の様々な場面で割引サービスを受けることができます。

    • 税制上の優遇: 所得税や住民税、自動車税などの控除・減免
    • 公共料金の割引: JRや私鉄、バスなどの公共交通機関の運賃割引、NHK受信料の減免など
    • 公共施設の割引: 美術館、博物館、動物園などの入場料割引・免除
    • その他のサービス: 携帯電話会社の料金プラン割引、映画館の鑑賞料金割引など

 

一つひとつの割引額は小さくても、積み重なると大きな節約につながります。

一時的な資金を借りられる「生活福祉資金貸付制度」

他の公的制度を利用しても、当面の生活費が不足する場合に利用を検討できるのが、社会福祉協議会が窓口となっている公的な貸付制度です。低所得世帯や障害者世帯などを対象に、無利子または低金利で生活費などの貸付を行っています。総合支援資金や緊急小口資金など、目的別にいくつかの種類があります。あくまで「貸付」であり返済が必要ですが、いざという時の選択肢として知っておくと安心です。

相談窓口
お住まいの市区町村の社会福祉協議会

 

お金の悩みをどこに相談すればいい?

ここまで様々な制度を紹介しましたが、「自分の場合はどれが使えるのか分からない」「どこから手をつければいいのか」と混乱してしまうかもしれません。そんな時は、一人で悩まず、以下の身近な窓口に相談することから始めましょう。

市区町村の障害福祉担当窓口
福祉制度の総合的な最初の窓口です。あなたの状況を伝えれば、利用できる可能性のある制度について全般的な案内をしてくれます。

 

相談支援事業所の相談支援専門員
障害のある方の生活全般をサポートする専門家です。特定のサービス事業所から独立した中立的な立場で、あなたにとって最適な支援計画(サービス等利用計画)を一緒に考え、各制度の申請手続きを手伝ってくれるなど、心強い味方となってくれます。多くの市区町村で、サービスの利用申請にはこの相談支援専門員が作成した計画書が必要となります。

 

就労移行支援とアルバイトの両立は可能か

原則アルバイトは不可だが、自治体の判断による

結論から言うと、就労移行支援の利用とアルバイトの両立は、原則として認められていません。就労移行支援が「一般企業などに雇用されていない方」を対象とし、「訓練に専念する」ことを目的としたサービスだからです。ただし、やむを得ない事情で生活が著しく困窮する場合など、自治体が「訓練に支障のない範囲で」と判断した場合に限り、例外的にも許可されるケースもあります。

まずは市区町村の担当窓口や事業所に相談を

最も重要なことは、絶対に自己判断でアルバイトを始めないことです。黙ってアルバイトをすると、不正受給と見なされ、サービスの利用が打ち切りになるなどの重大なリスクがあります。経済的な事情でどうしてもアルバイトが必要な場合は、必ずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口と、利用を希望する就労移行支援事業所の両方に、正直に事情を話して相談してください。

収入を得ながら働く準備をしたいあなたへ|就労継続支援B型事業所オリーブのご案内

就労移行支援の利用を考えているけれど、やはり利用中の収入がないという点がネックになり、一歩を踏み出せない…。あるいは、アルバイトとの両立が原則できないと知り、どうすれば良いか悩んでしまった…。もしあなたがそうお考えなら、 就労継続支援B型事業所オリーブ という選択肢を検討してみませんか?

就労継続支援B型は、就労移行支援と同じ障害福祉サービスの一つですが、大きな違いがあります。それは、事業所内で行った生産活動(お仕事)に対して、対価として「工賃」が支払われるという点です。オリーブでは、ご自身の体調やペースに合わせて、週に1日や1日2時間といった短時間からでも、無理なく働くことができます。そして、その働きに応じて工賃という収入を得ながら、働くことへの自信や生活リズムを取り戻していくことが可能です。

まずはオリーブのようなB型事業所で、生活と収入の基盤を安定させる。そして、心身の状態が整った段階で、改めて就労移行支援や一般就労に挑戦する。そんなステップを踏むこともできます。あなたに合った働き方の選択肢は、一つではありません。ぜひ一度、オリーブに見学・相談にお越しください。

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