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保健所とは?役割や保健センターとの違い・相談できる内容を解説

「保健所」という言葉は、ニュースなどで耳にする機会も多く、誰でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、「具体的に何をしている場所なの?」「どんなことを相談できるの?」と聞かれると、正確に答えられる人は意外と少ないかもしれません。
特に、ご自身やご家族が心身の不調を抱えているとき、どこに相談すればよいか分からず、一人で悩んでしまうこともあります。
実は、保健所は私たちの健康に関する様々な悩みに応えてくれる、非常に心強い公的な相談窓口です。この記事では、保健所の基本的な役割から、よく似た名前の「保健センター」との違い、そして私たちが実際に利用できる相談内容やそこで働く専門職、相談後の流れまで、分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、保健所がより身近な存在に感じられ、いざという時に頼れる選択肢の一つになるはずです。
保健所とは?地域の健康を支える中核的な公的機関
保健所とは、地域住民の健康を守り、公衆衛生を向上させるための中心的役割を担う行政機関です。その設置や業務内容については、「地域保健法」という法律で定められています。
設置しているのは、都道府県、政令指定都市、中核市、特別区(東京23区)などで、比較的広い地域を管轄しています。かつては結核対策が主な業務でしたが、時代と共に役割を変化させ、現在では感染症対策から心の健康、生活環境の衛生まで、地域の健康課題に幅広く対応しています。
保健所には、医師や保健師、精神保健福祉士、栄養士、獣医師など、様々な分野の専門家が配置されており、個人の健康相談から地域全体の健康危機管理までを担う、私たちの暮らしに不可欠な存在です。
保健所で働く専門職とそれぞれの役割
保健所には多様な専門職が配置され、チームとして地域保健を支えています。主な専門職と役割は以下の通りです。
- 医師・歯科医師
- 公衆衛生医師として、地域の健康課題の分析や対策の企画立案、感染症発生時の疫学調査など、専門的な見地から保健所業務全体を統括します。
- 保健師
- 地域住民に最も身近な専門職の一つで、健康相談の総合的な窓口となります。精神保健、難病、母子保健など、様々な分野の相談に応じ、必要な支援機関へ繋ぐコーディネーターの役割も担います。
- 精神保健福祉士(PSW)
- 心の健康(メンタルヘルス)に関する専門家です。うつ病や統合失調症、依存症、ひきこもりなど、精神的な困難を抱える本人や家族からの相談に応じ、社会復帰に向けた具体的な支援策を一緒に考えます。
- 栄養士
- 生活習慣病予防のための食生活相談や、アレルギーを持つ子どもへの栄養指導など、食に関する専門的なアドバイスを行います。
- 獣医師・薬剤師など
- 食品衛生監視員や環境衛生監視員として、飲食店の営業許可や衛生監視、水道水の安全確保、ペットに関する相談など、生活環境の安全を守る役割を担います。
保健所の主な役割と業務内容
保健所の仕事は非常に多岐にわたります。ここでは、私たちの生活に特に関わりの深い主な役割について、具体的に見ていきましょう。
難病や精神保健に関する相談・支援
病気や障害を抱える方やそのご家族にとって、保健所は重要な相談窓口となります。
精神保健福祉に関する相談・支援
精神保健福祉士や保健師などの専門職が、心の問題を抱えるご本人やご家族からの相談に応じています。「こんなことで相談していいのかな?」とためらう必要はありません。
相談内容の例:
-
- うつ病、統合失調症、不安障害、依存症(アルコール、薬物、ギャンブルなど)に関する悩み
- ひきこもりに関する相談
- 職場のストレスや人間関係の悩み
- 眠れない、食欲がない、気分が落ち込むといった心身の不調
- 思春期の子どもの心の問題に関する相談
- 物忘れや認知症に関する相談
- 自殺予防に関する相談
ご家族への支援も充実
ご本人が相談に行くのをためらっている場合でも、ご家族だけで相談することが可能です。保健所では、ご家族がどのようにご本人と関われば良いかという具体的なアドバイスを受けられるほか、同じ悩みを持つ家族が集う「家族会」や、家族向けの学習会などの情報提供も行っています。ご家族自身が疲弊してしまわないための、大切なサポートの場となります。
医療費助成や障害者手帳の申請窓口
継続的な治療が必要な方の経済的負担を軽減するための制度や、障害のある方が様々なサービスを受けるための手帳の申請窓口としての役割も担っています。
- 自立支援医療(精神通院医療)
- 精神疾患の治療で継続的に通院する際の医療費の自己負担が、原則1割になる制度の申請受付。
- 精神障害者保健福祉手帳
- 一定の精神障害の状態にある方が、税金の優遇措置や各種割引などを受けるために必要な手帳の申請受付。
- 難病の医療費助成制度
- 国が指定する難病(指定難病)にかかる医療費の負担を軽減する制度の申請受付。
感染症の予防と対策
感染症の発生を予防し、まん延を防ぐことは、保健所の最も重要な役割の一つです。結核やエイズ(HIV)、性感染症に関する相談や検査(匿名・無料の場合が多い)を実施しているほか、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症発生時には、調査や入院勧告など、地域における対策の司令塔となります。
食品衛生や環境衛生の監視
私たちが安全な生活を送れるよう、暮らしの環境を守るための監視・指導も行っています。レストランやカフェなどの営業許可、理容所・美容所の衛生指導、ペットの登録や狂犬病予防、迷い犬・猫の保護なども保健所の業務です。
保健所と保健センター・精神保健福祉センターの違い
「保健所」とよく似た名前の機関に、「保健センター」や「精神保健福祉センター」があります。それぞれの役割が異なるため、違いを理解しておきましょう。
保健センターとの違い:専門・広域の「保健所」、身近な対人サービスの「保健センター」
保健センターは、市区町村によって設置され、私たち住民にとって最も身近な保健サービスの窓口です。
保健所 | 保健センター | |
---|---|---|
設置主体 | 都道府県、指定都市、中核市など | 市区町村 |
管轄エリア | 比較的広い | 比較的狭い(市区町村内) |
主な役割 | 専門的・広域的 ・難病、精神保健の専門相談 ・感染症対策 ・食品衛生、環境衛生の許認可 |
身近な対人サービス ・健康相談、健康教育 ・各種健診(がん検診など) ・予防接種 ・母子保健(母子手帳交付、乳幼児健診) |
簡単に言えば、「専門的で許認可なども行うのが保健所」「健康診断や育児相談など、住民が直接利用するサービスが中心なのが保健センター」と覚えておくとよいでしょう。
精神保健福祉センターとの違い:心の健康に特化したより高度な専門機関
精神保健福祉センターは、その名の通り「心の健康(精神保健福祉)」に特化した、より高度な専門機関です。原則として各都道府県・指定都市に1か所設置されており、保健所では対応が難しい複雑なケースの相談に応じたり、地域の支援機関(保健所や福祉事業所など)への技術的な指導や研修を行ったりする、地域の精神保健福祉活動の中核としての役割を担っています。
保健所に関するよくある質問(Q&A)
実際に保健所を利用するにあたって、多くの方が抱く疑問にお答えします。
- Q1. 相談は匿名でも可能ですか?
- A1. はい、相談内容によりますが、匿名での相談も可能です。特に、エイズ(HIV)や性感染症、精神保健に関する相談は、プライバシーに配慮し、匿名やニックネームで受け付けている保健所がほとんどです。制度利用の申請など、手続きによっては実名が必要になりますが、最初の相談の段階では、名前を明かさずに話し始めることができます。
- Q2. 相談にお金はかかりますか?
- A2. いいえ、保健所での健康相談は原則として無料です。ただし、HIV検査や肝炎ウイルス検査など、一部の検査では精密検査に費用がかかる場合があります。費用が発生する可能性がある場合は、必ず事前に説明がありますので、ご安心ください。
- Q3. 予約なしでも相談できますか?
- A3. 予約なしでも対応してくれる場合もありますが、担当の専門職員が不在のこともあります。特に精神保健福祉士や医師など、専門職への相談を希望する場合は、事前に電話で問い合わせ、予約することを強くお勧めします。予約することで、待ち時間なく、落ち着いた環境でじっくりと話を聞いてもらうことができます。
- Q4. 自分の住んでいる地域以外の保健所にも相談できますか?
- A4. 原則として、お住まいの地域を管轄する保健所が相談窓口となります。これは、地域保健法に基づき、各保健所が担当する区域が定められているためです。まずは住民票のある自治体の管轄保健所がどこかを確認しましょう。
保健所の探し方と相談後の流れ
「実際に保健所に相談したい」と思ったとき、どうすればよいのでしょうか。相談方法と、その後の支援の流れを解説します。
お住まいの自治体のホームページで管轄を確認
保健所は、お住まいの地域によって管轄が決まっています。まずは、お住まいの都道府県や市区町村のホームページで、管轄の保健所を確認しましょう。検索エンジンで「〇〇市(自治体名) 保健所」などと検索すれば、簡単に見つけることができます。
相談後の流れ:専門機関や福祉サービスへ
保健所での相談は、ゴールではなくスタートです。保健所の専門職は、相談内容に応じて、より適切な支援を受けられる専門機関や福祉サービスへ繋いでくれます。
相談事例:ひきこもりの息子に悩む家族の場合
- 保健所に相談
- 家族が保健所の精神保健福祉相談窓口に電話。
- 保健師・精神保健福祉士による面接
- 本人の状況や家族の思いを詳しく聞き取ります。
- 情報提供と関係機関への連携
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- ひきこもり地域支援センターや、同じ悩みを持つ家族が集う「家族会」などの情報を提供。
- 本人が医療を必要としている場合は、地域の精神科クリニックを紹介。
- 本人に「働きたい」という気持ちが見え始めたら、後述する就労継続支援事業所などの福祉サービスを紹介し、利用手続きをサポート。
-
このように、保健所は様々な社会資源への「橋渡し役」を担ってくれるのです。
就職に関するお悩みは就労継続支援B型事業所オリーブへ
保健所に相談し、医療費の助成制度や障害者手帳の申請などを通じて、治療や生活の基盤を整えることは、社会復帰への大切な第一歩です。
そして、心身の状態が少し安定してきて、「働きたい」「社会とのつながりを持ちたい」という気持ちが芽生えてきたとき、次に考えるのが「就労」についてではないでしょうか。
しかし、病気や障害を抱えながら、すぐに一般企業でフルタイムで働くことには、大きな不安が伴うかもしれません。「働くことへのリハビリから始めたい」「自分のペースで無理なく働ける場所はないだろうか」…そうお考えの方へ。
私たち 就労継続支援B型事業所オリーブ は、障害のある方が、ご自身の体調やペースを最優先に、安心して働くための準備ができる場所です。オリーブは、大阪、兵庫、京都、奈良の関西エリアで、障害のある方の「働きたい」という気持ちをサポートしています。
データ入力や軽作業など、ストレスの少ない仕事を通じて、まずは生活リズムを整え、安定して通所することから始めます。雇用契約を結ばないため、週1日、1日1時間といった短時間の利用も可能です。
保健所で生活や医療の相談をした後の、「働く」という次のステップについて考え始めたら、ぜひ一度、就労継続支援B型事業所オリーブにご相談ください。見学はいつでも受け付けています。あなたからのご連絡を、心よりお待ちしています。