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障害者就業・生活支援センターとは?支援内容や利用方法を解説

「障害があって、働くことに不安がある…」
「仕事の悩みだけでなく、日々の生活や将来のことも相談できる場所はないだろうか…」
障害のある方が就職を目指したり、働き続けたりする上では、仕事のことだけでなく、健康管理や金銭管理といった生活面の安定が不可欠です。しかし、仕事の悩みと生活の悩みを別々の場所に相談するのは大変ですよね。そんな時に、ぜひ知っておいてほしいのが「障害者就業・生活支援センター」です。
この記事では、障害のある方の「仕事」と「生活」を一体的に支える、最も身近な相談機関である「障害者就業・生活支援センター」について、その具体的な支援内容から、利用方法、他の支援機関との違いまで、分かりやすく解説します。この記事を読めば、一人で抱え込まずに頼れる「パートナー」の存在がわかり、安心して次の一歩を踏み出すためのヒントが見つかるはずです。
障害者就業・生活支援センターとは?仕事と生活を一体的に支える相談機関
障害者就業・生活支援センターとは、障害のある方が、自立した職業生活を送れるように、「就業(仕事)」に関する支援と、その土台となる「生活」に関する支援を、一体的に行う専門機関です。全国に設置されており(令和6年4月1日時点で339カ所)、社会福祉法人などが国や都道府県から委託を受けて運営しています。多くのセンターが「なかぽつ」や「しゅうぽつ」といった愛称で呼ばれており、地域に根ざした身近な相談窓口として、多くの障害のある方の就労と生活を支えています。
なぜ「一体的」な支援が重要なのか。安定して働き続けるためには、仕事のスキルだけでは不十分です。規則正しい生活を送るための「健康管理」や、給料を計画的に使うための「金銭管理」、安心して暮らすための「住まい」といった生活面の安定があってこそ、人は仕事で能力を最大限に発揮できます。「仕事の悩み」と「生活の悩み」は、車輪の両輪のように密接につながっているため、両方を一緒にサポートしてくれる「なかぽつ」は、障害のある方にとって非常に心強い存在なのです。
主な支援内容|就労面と生活面の両方をサポート
では、障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)では、具体的にどのような支援を受けられるのでしょうか。「就労に関する支援」と「生活に関する支援」に分けて、詳しく見ていきましょう。
就労に関する支援:就職準備から職場定着まで
なかぽつでは、就職活動の準備段階から、就職後の職場定着まで、長期にわたって一貫したサポートを提供します。
就職前のサポート
- 就業に関する相談
- 「どんな仕事が向いているか分からない」「働く自信がない」といった相談に対し、専門の支援員が丁寧に話を聞き、一緒にキャリアプランを考えます。
- 職業準備訓練のあっせん
- 必要に応じて、ビジネスマナーやPCスキルなどを学べる地域の職業訓練施設を紹介してくれます。
- 求職活動のサポート
- ハローワークと連携し、あなたに合った求人を探すお手伝いをします。ハローワークへの同行や、履歴書の書き方、面接の練習などもサポートしてくれます。
- 職場実習のあっせん
- 就職前に、実際に企業で仕事を体験する「職場実習」の機会を設けてもらえるよう、企業と調整してくれます。
就職後のサポート(職場定着支援)
なかぽつの大きな特徴は、就職したら終わりではなく、むしろ就職後こそ手厚いサポートが受けられる点にあります。
- 定期的な職場訪問と面談
- 支援員が定期的に職場を訪問し、あなたが職場で困っていることはないか、スムーズに業務に取り組めているかなどを確認し、面談を行います。
- 企業との調整役(橋渡し)
- 「仕事の指示が分かりにくい」「職場の人間関係に悩んでいる」といった本人には直接言いにくい悩みを、支援員があなたと企業の間に立って調整し、働きやすい環境を整える手助けをしてくれます。例えば、ご自身の障害特性や必要な配慮(合理的配慮)について、企業側に分かりやすく説明したり、上司の指示をあなたに伝わる言葉に「翻訳」したりと、円滑なコミュニケーションの橋渡し役を担います。
生活に関する支援:健康管理や金銭管理など
安定した職業生活の土台となる、日常生活の様々な悩みについても相談に乗ってくれます。
- 日常生活・地域生活に関する助言
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- 自己管理:生活リズムの整え方、体調管理の方法など。
- 金銭管理:給与や年金の計画的な使い方、家計簿のつけ方、公共料金の支払いなど。
- 住居:一人暮らしを始めるためのアパート探しや、グループホームの紹介など。
- 余暇活動:休日の過ごし方や、地域のイベント・サークル活動の紹介など。
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- 利用できる各種制度の案内
- 障害年金や各種手当、医療費の助成制度など、あなたが利用できる福祉制度について情報提供し、必要であれば申請手続きのサポートも行います。
- 地域の様々な機関との連携
- あなたの悩みに応じて、地域の保健所、福祉事務所、医療機関、相談支援事業所など、適切な専門機関を紹介してくれます。
このように、なかぽつは、仕事と生活の両面からあなたを支え、地域の中で安心して自立した生活を送るための「総合相談窓口」としての役割を担っているのです。
障害者就業・生活支援センターの利用方法と対象者
これほど手厚いサポートが受けられる「なかぽつ」ですが、誰が、どのように利用できるのでしょうか。
利用できる対象者
基本的には、就職を希望している、または現在仕事に就いている障害のある方であれば、誰でも利用の対象となります。
- 障害の種類
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、障害の種類は問いません。
- 障害者手帳の有無
- 障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書など、障害があることが客観的に証明できれば利用できる場合がほとんどです。手帳の有無を問わないセンターも多いため、まずは相談してみることが大切です。
- 年齢
- 特に年齢制限はありません。
利用方法:まずは地域のセンターへ連絡
利用料は無料です。相談は予約制となっている場合が多いため、まずはあなたの住んでいる地域にあるセンターに、電話やメールで連絡してみましょう。全国の障害者就業・生活支援センターの一覧は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
利用開始までの流れ
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- 相談・問い合わせ:電話やメールで、地域のセンターに連絡し、相談したい内容を伝えて予約を取ります。
- 初回面談・登録:センターを訪問し、支援員と面談します。これまでの経歴や現在の状況、困っていること、将来の希望などを詳しく話します。この面談を経て、正式に利用者として登録されます。
- 支援計画の作成:支援員があなたと話し合いながら、目標を達成するための具体的な支援計画(プラン)を作成します。
- 支援の開始:作成された支援計画に沿って、就労面・生活面の様々なサポートがスタートします。
企業にとっても心強いパートナー
障害者就業・生活支援センターは、障害のある方だけでなく、障害者雇用に取り組む、あるいは検討している企業にとっても、非常に心強いパートナーとなります。
企業がセンターと連携するメリットは数多くあります。例えば、自社の求人に合った人材の紹介を受けやすくなったり、採用前に職場実習を受け入れてもらうことで、採用後のミスマッチを防いだりすることができます。また、雇用後に社員が困難に直面した際も、センターの支援員が専門的な視点から助言をくれるため、企業は安心して障害者雇用を進めることができます。このように、センターは障害のある方と企業、双方にとって有益な存在なのです。
他の支援機関との違いと連携
障害のある方の就労を支援する機関は、なかぽつの他にもいくつかあります。ここでは、それぞれの機関との役割の違いと、連携について解説します。
機関名 | ここが専門! | 主な役割 |
---|---|---|
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ) | 仕事と生活の一体的支援 | 身近な地域の総合相談窓口、コーディネーター役 |
ハローワーク | 職業紹介・求人あっせん | 企業とのマッチング、雇用保険の手続き |
地域障害者職業センター | 専門的な職業リハビリ | 職業能力の評価、ジョブコーチ支援、リワーク支援 |
就労移行支援事業所 | 通所による就職準備訓練 | PCスキルやビジネスマナーのトレーニング |
ハローワークとの違い
ハローワークは、求職者と求人企業を結びつける「職業紹介」がメインの業務です。一方、なかぽつは、職業紹介は行いませんが、その前段階の準備や、就職後の定着支援、そして生活面のサポートまで、より長期的で、包括的な視点で関わってくれるのが大きな違いです。
地域障害者職業センターとの違い
地域障害者職業センターは、JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)が運営する、より専門性の高い支援機関です。専門のカウンセラーや検査員が、職業能力を客観的に評価する「職業評価」や、休職からの復帰を支援する「リワーク支援」など、高度な専門的サービスを提供します。
就労移行支援事業所との違い
就労移行支援事業所は、実際に事業所に通いながら、就職に向けた訓練を受ける場所です。なかぽつは、そうした「訓練の場」である就労移行支援事業所を紹介してくれたり、事業所に通っている期間も、生活面の相談に乗ってくれたりと、連携してサポートを行ってくれます。
就労に向けた実践の場なら|就労継続支援B型事業所オリーブへ
「なかぽつに相談して、就職活動を始めたい」
「でも、長く仕事から離れていたから、働く自信がまだない…」
「まずは、働くことに体を慣らす練習から始めたい」
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)は、あなたの就労を強力にサポートしてくれる心強い味方ですが、相談と並行して、働くための「実践的な準備」をすることも、就職活動を成功させるためには非常に重要です。
そんな「働くためのウォーミングアップ」に最適な場所が、私たち就労継続支援B型事業所オリーブです。
オリーブは、障害や心身の不調のある方が、雇用契約を結ばず、ご自身の体調やペースに合わせて、軽作業やPC入力などの生産活動に取り組める福祉事業所です。
- 生活リズムの土台作り
- なかぽつに相談する上でも、まずは規則正しい生活が基本です。オリーブに週1日、1時間からでも通うことで、自然と生活リズムが整い、働くための体力が身についていきます。
- 働くことへの自信回復
- 簡単な作業から始め、それをやり遂げることで得られる達成感や、スタッフからの「ありがとう」という言葉、そして毎月の「工賃」は、失いかけていた働くことへの自信を取り戻すきっかけになります。
- コミュニケーションの練習の場
- 他の利用者さんやスタッフとの日々のやり取りを通じて、安心してコミュニケーションの練習ができます。
- 「なかぽつ」への相談もサポート
- 「なかぽつに相談してみたいけど、一人で行くのは不安」という方には、オリーブのスタッフが相談内容を一緒に整理したり、情報提供を行ったりと、あなたの新しい挑戦を後押しします。
「なかぽつ」という「作戦司令部」と、オリーブという「トレーニングジム」。この二つを上手に活用することで、あなたの就職、そしてその先の安定した職業生活の実現は、ぐっと現実に近づくはずです。まずは見学から、オリーブでの新しい一歩を始めてみませんか。