
障害者グループホーム(共同生活援助)とは?
「いつかは親元を離れて自立したいけど、一人暮らしは何かと不安…」「地域の中で、誰かのサポートを受けながら、自分らしく暮らせる場所はないかな?」障害のある方が、住み慣れた地域で自立した生活を送りたいと願うとき、その大きな支えとなるのが「障害者グループホーム」です。正式名称を「共同生活援助」といい、障害のある方々が支援を受けながら共同で暮らす「住まいの場」を指します。 この記事では、障害者グループホームとは何か、具体的なサービス内容から4つの種類、入居条件や費用、家賃補助制度、そして自分に合ったホームの選び方まで、あらゆる疑問に分かりやすくお答えします。 この記事を読めば、グループホームでの暮らしが具体的にイメージでき、あなたらしい自立した生活への第一歩を踏み出すための知識が身につくはずです。
地域での自立した生活を支援する住まいの場
障害者グループホーム(共同生活援助)とは、障害のある方が、専門スタッフ(世話人や生活支援員)から必要なサポートを受けながら、地域の一戸建てやアパートなどで、他の利用者と共同生活を送る住まいのことです。 病院や大規模な入所施設とは異なり、より家庭的な雰囲気の中で、一人ひとりの個性や自主性を尊重し、地域社会の一員として暮らすことを目的としています。 いわば「支援付きのシェアハウス」をイメージすると分かりやすいでしょう。 あくまで「住まい」であるため、日中は職場や就労支援事業所などへ通い、夕方から朝にかけてや、休日にグループホームで生活するのが基本的なスタイルです。
グループホームで受けられる支援内容
グループホームでは、世話人や生活支援員が、利用者一人ひとりの障害特性やニーズに合わせ、自立した日常生活を送るための様々なサポートを提供します。
【提供される主な支援内容】
- 日常生活上の相談支援
- 仕事の悩み、人間関係、将来のことなど、様々な相談に対応します。
- 食事の提供・支援
- 栄養バランスを考慮した朝食や夕食の準備・提供を行います。 利用者が調理に参加する場合もあります。
- 健康管理・服薬管理
- 日々の検温や血圧測定、薬の飲み忘れがないかの声かけや管理を支援します。
- 金銭管理の助言
- 給料や工賃、年金などを計画的に使えるよう、自己管理に関する助言を行います。
- 関係機関との連絡調整
- 通院の付き添いや、日中活動先(職場や事業所)との連絡・調整をサポートします。
- 余暇活動の支援
- 休日の外出やイベントを企画するなど、生活を楽しむための支援をします。
- 緊急時の対応
- 急な体調不良やトラブルが発生した際に迅速に対応します。
また、入浴や排せつなどの身体介護が必要な方には、個別の支援計画に基づき、介護サービスも提供されます。
障害者グループホームの4つの種類とそれぞれの特徴
障害者グループホームは、提供されるサービス内容によって、大きく4つのタイプに分けられます。 自身の障害の程度や、必要とする支援に合わせて最適なタイプを選ぶことが大切です。
種類 | 特徴 | こんな方におすすめ |
---|---|---|
介護サービス包括型 | グループホームのスタッフが、相談支援に加えて食事や入浴などの介護も直接提供する、最も一般的なタイプです。 | 夜間や休日に身体介護などの支援が必要な方 |
外部サービス利用型 | 相談支援はグループホームのスタッフが行い、介護は外部の居宅介護事業所と契約して利用します。 | 身体介護の必要性が低い、または日中の活動に支障がない方 |
日中活動サービス支援型 | 24時間体制の支援があり、短期入所施設を併設。 日中も支援が必要な方に対応できます。 | 障害支援区分が特に高く、常に支援が必要な方。高齢化や重度化した方 |
サテライト型 | 本体グループホームの近くにあるアパートなどで一人暮らしをしながら、必要な時にスタッフの支援を受けます。 | 将来的に一人暮らしを目指している方 |
グループホームでの生活をイメージしよう
ある利用者の一日(平日・休日モデルケース)
グループホームでの生活は、支援を受けながらも、一人の社会人として自立した日々を送ることが基本です。ここでは、日中に就労継続支援B型事業所オリーブへ通う利用者の、典型的な一日をご紹介します。
【平日の一例】
- 7:00 起床・身支度
- 世話人さんの声かけで起床。洗顔や着替えなど、朝の身支度を整えます。
- 7:30 朝食
- 食堂に集まり、他の利用者さんと一緒に朝食をとります。
- 8:30 外出
- オリーブへ向けて出発。公共交通機関を使ったり、送迎サービスを利用したりします。
- 9:00~16:00 日中活動
- オリーブで生産活動(仕事)に取り組みます。
- 17:00 帰宅
- グループホームへ戻り、自室で休憩したり、他の利用者と談笑したりして過ごします。
- 18:30 夕食
- 栄養バランスの取れた温かい夕食を皆でいただきます。
- 19:30 自由時間・入浴
- 共有リビングのテレビを見たり、自室で趣味の時間を楽しんだり。順番に入浴も済ませます。
- 22:00 就寝
- 翌日に備えて就寝。困ったことがあれば夜勤のスタッフに相談できます。
【休日の一例】
休日は、平日の疲れを癒やし、リフレッシュするための大切な時間です。掃除や洗濯などの家事を済ませた後は、自由に過ごせます。自室でゆっくり過ごす方、他の利用者さんと一緒に買い物や映画に出かける方、趣味のサークル活動に参加する方など、過ごし方は様々です。時には、グループホーム全体でバーベキューなどのイベントが企画されることもあります。
障害者グループホームの入居条件と選び方
グループホームの対象となる人
障害者総合支援法に基づき、以下のいずれかに該当し、共同生活を営むことに支障がない方が対象です。
- 身体障害のある方
- 知的障害のある方
- 精神障害のある方
- 発達障害のある方
- 難病のある方
年齢は原則18歳以上ですが、必要性が認められれば15歳以上も利用可能です。 障害者手帳をお持ちでない場合でも、医師の診断書などにより、市区町村にサービスの利用が必要だと認められれば対象となります。 また、利用にあたっては、原則として障害支援区分の認定が必要となります。
利用できる期間に定めはあるか
原則として、利用期間に上限の定めはありません。 ただし、グループホームはあくまで「地域での自立した生活」を目的としているため、サテライト型への移行や完全な一人暮らしなど、目標を達成した際には退去(卒業)となります。
入居までの基本的な流れ
- 相談:お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、相談支援事業所に相談します。
- グループホーム探し・見学・体験入居:希望に合う施設を探し、見学します。 ほとんどの施設で体験入居が可能です。
- 利用申請:入居したい施設が決まったら、市区町村の窓口で障害福祉サービスの利用申請を行います。
- サービス等利用計画案の作成:相談支援専門員が面談し、必要な支援をまとめた「サービス等利用計画案」を作成します。
- 支給決定:市区町村が計画案を基にサービスの支給を決定し、「障害福祉サービス受給者証」を交付します。
- 契約・入居開始:グループホームの運営事業者と正式に契約を結び、入居開始となります。
失敗しないためのグループホーム選びのチェックポイント
自分に合ったグループホームを選ぶために、見学や体験入居の際に確認すべきポイントをまとめました。
- 支援内容とスタッフの雰囲気
- スタッフの人数は十分か、専門性や経験はどうか、言葉遣いや態度は丁寧か、利用者一人ひとりに寄り添った支援をしているかを確認しましょう。
- 建物の設備と清潔さ
- 居室の広さや収納、プライバシーは確保されているか、共有スペース(リビング、浴室、トイレなど)は清潔で快適か、バリアフリーに対応しているかなどをチェックします。
- ルールと生活の自由度
- 門限、外泊、飲酒、来客、金銭管理、スマートフォンの利用などに関するルールが、自分の生活スタイルに合っているかを確認することが重要です。
- 他の利用者との相性
- 利用者の年齢層、性別、障害特性、ホーム全体の雰囲気などを確認し、自分がその中で安心して暮らせそうかをイメージしてみましょう。
- 食事の内容
- 可能であれば体験入居時に食事を試食し、味付けや量が自分に合うか、アレルギーへの配慮があるかなどを確認します。
- 立地と周辺環境
- 日中活動先へのアクセス、最寄り駅やバス停からの距離、スーパーやコンビニ、病院などが近くにあるかなど、生活の利便性も大切なポイントです。
障害者グループホームでかかる費用と家賃補助制度
費用の内訳(障害福祉サービス利用料・家賃・食費など)
グループホームでの生活費は、主に以下の3つで構成されます。
- 障害福祉サービス利用料
- サービス提供に対する費用です。所得に応じた負担上限月額が定められており、多くの利用者は自己負担0円で利用しています。
- 家賃
- 住む部屋の家賃です。物件の立地や設備によって異なります。
- その他の実費負担
- 食費、水道光熱費、日用品費などは実費負担です。
これらを合計すると、地域差はありますが、おおむね月額6万円~8万円程度 が費用の目安となります。
家賃を軽減する国の補助制度「補足給付」
家賃負担を軽減するため、国が設けているのが「補足給付(特定障害者特別給付費)」です。 この制度は、市町村民税非課税世帯などを対象に、月額1万円を上限として家賃の一部が補助されるものです。
グループホームと併用できる日中の居場所は就労継続支援B型事業所オリーブへ
グループホームでの生活を考えるとき、次に重要になるのが「日中の活動の場」です。 多くの方は日中、企業で働いたり、「就労継続支援」の事業所に通ったりしています。 特に、自分のペースで働きたい方にとって、就労継続支援B型事業所は最適な選択肢の一つです。 私たち就労継続支援B型事業所オリーブは、障害や心身の不調のある方が安心して自分のペースで働ける場所です。 実際に地域のグループホームで生活しながら、日中はオリーブで軽作業などの生産活動に取り組む利用者さんも数多くいらっしゃいます。
【グループホームとオリーブを併用するメリット】
- 生活リズムが整う
- 「朝起きてオリーブへ行き、夕方帰宅する」という規則正しい生活で、心身が安定します。
- 社会とのつながりが持てる
- 日中の居場所があることで社会的孤立を防ぎ、人との交流が生まれます。
- 工賃収入が得られる
- オリーブでの活動で得られる「工賃」は、生活費の足しとなり経済的自立につながります。
- 相談相手が増える
- グループホームのスタッフに加え、オリーブの支援員にも悩みを相談でき、より手厚いサポート体制が築けます。
「住まい」と「日中の居場所」。この二つを確保することが、地域で安定した生活を送るための鍵となります。日中の活動の場として、ぜひ私たち就労継続支援B型事業所オリーブをご検討ください。見学やご相談を心よりお待ちしております。