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心理カウンセリングとは?内容・種類・効果から料金までわかりやすく解説

心理カウンセリングとは?
「最近、理由もなく気分が落ち込む」「人間関係のストレスで、夜も眠れない」「自分の性格について、ずっと悩んでいることがある」このような心の悩みを、誰にも打ち明けられずに一人で抱え込んでいませんか。友人や家族に相談するのも一つの方法ですが、時には専門家の力を借りることで、解決への道筋が見えてくることがあります。そのための有効な選択肢が「心理カウンセリング」です。しかし、カウンセリングと聞くと、「どんなことをするの?」「病気じゃないと受けられないの?」「料金は高そう…」といった、様々な疑問や不安が浮かぶかもしれません。この記事では、心理カウンセリングの基本的な内容から、その種類、期待できる効果、そして気になる料金や受けられる場所まで、あらゆる情報を分かりやすく解説します。カウンセリングを正しく理解し、あなたの心を軽くするための一歩として、ぜひお役立てください。
心理カウンセリングは、特別な人だけが受けるものではなく、誰もが利用できる心の専門家によるサポートです。まずは、その基本的な役割と、病院の「診察」との違いについて見ていきましょう。
専門家との対話を通じて心の悩みを整理・解決する
心理カウンセリングとは、臨床心理士や公認心理師といった心の専門家(カウンセラー)との対話を通じて、相談者(クライエント)が抱える悩みや問題を整理し、自らの力で解決していけるようにサポートするプロセスです。カウンセラーは、相談者の話をただ聞くだけでなく、専門的な知識と技術を用いて、相談者が自分自身の気持ちや考え方のパターンに気づき、視野を広げられるように手助けをします。重要なのは、カウンセラーが一方的に「答え」や「指示」を与えるのではないという点です。あくまで主役は相談者自身であり、カウンセラーは、相談者が自分の中から答えを見つけ出し、前向きな一歩を踏み出すための、信頼できる伴走者のような存在です。
カウンセリングと医療機関の「診察」との違い
心の不調を感じた時に相談する場所として、カウンセリングの他に、精神科や心療内科での「診察」があります。この2つは、目的や役割が明確に異なります。
【カウンセリングと診察の違い】
項目 | 心理カウンセリング | 医療機関の診察 |
---|---|---|
担当者 | 臨床心理士、公認心理師など | 医師(精神科医など) |
目的 | 対話による問題の整理・解決、自己理解 | 病気の診断、薬の処方、治療方針の決定 |
主な内容 | 傾聴、対話、心理療法 | 問診、検査、薬物療法 |
医療保険 | 原則、適用されない | 適用される |
簡単に言うと、診察は「病気を治す」ことが主目的であり、診断や薬の処方といった医療行為を行います。一方、カウンセリングは「悩みに向き合い、心を整理する」ことが主目的であり、医療行為は行いません。この2つは対立するものではなく、連携して行われることも多くあります。例えば、精神科で薬物療法を受けながら、併設のカウンセリングルームで心理カウンセリングを受けるといった形で、両方からのアプローチが回復を力強くサポートします。
心理カウンセリングの主な種類と内容
心理カウンセリングには、様々な理論的背景を持つアプローチ(心理療法)が存在します。カウンセラーは、相談者の悩みや状態に合わせて、これらの手法を使い分けたり、組み合わせたりします。ここでは、代表的なものをいくつかご紹介します。
来談者中心療法
来談者中心療法は、アメリカの心理学者カール・ロジャーズによって創始された、カウンセリングの基本的な姿勢とも言えるアプローチです。この療法では、カウンセラーが以下の3つの「中核的条件」を大切にします。
- 共感的理解
- 相談者の気持ちを、自分のことのように深く、共感的に理解しようと努めます。
- 無条件の肯定的関心
- 相談者の考えや感情を、一切否定したり評価したりせず、ありのまま受け入れます。
- 自己一致
- カウンセラー自身が、相談者に対して誠実で、ありのままの姿勢で向き合います。
このような安全で受容的な雰囲気の中で、相談者は安心して自分の内面を深く探求し、自ら成長していく力(自己実現傾向)を発揮できると考えられています。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy)は、うつ病や不安障害など、多くの心の悩みに効果が実証されている、非常にポピュラーな心理療法です。この療法は、人の気分や行動は、出来事そのものではなく、その出来事をどう捉えるかという「認知」によって大きく影響される、という考えに基づいています。カウンセラーとの対話を通じて、ストレスの原因となっている、自分を苦しめるような自動的な考え方の癖(例:「私は何をやってもダメだ」「きっとみんな私のことを嫌っている」など)に気づきます。そして、その考えが本当に事実に基づいているかを検証し、より現実的でバランスの取れた、柔軟な考え方ができるように練習していきます。考え方が変わることで、つらい気分が和らぎ、行動も変化していくことを目指します。
その他の心理療法
上記以外にも、様々な心理療法が存在します。
- 精神分析的心理療法
- 相談者の過去の経験、特に幼少期の親子関係などが、現在の無意識の心の動きや悩みにどう影響しているかを探求していきます。
- 解決志向アプローチ
- 問題の原因を探るよりも、「どうなりたいか」という未来の解決像に焦点を当てます。相談者がすでに持っている強みや成功体験(リソース)を見つけ出し、それを活用して解決策を構築していくのが特徴です。
- 家族療法
- 個人の問題は、その人が属する家族というシステム全体の問題の現れであると考え、個人だけでなく、家族メンバーと一緒に面接を行い、関係性の改善を目指します。
心理カウンセリングに期待できる効果
カウンセリングを受けることで、私たちの心にはどのような良い変化が期待できるのでしょうか。
気持ちが楽になりストレスが軽減される
誰にも言えずに一人で抱え込んでいた悩みや、つらい気持ちを、専門家という第三者に話すこと。そして、その話を一切否定されたり、評価されたりすることなく、真摯に聴いてもらえること。この体験自体が、心の重荷を下ろし、気持ちを楽にする大きな効果(カタルシス効果)をもたらします。「話すだけで、こんなにスッキリするとは思わなかった」と感じる方は少なくありません。
自分の考え方の癖に気づき問題を整理できる
悩みの中にいる時、私たちの頭の中は、様々な思考や感情がごちゃ混ぜになり、混乱している状態です。カウンセラーとの対話を通じて、自分の話を客観的に聞いてもらい、質問を投げかけてもらう中で、漠然としていた問題の輪郭がはっきりしてきます。「自分は、こういう場面で、いつも同じように考えて不安になっていたんだ」というように、自分を苦しめていた考え方の癖や、行動のパターンに気づくことができます。問題が整理されることで、どこから手をつければ良いのか、解決への道筋が見えてきます。
対人関係が改善し自己肯定感が高まる
カウンセリングを通じて自己理解が深まると、自分が本当に何を望んでいるのか、何が嫌なのかが明確になります。これにより、他者に対して、自分の気持ちをより上手に、そして誠実に伝えられるようになり、対人関係の改善につながります。また、自分の問題と向き合い、それを乗り越えていくプロセスは、失われていた自信を取り戻し、「自分は大丈夫だ」と思える感覚(自己肯定感)を高めることにもつながります。
心理カウンセリングの料金と受けられる場所
実際にカウンセリングを受けたいと思った時に、気になるのが「どこで受けられて、料金はどのくらいかかるのか」という点でしょう。
カウンセリングを受けられる主な場所
カウンセリングは、様々な場所で受けることができます。それぞれに特徴がありますので、ご自身の状況に合わせて選びましょう。
医療機関(精神科・心療内科など)
精神科や心療内科のクリニックや病院に、カウンセリング部門が併設されている場合があります。医師の診察と並行してカウンセリングを受けられるため、薬物療法と心理療法の連携がスムーズなのがメリットです。
公共機関(保健所・精神保健福祉センターなど)
都道府県や市区町村が設置している保健所や精神保健福祉センター、子ども家庭支援センターなどでも、心理相談員によるカウンセリングを無料で、あるいは非常に安価で受けることができます。ただし、相談回数に制限があったり、予約が取りにくかったりする場合もあります。
民間機関(民間のカウンセリングルームなど)
心理カウンセラーが個人で、あるいは複数で開業しているカウンセリングルームです。カウンセラーの専門性や、提供している心理療法の種類が多様で、自分の悩みに合った場所を選びやすいのが特徴です。平日の夜間や土日に開室しているところも多くあります。
料金の目安と保険適用の有無
これが最も重要な点の一つですが、日本では、心理カウンセリングは原則として公的な医療保険の適用対象外です。そのため、料金は全額自己負担となります。料金は場所やカウンセラーによって大きく異なりますが、一般的な民間のカウンセリングルームの場合、1回50分〜60分で、8,000円〜15,000円程度が相場と言えるでしょう。ただし、医師の指示のもとで行われるなど、一部の医療機関でのカウンセリングには保険が適用されるケースもありますので、医療機関で受ける場合は事前に確認が必要です。
無料で相談できる窓口
「カウンセリングを受けてみたいけれど、費用がネックになる」という方もいるでしょう。そのような場合は、まず無料で相談できる公的な窓口やNPOのホットラインを活用するのも一つの方法です。
- こころの健康相談統一ダイヤル
- 全国どこからでも、地域の公的な相談機関に電話がつながります。
- いのちの電話
- 様々な悩みに対応してくれる、無料の電話相談窓口です。
- お住まいの市区町村の相談窓口
- 役所の福祉担当課などで、無料の相談日を設けている場合があります。
これらの窓口で話を聴いてもらうだけでも、気持ちが楽になったり、次のステップへの情報を得られたりすることがあります。
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