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【等級別】身体障害者手帳で受けられるサービスとは?1級〜6級のメリット・申請方法を解説

病気やけがによって身体に障害のある方が取得を検討する「身体障害者手帳」。この手帳を持つことで、様々な福祉サービスや割引が受けられることは知られていますが、「自分の障害は対象になるの?」「どの等級に当てはまるのだろう?」「等級によって、受けられるサービスはどう違うの?」「申請手続きは複雑で時間がかかるのではないか?」といった具体的な内容については、分からないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、身体障害者手帳の基本的な知識から、対象となる障害の種類、1級から6級までの等級の考え方、そして手帳を取得することで得られる具体的なメリットについて、深く掘り下げて分かりやすく解説します。また、申請や更新の手続きについても詳しく説明しますので、これから手帳の取得を考えている方も、すでにお持ちの方も、ご自身の権利と利用できるサポートを最大限に活用するため、ぜひ参考にしてください。

身体障害者手帳とは?

まずは、身体障害者手帳がどのような目的で作られ、誰が対象となるのか、基本的な知識から見ていきましょう。

身体に障害のある方の自立と社会参加を支援する手帳

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体に一定以上の永続する障害がある方に対して、都道府県知事、指定都市市長、中核市市長が交付する手帳です。手帳が交付されることにより、障害があることを公的に証明しやすくなり、様々な支援策やサービスを利用できるようになります。これにより、障害のある方の自立と社会への参加を促進することが、この制度の大きな目的です。手帳は、単なる証明書ではなく、社会とつながり、その人らしい生活を送るための大切なツールと言えるでしょう。

対象となる障害の種類

身体障害者手帳の対象となるのは、「永続すること」が要件とされる、以下のような障害です。

視覚障害
視力や視野に障害がある状態。

 

聴覚または平衡機能の障害
耳が聞こえにくい、または体のバランスを保つのが難しい状態。

 

音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害
声を出す、話す、食べ物を噛むといった機能に障害がある状態。

 

肢体不自由
手、足、体幹などの運動機能に障害がある状態。

 

内部障害
心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害。外見からは分かりにくいため「見えない障害」とも言われますが、日常生活に大きな制約が生じるため、手帳の重要な対象分野です。

 

身体障害者手帳の等級(1級〜6級)と基準

身体障害者手帳には、障害の程度に応じて1級から7級までの等級が定められています。この等級によって、受けられるサービスの内容が大きく変わることがあります。

障害等級を判定する基本的な考え方

身体障害者手帳の等級は、障害の種類や部位ごとに、その程度に応じて1級から7級まで細かく定められており、数字が小さいほど障害の程度が重いことを示します。手帳が交付されるのは、原則として障害等級が6級以上の障害です。ただし、7級の障害が2つ以上重複する場合など、複数の障害を合算して6級以上と認定されることもあります。

等級の判定は、身体障害者福祉法第15条の規定に基づき都道府県知事が指定した医師(15条指定医)が作成した診断書・意見書をもとに、自治体が行います。この15条指定医は、その障害分野に関する専門的な知識と経験を持つ医師であり、客観的で公正な判断が求められます。

等級の具体例と「第1種」「第2種」の区分

等級は障害の種類ごとに非常に細かく定められています。例えば、肢体不自由(上肢)の場合、「両上肢の機能を全廃したもの」は1級、「一上肢の機能を全廃したもの」は2級、といったように、具体的な状態に応じて等級が決められています。

公共交通機関の割引などでは、この等級に加えて「第1種」と「第2種」という区分が非常に重要になります。これは、介護者の同伴が特に必要と認められるかどうかを示す区分です。

第1種身体障害者
重度の障害があり、原則として介護者が必要とされる方。本人の運賃割引に加え、介護者1名も割引の対象となります。

 

第2種身体障害者
第1種以外の方。本人のみが運賃割引の対象となります。ご自身の手帳がどちらに該当するかは、手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の欄に記載されています。

 

身体障害者手帳で受けられる主なメリット・サービス

手帳を取得することで、日常生活や社会生活における様々な負担を軽減するための、数多くのサポートを受けることができます。

① 税金の控除・減免

本人または生計を同じくする家族が、所得税や住民税の「障害者控除」を受けることができます。

 

障害の区分 所得税の控除額 住民税の控除額
特別障害者 (1級・2級) 40万円 30万円
同居特別障害者 75万円 53万円
普通障害者 (3級~6級) 27万円 26万円

※「同居特別障害者」とは、納税者自身または配偶者、扶養親族が特別障害者であり、常に同居している場合を指します。

このほか、相続税や贈与税、自動車税・軽自動車税の減免制度もあります。

② 公共料金や交通機関などの割引

公共交通機関
JRの普通乗車券は片道100kmを超える場合に5割引になります。私鉄、バス、タクシー、国内線の航空運賃なども割引になります。

 

公共料金
NHK受信料の減免制度や、大手携帯電話会社の障害者割引サービスなどを利用できます。

 

有料道路
事前に登録することで、高速道路などの有料道路の通行料金が半額になります。

 

③ 医療費の助成

多くの自治体では、独自の「心身障害者医療費助成制度」を設けています。これは、健康保険を使って医療機関にかかった際の自己負担分を、自治体が助成してくれる制度です。対象となる障害等級や所得制限は自治体によって異なりますが、医療費の負担を大幅に軽減できる非常に大きなメリットです。お住まいの市区町村のウェブサイトなどでご確認ください。

④ 就労に関する支援

働く意欲のある方にとって、就労面でのサポートは大きなメリットです。

障害者雇用枠への応募
一般の採用枠とは別に、障害者手帳を持つ人を対象とした「障害者雇用枠」に応募できます。

 

合理的配慮
企業から障害への「合理的配慮」(車いすでの移動に配慮した職場環境の整備、通院への配慮、時差出勤など)を受けながら働けるため、安定して長く働きやすいという利点があります。

 

就労支援サービスの利用
すぐに一般企業で働くのが難しい場合に、支援を受けながら働ける「就労継続支援(A型・B型)」などのサービスを利用できます。

 

⑤ 生活を支えるサービス

補装具・日常生活用具の給付
車いすや補聴器などの「補装具」や、特殊寝台やストーマ用装具といった「日常生活用具」の購入・修理費用の助成を受けられます。

 

住宅関連の支援
公営住宅の入居申し込みで優先される場合があります。また、手すりの設置や段差の解消といった、障害に対応するための住宅リフォーム費用の助成制度を設けている自治体もあります。

 

生活支援サービス
自宅での入浴や食事の介助を受けられる「居宅介護(ホームヘルプ)」や、外出時の付き添いを依頼できる「移動支援」などのサービスを利用できます。

 

身体障害者手帳の申請・更新手続き

ここでは、実際に手帳を申請したり、更新したりする際の、具体的な流れとポイントを解説します。

申請から交付までの基本的な流れ

    1. 市区町村の窓口へ相談・書類入手
      お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談し、申請に必要な「身体障害者診断書・意見書」の用紙などを受け取ります。
    2. 指定医の診察を受ける
      身体障害者福祉法第15条の指定を受けた医師(15条指定医)がいる医療機関を受診し、診断書・意見書を作成してもらいます。
    3. 必要書類を窓口に提出
      申請書、診断書・意見書、顔写真、マイナンバーがわかるものなどを揃えて、再度窓口に提出します。
    4. 審査・交付
      都道府県・指定都市などで審査が行われ、交付が決定すると、自宅に通知が届き、窓口で手帳を受け取ります。審査には1ヶ月〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。

 

申請の重要ポイント:診断書の依頼方法

等級は診断書の内容に大きく左右されるため、医師に自分の状態を正確に伝えることが非常に重要です。しかし、診察の短い時間で全てを話すのは難しいものです。そこで、事前に「日常生活で困っていること」を具体的にメモして医師に渡すことをお勧めします。例えば、「階段の上り下りで息切れがして、踊り場で休まないと上まで行けない」「ペットボトルの蓋が開けられないことがある」など、具体的な場面や動作を書き出しておくと、医師が診断書を作成する際の大きな助けとなり、実態に即した等級判定につながりやすくなります。

更新手続きとデメリットについて

身体障害者手帳には、精神障害者保健福祉手帳と異なり、原則として有効期限はありません。ただし、障害の状態が変わる可能性がある場合は「再認定時期」が指定され、その時期に更新手続きが必要です。

手帳を持つことによる制度上の明確なデメリットは基本的にありませんが、申請の手間や診断書の費用がかかること、民間の保険に加入しにくくなる場合があること、また「障害者」という言葉への心理的な抵抗感が挙げられます。しかし、手帳は必要なサポートを受けるための「ツール」であり、近年はプライバシーに配慮したカード形式の手帳も普及しています。

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身体障害者手帳の取得は、あなたの生活を支え、社会参加の可能性を広げるための一つの大切な手段です。特に「働く」ということについて、手帳があることで、これまで諦めていた選択肢が見えてくるかもしれません。

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