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【わかりやすく解説】障害年金とは?もらえる条件・金額・申請方法まとめ

病気やけがによって、これまで通りに仕事や生活を送ることが難しくなった時、大きな不安としてのしかかるのが経済的な問題です。療養に心精を賛したくても、収入が逐えてしまうことへの心配は、心身にとって大きな負担となります。そんな時に、私たちの生活を経済的に支えてくれる公的な制度が「障害年金」です。これは、現役世代の方でも受け取ることができる、国が定める年金制度の一つです。

この記事では、障害年金がどのような制度なのか、受給するための3つの基本条件、もらえる金額、そして複雑な申請手続きの流れまで、網網的に分かりやすく解説していきます。いざという時のために、この大切な制度について正しく理解しておきましょう。

障害年金とは?

まずは、障害年金の基本的な仕組みについて見ていきましょう。

病気やけがで生活や仕事が制限される方のための公的年金

障害年金とは、病気やけがが原因で、日常生活や仕事に支障が生じている方に対して支給される公的な年金です。年金と聞くと高齢者がもらう老齢年金をイメージしがちですが、障害年金は、現役世代で働くことが困難になった方の生活を支えるための所得保障制度であり、原則として20歳から64歳までの方が請求できます。

「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類

障害年金には、加入している公的年金制度の種類に応じて、2つのタイプがあります。どちらの年金がもらえるかは、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診察を受けた日(初診日)に、どの年金制度に加入していたかによって決まります。

精神障害や発達障害、内部疾患も対象

「障害」という言葉から、手足の障害などをイメージされる方が多いかもしれませんが、障害年金の対象はそれだけではありません。うつ病、双極性障害、統合失調症といった精神障害や、発達障害も対象となります。さらには、がんや糖尿病、心疾患などの内部疾患も含まれ、ほとんどの病気やけがが対象となり得ます。

障害年金がもらえる3つの基本条件

障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

条件1:初診日要件

初診日が確定できることが第一の条件です。初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。この初診日に、国民年金または厚生年金に加入している必要があります。

条件2:障害状態要件

障害の程度が、国が定める障害等級(障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級~3級)に該当すると認定される必要があります。この障害の状態を判断する基準となるのが障害認定日です。障害認定日は、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日と定められています。

条件3:保険料納付要件

初診日の前日において、一定期間以上、年金保険料を納めている必要があります。これには、以下の原則または特例のどちらかを満たす必要があります。

    • 原則:初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間を合わせた期間が、全体の3分の2以上あること。

 

    • 特例:初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの直近1年間に、保険料の未納がないこと。(※20歳前の傷病により障害の状態になった方の障害基礎年金には、納付要件は問われません。)

 

障害等級の認定基準について

精神の障害における認定の目安

障害年金の審査では、日本年金機構が定める「障害認定基準」に基づいて等級が判断されます。特に精神障害や発達障害の場合は、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」という2つの指標を組み合わせて、総合的に評価されます。

    • 日常生活能力の判定:食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、対人関係、安全保持、社会性といった7つの項目について、どの程度「できるか」「助言や援助があればできるか」を評価します。

 

    • 日常生活能力の程度:精神障害を5段階で評価したもので、(1)正常~(5)極めて重い、という形で総合的な状態を評価します。

 

障害の種類ごとに考慮されるポイント

審査では、診断名だけでなく、その障害の特性が日常生活や労働にどのような影響を与えているかが重視されます。

    • うつ病・双極性障害など(気分障害):思考・運動の抑制、意欲の減退、気分の波などが日常生活や就労に与える影響の度合いが考慮されます。双極性障害の場合は、躁状態と抑うつ状態の両方の状態や、それによる社会生活への影響が評価されます。

 

    • 統合失調症:幻覚・妄想といった陽性症状だけでなく、感情の平板化や意欲低下といった陰性症状が、どの程度生活を困難にしているかが総合的に評価されます。

 

    • 発達障害:コミュニケーションや対人関係の困難さ、学習や計画遂行能力の偏りなどが、社会生活や就労の場でどれほどの支障をきたしているかが重視されます。うつ病などの二次障害を発症している場合は、その状態も合わせて評価されます。

 

    • がん・内部疾患:全身の倦怠感、治療による副作用(吐き気、しびれなど)、食事制限、活動範囲の制限などが、労働能力にどう影響しているかが考慮されます。

 

障害年金の受給額はいくら?【令和6年度版】

受給できる年金額は、障害の等級や加入していた年金の種類、家族構成などによって異なります。ここでは令和6年度(2024年度)の金額を例にご紹介します。

障害基礎年金の金額(1級・2級)

  • 1級:1,020,000円(月額 85,000円)
  • 2級:816,000円(月額 68,000円)

また、18歳未満の子(障害のある子は20歳未満)がいる場合、「子の加算」が行われます。

障害厚生年金の金額(1級・2級・3級)

厚生年金に加入していた期間の長さや給与に応じて計算される「報酬比例の年金額」が基礎となり、金額は一人ひとり異なります。

    • 1級・2級:報酬比例の年金額に、障害基礎年金(1級または2級)が上乗せされます。また、条件を満たす配偶者がいる場合は「配偶者加給年金額」も加算されます。

 

    • 3級:報酬比例の年金額のみが支給されます(最低保障額あり)。

 

    • 障害手当金(一時金):3級よりやや軽い障害が残った場合に一時金として支給されます。

 

障害年金の申請方法と手続きの流れ

申請から受給までの6ステップ

  1. 年金事務所などで相談:まずは年金事務所や街角の年金相談センターで相談し、申請書類一式を受け取ります。
  2. 初診日の確認と証明:医療機関から「受診状況等証明書」を取得します。
  3. 診断書の作成依頼:障害認定日以降に、医師に診断書の作成を依頼します。
  4. 病歴・就労状況等申立書の作成:発病から現在までの経緯を具体的に記入します。
  5. 年金請求書の提出:すべての書類を揃えて、年金事務所または市区町村の役場に提出します。
  6. 審査・決定:申請から決定までには、3〜4ヶ月程度かかります。

申請における特に重要なポイント

初診日の証明は、申請における最初の、そして最大の関門となることがあります。特に初診の病院が廃院していたり、カルテの保存期間(原則5年)が過ぎていたりすると証明が難しくなります。その場合は、2番目以降に受診した病院の証明書や、お薬手帳、診察券、第三者の証言などを基に「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、申し立てを行う必要があります。

また、医師が作成する診断書は審査結果を左右する最も重要な書類です。医師によっては障害年金の制度に詳しくない場合もあるため、前述の「日常生活能力の判定」の7項目などを参考に、日常生活で困っている点を具体的にまとめたメモを渡すなど、ご自身の状態を正確に伝える努力が不可欠です。受け取った診断書に事実と異なる点や記載漏れがないか、提出前にご自身で確認することも大切です。

最重要書類「病歴・就労状況等申立書」作成のポイント

この書類は、診断書では伝わりきらない日常生活や就労上の困難さを、自分の言葉で具体的に伝える唯一の書類であり、審査に大きく影響します。日常生活の困難さ(食事、入浴、買い物など)や、就労上の支障(ミス、対人関係、勤怠状況など)について、具体例を交えて丁寧に記述しましょう。診断書の内容と矛盾がないように、正直に記入することが大切です。

申請における特に重要なポイント

障害年金に関するその他のポイント

働きながらでも受給できる?

結論から言うと、働きながらでも受給することは可能です。障害によって日常生活や労働にどれほどの支障があるかが判断基準となります。ただし、特に精神障害の場合、安定して就労できていることが「症状が軽い」と判断される一因になる可能性もあるため、会社からどのような配慮を受けているかなどを申立書で具体的に伝えることが重要です。

もし不支給(却下)になってしまったら?

障害年金の申請が不支給となっても、諦める必要はありません。いくつかの対処法があります。

    • 不支給の理由を確認:まずは年金事務所で不支給の理由を詳しく確認し、何が足りなかったのかを把握することが重要です。

 

    • 審査請求:決定に不服がある場合、結果を知った日の翌日から3ヶ月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に対して不服申し立て(審査請求)ができます。

 

    • 再審査請求:審査請求の決定にも不服がある場合は、さらに厚生労働省の社会保険審査会に対して再審査請求ができます。

 

    • 再請求:不服申し立てとは別に、改めて申請をやり直す方法です。障害の状態が悪化した後に請求する「事後重症請求」など、いくつかの方法があります。

 

手続きが複雑なため、社会保険労務士などの専門家に相談することも有効な選択肢です。

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