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【わかりやすく解説】障害福祉サービスとは?種類や利用手続き・受給者証について

障害や病気を抱えながら生活する中で、「日々の暮らしに手助けがほしい」「将来のために働く訓練がしたい」「地域で安心して暮らせる場所がほしい」など、さまざまな悩みや希望をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。そうした一人ひとりの困りごとを支え、自立した生活をサポートするために国が設けているのが「障害福祉サービス」です。障害福祉サービスは、障害のある方が地域社会の中で自分らしい生活を送るための、非常に重要な公的制度です。しかし、サービスの種類が多岐にわたり、手続きも複雑そうに感じられるため、「自分はどんなサービスを使えるの?」「どうやって申し込めばいいの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。

このコラムでは、障害福祉サービスの全体像をわかりやすく理解できるよう、制度の基本的な仕組みから、具体的なサービスの種類、利用を開始するまでの手続き、必要となる「受給者証」について、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読めば、あなたやご家族に合ったサービスを見つけ、利用に向けた第一歩を踏み出すための知識が身につきます。

障害福祉サービスとは?

障害のある方の自立と社会参加を支援する制度

障害福祉サービスは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に基づいて提供される、公的な支援制度です。この制度の根本的な目的は、障害のある方が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営むことができるよう、必要な支援を行うことにあります。単に介護を提供するだけでなく、生活能力や働くスキルを高めるための訓練、地域社会への参加を促す支援など、幅広いサービスを通じて、障害のある方一人ひとりの自立と社会参加を総合的にサポートします。利用者は、心身の状況や生活環境、サービス利用の意向などを踏まえて、必要な支援を組み合わせて利用することができます。これにより、住み慣れた地域で安心して暮らしながら、その人らしい生き方を実現することを目指します。

サービスの対象者

障害福祉サービスの対象となるのは、以下の方々です。

身体障害者
身体障害者手帳を所持している方。

 

知的障害者
療育手帳(愛の手帳、みどりの手帳など地域により名称が異なる)を所持している方、または知的障害者更生相談所などにより知的障害があると判定された方。

 

精神障害者
精神障害者保健福祉手帳を所持している方、または精神科医の診断書などにより精神障害が認められる方。これには、統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害なども含まれます。

 

発達障害者
自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)など、発達障害があると認められた方。

 

難病患者等
障害者総合支援法の対象となる特定の難病(2024年4月時点で369疾病)により、生活に支援が必要な方。

 

障害児
18歳未満の上記に該当する児童。

 

重要な点として、一部のサービスを除き、必ずしも障害者手帳の所持がサービスの利用条件となっているわけではありません。医師の診断書や専門機関の判定などに基づき、市区町村が必要性を認めればサービスを利用できる場合があります。ご自身が対象になるか不明な場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へご相談ください。

利用に必要となる障害福祉サービス受給者証

障害福祉サービスを利用するためには、原則として「障害福祉サービス受給者証(または単に受給者証)」が必要になります。これは、お住まいの市区町村から「あなたはこのサービスを利用することが認められています」という証明として交付されるものです。受給者証には、利用できるサービスの種類、支給量(月に利用できる時間や日数)、サービスの有効期間、利用者負担上限月額などが記載されています。利用者は、サービスを提供する事業所(例:訪問介護事業所、就労継続支援B型事業所など)と契約を結ぶ際にこの受給者証を提示し、記載された範囲内でサービスを利用します。

また、受給者証があることで、サービスの利用にかかる費用の自己負担は原則1割となります。さらに、世帯の所得に応じて自己負担の上限額が定められているため、安心してサービスを利用できる仕組みになっています。この受給者証は、障害福祉サービスを利用するための「許可証」であり「パスポート」のようなものと理解しておくと良いでしょう。

障害福祉サービスの2つの種類

障害福祉サービスは、その目的や内容によって、大きく「介護給付」「訓練等給付」の2つに分けられます。さらに、これらとは別に、地域での生活を支援する「地域相談支援」や「計画相談支援」などもあります。ここでは、サービスの中心となる「介護給付」と「訓練等給付」について詳しく見ていきましょう。

日常生活の支援が中心の「介護給付」

「介護給付」は、日常生活を送る上で介護を必要とする方に対して、身体的な介助や家事援助、通院のサポートなどを提供するサービスです。主に、障害支援区分(※)の認定を受けた方が対象となります。(※)障害支援区分:サービスの必要性を判断するための指標で、心身の状態に関する80項目の調査や医師の意見書などをもとに、非該当、区分1から区分6までの7段階で認定されます。数字が大きいほど、必要とされる支援の度合いが高いことを示します。

介護給付には、以下のようなサービスがあります。

居宅介護(ホームヘルプ)
自宅で生活する方のために、ヘルパーが訪問し、入浴、排せつ、食事などの身体介護や、調理、洗濯、掃除などの家事援助、通院時の介助などを行います。

 

重度訪問介護
重度の肢体不自由または知的障害・精神障害があり、常時介護を必要とする方に対して、居宅介護と同様の支援に加え、外出時の移動支援や入院中のコミュニケーション支援などを総合的に行います。

 

同行援護
視覚障害により、移動に著しい困難を有する方に対して、外出時にヘルパーが同行し、移動の援護や代筆・代読など、必要な情報の提供や視覚的情報の支援を行います。

 

行動援護
知的障害や精神障害により、行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方に対して、行動する際に生じうる危険を回避するために必要な援護や、外出時の移動支援などを行います。

 

療養介護
医療と常時介護を必要とする方(ALSなどの難病患者や重症心身障害者など)に対して、医療機関において、機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理下における介護および日常生活の世話を提供します。

 

生活介護
常時介護を必要とする方に対して、主に昼間に、障害者支援施設などで入浴、排せつ、食事などの介護や、創作的活動または生産活動の機会を提供します。

 

短期入所(ショートステイ)
自宅で介護する家族の病気や休息(レスパイト)などの理由により、一時的に介護が困難になった場合に、障害者支援施設などに短期間入所し、夜間も含めた介護を受けられるサービスです。

 

重度障害者等包括支援
常時介護を必要とする障害者のうち、意思疎通を図ることに著しい支障があるなど、複数のサービスを組み合わせて利用することが難しい方に対して、居宅介護、重度訪問介護、生活介護などを包括的に提供します。

 

施設入所支援(入所施設)
施設に入所する方に対して、主に夜間や休日に、入浴、排せつ、食事などの介護や、生活に関する相談・助言などを行います。日中は生活介護などの日中活動サービスを利用します。

 

就労や自立に向けた「訓練等給付」

「訓練等給付」は、障害のある方が自立した日常生活または社会生活を営めるよう、身体機能や生活能力の維持・向上、あるいは就労に必要な知識や能力の向上のために行われる訓練を中心としたサービスです。こちらは、必ずしも障害支援区分の認定を必要としないサービスが多く含まれます。

訓練等給付には、以下のようなサービスがあります。

自立訓練(機能訓練・生活訓練)
機能訓練:身体障害のある方に対し、理学療法士や作業療法士などの専門職によるリハビリテーションを通じて、身体機能の維持・回復を目指す訓練を行います。
生活訓練:知的障害や精神障害のある方に対し、食事や金銭管理、対人関係の構築など、自立した日常生活を送るための能力を高める訓練を行います。

 

就労移行支援
一般企業などへの就職を目指す65歳未満の障害のある方に対して、最長2年間、就職に必要な知識・スキル向上のための訓練、職場探しや実習のサポート、就職後の職場定着支援などを行います。

 

就労継続支援(A型・B型)
A型:一般企業での就労が困難な方と、事業所が雇用契約を結び、給与(最低賃金以上が保証)を得ながら働く機会を提供します。
B型:年齢や体力などの理由で雇用契約を結んで働くことが困難な方が、比較的簡単な作業などを自分のペースで行い、生産物に対する対価として「工賃」を得ながら働く訓練を行います。

 

就労定着支援
就労移行支援や就労継続支援などを利用して一般企業に就職した方が、その仕事を長く続けられるように、就職後6ヶ月を経過した時点から最長3年間、生活面や仕事上の課題について相談に乗り、企業との調整などを行うサービスです。

 

自立生活援助
一人暮らしを始めた障害のある方が、地域で安心して自立した生活を送れるよう、定期的な巡回訪問や随時の相談対応を通じて、生活上の課題を把握し、必要な助言や関係機関との連絡調整を行います。

 

共同生活援助(グループホーム)
地域社会にある住居(アパートや一戸建て)で、数人の障害のある方が共同で生活する場です。世話人などによるサポートを受けながら、食事の準備や金銭管理、健康管理など、自立した生活を送るための支援を受けられます。

 

このように、障害福祉サービスには多種多様なメニューが用意されており、利用者のニーズに応じて柔軟に組み合わせることができます。

障害福祉サービスの利用手続きの流れ

障害福祉サービスを利用するためには、お住まいの市区町村への申請が必要です。ここでは、相談から利用開始までの一般的な流れを3つのステップで解説します。

ステップ1 市区町村の窓口や相談支援事業者に相談

まず最初のステップは「相談」です。どこに相談すればよいかというと、主にお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口、または「指定特定相談支援事業者」の2つが挙げられます。

市区町村の窓口
サービスの全体像や手続きの流れについて説明を受けられます。地域の相談支援事業者を紹介してもらうこともできます。

 

指定特定相談支援事業者
障害のある方の相談に応じ、サービス利用に関する専門的なサポートを行う機関です。ここに所属する「相談支援専門員」が、あなたの心身の状況や希望を詳しくヒアリングし、どのようなサービスが必要かを一緒に考え、「サービス等利用計画案」を作成してくれます。

 

どのサービスをどのように利用すれば良いか分からない場合は、まず相談支援事業者に連絡してみるのがスムーズです。相談支援事業者は、市区町村の窓口で教えてもらえるほか、インターネットでも検索できます。

ステップ2 サービス利用の申請と計画案の作成

利用したいサービスがおおむね決まったら、市区町村の窓口でサービスの支給申請を行います。この際、前述の「サービス等利用計画案」もあわせて提出します。申請後、市区町村の認定調査員が利用者本人と面会し、心身の状況や生活環境について聞き取り調査を行います(アセスメント)。特に「介護給付」を希望する場合は、この調査結果と主治医の意見書をもとに、サービスの必要度合いを示す「障害支援区分」が判定されます。「訓練等給付」の場合は、障害支援区分の認定は原則不要ですが、サービスの利用意向や生活状況についての聞き取りは行われます。これらの調査・判定と並行して、相談支援専門員は、本人や家族と面談を重ねながら、より詳細な支援内容を盛り込んだ「サービス等利用計画」を正式に作成します。

ステップ3 支給決定と受給者証の交付

提出された申請書類、障害支援区分の判定結果、サービス等利用計画などをもとに、市区町村がサービスの支給を決定します。このプロセスには、通常1〜2ヶ月程度の時間がかかります。支給が決定されると、利用できるサービスの種類や量などが記載された「障害福祉サービス受給者証」が交付され、自宅に郵送されます。受給者証が手元に届いたら、利用したいサービスを提供している事業所(例:就労継続支援B型事業所オリーブなど)を探し、見学や体験利用を経て、契約を結びます。事業者との契約が完了して初めて、サービスの利用を開始することができます。

申請や更新に必要な書類

申請時に必要となる主な書類

障害福祉サービスの申請に必要な書類は、自治体や申請するサービスの内容によって異なりますが、一般的には以下のものが求められます。事前に市区町村の窓口で確認しておくと手続きが円滑に進みます。

  • 支給申請書:市区町村の窓口で配布されます。
  • 世帯状況・収入等申告書:利用者負担額を算定するために必要です。
  • 障害者手帳、または障害を証明する書類:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の写しなど。手帳がない場合は、医師の診断書や意見書が必要になる場合があります。
  • マイナンバー(個人番号)が確認できる書類:マイナンバーカード、通知カードなど。
  • 健康保険証
  • 印鑑
  • サービス等利用計画案:指定特定相談支援事業者に作成を依頼します。

これらの書類を準備して、市区町村の窓口に提出します。

受給者証の更新手続きと注意点

障害福祉サービス受給者証には、原則として有効期間が定められています。サービスの支給決定内容によって異なりますが、最長で3年間とされています。特に、就労継続支援や自立訓練などの訓練等給付では、1年または2年ごとの更新が必要となる場合が多いです。有効期間が終了した後もサービスの利用を継続したい場合は、有効期間が満了する前に更新手続きを行わなければなりません。多くの自治体では、有効期間終了の数ヶ月前に更新のお知らせが届きますので、案内に従って手続きを進めましょう。更新時には、再度、心身の状況やサービスの利用状況に関するアセスメントが行われ、支援の必要性が見直されます。その結果、サービスの種類や支給量が変更になる可能性もあります。更新手続きを忘れると、サービスが利用できなくなってしまうため、受給者証に記載された有効期間を必ず確認し、計画的に手続きを行うことが重要です。

自分に合った働き方を探すなら就労継続支援B型事業所オリーブへ

このコラムでご紹介したように、障害福祉サービスには生活を支えるものから、自立や就労を目指すものまで、多種多様な選択肢があります。もしあなたが、この記事を読んで「いきなり一般企業で働くのは不安だけど、社会とのつながりを持ち、働くことに慣れていきたい」と感じたのであれば、訓練等給付の一つである「就労継続支援B型」が、その第一歩として最適な選択肢かもしれません。

私たち「就労継続支援B型事業所オリーブ」は、関西(大阪、兵庫、京都、奈良)を拠点に、障害のある方一人ひとりの「働きたい」という思いを大切に育む場所です。オリーブでは、パソコンを使ったデータ入力や軽作業など、個々の興味や得意なことに合わせて作業を選べます。何よりも大切にしているのは、それぞれのペースを尊重することです。週1日・短時間の利用から始められ、通院や体調に合わせて柔軟にスケジュールを調整できます。安心して通える環境で、生活リズムを整え、働く自信を少しずつつけていくことができます。同じような目標を持つ仲間と出会えることも、大きな支えとなるでしょう。

障害福祉サービスという大きな支えを活用しながら、あなたらしい働き方を見つける旅を、私たちオリーブと一緒に始めてみませんか。見学やご相談はいつでも歓迎しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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