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発達障害の二次障害とは?原因や症状・今日からできる対処法と支援を解説

発達障害の二次障害とは?
「うつ病と診断されて治療しているけれど、根本的な生きづらさは変わらない」「人との関わりが怖くて、ひきこもりがちになっている」もしあなたが発達障害の特性を持ちながら、こうした心身の不調や社会的な困難を抱えているとしたら、それは「二次障害」が起きているサインかもしれません。二次障害は、発達障害そのものの症状ではなく、発達障害の特性と周囲の環境とのミスマッチから生じる、二次的な問題です。この二次障害のつらさが、本来の特性による困難を、さらに大きく複雑なものにしてしまうことが少なくありません。この記事では、発達障害の二次障害とは何か、その原因や具体的な症状、そして今日からできる対処法や頼れる支援機関について、分かりやすく解説します。二次障害の仕組みを理解し、適切に対処することで、つらい状況から抜け出すための一歩を踏み出しましょう。
二次障害は、発達障害のある方が経験する困難を理解する上で、非常に重要な概念です。
発達障害の特性と周囲の環境とのミスマッチから生じる心身の不調
二次障害とは、発達障害の特性そのものではなく、その特性を持つ本人が、周囲の環境や人間関係にうまく適応できない状態が続くことで、二次的に生じてくる様々な心身の不調や、社会生活上の問題を指します。例えば、ASD(自閉スペクトラム症)の特性として「場の空気を読むのが苦手」な方が、職場で「気が利かない」「協調性がない」と繰り返し叱責されたり、孤立してしまったりするとします。こうした否定的な経験が積み重なるストレスから、うつ病や不安障害といった精神疾患を発症してしまうことがあります。この場合、「うつ病」や「不安障害」が二次障害にあたります。つまり、二次障害は「本人の特性」と「環境」との間のミスマッチが、長期にわたるストレスとなって引き起こされるのです。決して、本人の「弱さ」や「性格」が原因なのではありません。
二次障害がきっかけで発達障害に気づくことも
特に「大人の発達障害」の場合、二次障害の症状で精神科などを受診し、その背景に発達障害があることが、そこで初めて分かるというケースが非常に多くあります。子どもの頃は、特性がそれほど目立たなかったり、周囲のサポートで何とか適応できていたりした方が、社会人になってから環境に適応できずに、うつ病や適応障害を発症。その治療の過程で、医師が「もしかしたら、根本的な原因は別にあるのではないか」と考え、詳しい問診や検査を経て、発達障害の診断に至るのです。つらい二次障害の症状は、自分でも気づいていなかった本来の特性を理解し、生きづらさの根本原因と向き合うための、重要なきっかけとなることもあります。
二次障害の主な症状
二次障害として現れる症状は、精神的なものから身体的なもの、行動面の変化まで、非常に多岐にわたります。
うつ病や不安障害などの精神疾患
最も代表的な二次障害が、精神疾患の発症です。周囲からの無理解や、失敗体験の積み重ねによる自己肯定感の低下が、心の健康を損なう大きな原因となります。
- 気分障害
- 持続的な気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、意欲の低下などを特徴とするうつ病や、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害など。
- 不安障害(不安症)
- 対人場面への強い恐怖を感じる社交不安障害、様々なことへの過剰な心配が続く全般不安障害、突然のパニック発作に襲われるパニック障害など。
- 適応障害
- 職場や学校など、特定の環境におけるストレスが原因で、情緒面や行動面に症状が現れる状態。
- 強迫性障害
- 不合理な考え(強迫観念)と、それを打ち消すための行動(強迫行為)を繰り返してしまう状態。
ひきこもりや依存症などの社会的な問題
精神的な不調は、行動面の変化として現れることもあります。
- ひきこもり・不登校
- 対人関係のストレスや、集団生活への不適応から、学校や職場に行けなくなり、自室や自宅から出られない状態。社会との接点を断つことで、心を守ろうとする防衛反応の一種とも言えます。
- 依存症
- アルコール、薬物、ゲーム、ギャンブルなどにのめり込み、やめたくてもやめられない状態。つらい現実から逃避したり、不安を紛らわせたりするために、特定の物質や行為に過度に依存してしまいます。
- 問題行動
- 自分の感情をうまくコントロールできなかったり、衝動的に行動してしまったりすることで、暴力や暴言、自傷行為などに至ってしまうことがあります。
頭痛や腹痛などの身体的な症状
心のストレスは、体の不調として現れることも少なくありません。これを「心身症」と呼びます。内科などを受診しても、特に異常が見つからないのに、症状が続くのが特徴です。
- 睡眠障害
- 寝付けない、途中で目が覚める、朝早く目が覚める、逆に眠りすぎてしまうなど。
- 消化器系の症状
- 慢性的な腹痛や下痢・便秘(過敏性腸症候群)、吐き気、食欲不振または過食など。
- 循環器・呼吸器系の症状
- 動悸、息苦しさ、めまい、立ちくらみなど。
- その他
- 原因不明の頭痛、倦怠感、アレルギー症状の悪化など。
発達障害の二次障害への対処法
二次障害のつらいループから抜け出すためには、どうすればよいのでしょうか。重要なのは、二次障害そのものの治療と、その根本原因である発達障害の特性へのアプローチを、同時に行っていくことです。
自身の発達障害の特性を理解する
二次障害への対処の第一歩は、その根本原因となっている、自分自身の発達障害の特性を正しく理解することです。「なぜ自分は、他の人と同じようにできないんだろう」と自分を責めるのをやめ、「自分には、こういう認知の特性があるから、こういうことが苦手なんだ」と客観的に把握することが重要です。そのためには、専門の医療機関で、知能検査(WAIS-Ⅳなど)や心理検査を受けることが非常に有効です。検査によって、自分の得意なことと苦手なこと(認知のプロフィール)が明らかになり、具体的な対策を立てるための大きなヒントが得られます。
働きやすい環境調整を行う
二次障害は、「本人」と「環境」のミスマッチから生じます。つまり、環境の方を本人に合うように調整することが、ストレスを軽減し、二次障害を防ぐ・和らげるための最も効果的な方法です。職場であれば、上司や人事に相談し、障害特性に合わせた「合理的配慮」を求めることが考えられます。
【環境調整(合理的配慮)の例】
- (ASDの感覚過敏がある方へ) 騒がしい場所が苦手なため、パーテーションのある席や、ノイズキャンセリングイヤホンの使用を許可してもらう。
- (ADHDの不注意特性がある方へ) 口頭での指示が抜けやすいため、指示はメールやチャットなど、文字で残る形で出してもらう。
- (共通) 疲れやすいため、短時間の休憩をこまめに取れるようにしてもらう。定期的な通院のための休暇を取りやすくしてもらう。
主治医や専門医に相談する
二次障害としてうつ病や不安障害などを発症している場合は、その疾患自体の専門的な治療を受けることが不可欠です。精神科や心療内科の主治医とよく相談し、必要であれば抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法を受けたり、カウンセリング(精神療法)を受けたりしましょう。「発達障害の特性だから仕方ない」と諦めて、二次障害の症状を放置してしまうと、ますます心身の状態が悪化し、回復が難しくなってしまいます。つらいときは、我慢せずに専門家の助けを求めることが大切です。
家族や身近な人ができるサポート
二次障害からの回復には、ご本人の努力や専門家の支援だけでなく、ご家族やパートナーなど、身近な人々の理解とサポートが非常に重要です。環境とのミスマッチを和らげる上で、最も身近な環境である家庭の役割は大きいと言えます。
- 特性と症状を正しく知る
- まずは、本人が抱える発達障害の特性と、二次障害の症状について正しく知ることが第一歩です。「なぜ、こんな行動をとるのだろう」という疑問が、「こういう特性があるからなんだ」という理解に変わることで、不要な衝突や叱責を減らすことができます。書籍や公的機関のウェブサイトなどで情報を得ましょう。
- 安心できる「安全基地」を作る
- ご本人にとって、家庭が心から休まる「安全基地」であることが何よりも大切です。失敗を過度に責めず、本人のペースを尊重しましょう。感覚過敏がある場合は静かな空間を確保したり、意欲が低下している時には、病院の予約や行政手続きなどを一緒に手伝ったりするなど、具体的なサポートが本人の安心につながります。
- 専門家への相談を後押しする
- ご本人が一人で悩みを抱え込んでいる場合は、専門機関への相談を一緒に検討してみましょう。「一緒に話を聞きに行くよ」という姿勢が、ご本人が一歩を踏み出す勇気になることもあります。ただし、無理強いはせず、本人の意思を尊重することが大切です。
二次障害の悩みを相談できる支援制度
二次障害の悩みや、それに伴う仕事・生活上の困難は、一人で抱え込む必要はありません。様々な専門機関が、あなたの状況に合わせたサポートを提供しています。
専門機関によるサポートを受ける
まずは、以下のような公的な相談機関に連絡してみましょう。診断の有無にかかわらず、無料で相談することができます。
- 発達障害者支援センター
- 各都道府県・指定都市に設置されている、発達障害に関する総合相談窓口。本人や家族からのあらゆる相談に応じ、適切な情報提供や支援機関への紹介を行ってくれます。
- 精神保健福祉センター
- 心の健康に関する、より専門的な相談機関。二次障害として精神疾患を抱えている場合などに、専門的なアドバイスを受けられます。
- 相談支援事業所
- 障害福祉サービスを利用したい場合に、本人に合ったサービス計画(ケアプラン)を作成し、事業所探しや利用手続きを手伝ってくれる身近なパートナーです。
就労移行支援と就労継続支援
二次障害によって働くことに困難を感じている場合、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスを利用することができます。
- 就労移行支援
- 一般企業への就職を目指す方が、最長2年間、職業訓練やビジネスマナー、体調管理の方法などを学び、就職活動から就職後の定着までを一貫してサポートしてもらえるサービスです。
- 就労継続支援(A型・B型)
- 現時点で一般企業で働くことが難しい方が、支援のある環境で働くことができるサービスです。特にB型は、体調に合わせて自分のペースで働けるため、二次障害からの回復期のリハビリの場としても有効です。
二次障害の悩みを抱えずに働ける場所 就労継続支援B型事業所オリーブ
発達障害の特性に加えて、うつ病や不安障害といった二次障害のつらさも抱えているとき。「働きたい」という気持ちとは裏腹に、「また職場で失敗して、症状が悪化したらどうしよう」「安定して通い続けられる自信がない」という大きな不安を感じるのは、当然のことです。そんな、心と体をいたわりながら、社会とのつながりをもう一度、ゆっくりと取り戻したいと願うあなたに、私たち 就労継続支援B型事業所オリーブ という選択肢があります。オリーブは、大阪、兵庫、京都、奈良の関西エリアで、障害のある方がご自身のペースを大切にしながら、安心して働ける場所を提供しています。
雇用契約を結ばないB型事業所なので、二次障害による心身の不調がある方でも、無理なく始められます。
- 週に1日、1日1時間といった、ごく短い時間からスタートできる
- 「今日はつらいので休みます」という連絡も、気兼ねなくできる
- スタッフが常にあなたの体調を気遣い、相談に乗ってくれる
- ストレスの少ない軽作業を通じて、「できた」という成功体験を積み重ねられる
二次障害の回復には、何よりも「安心できる環境」が不可欠です。オリーブは、あなたの心と体の回復を最優先に考え、あなたが再び自信を取り戻すための「居場所」となり、「働くためのリハビリの場」となることを目指しています。まずは見学から、あなたの新しい一歩を始めてみませんか。ご連絡を心よりお待ちしています。