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【発達障害】向いている仕事と適職探しのポイント|種類別の特徴と悩みも解説

「今の仕事がどうしてもうまくいかない」「自分に合う仕事なんてあるのだろうか」。発達障害のある方の中には、仕事に関してこのような深い悩みを抱えている方が少なくありません。しかし、仕事が続かなかったり、ミスが多かったりするのは、決してあなたの能力が低いからではありません。多くの場合、ご自身の「特性」と「仕事内容・職場環境」との間にミスマッチが生じていることが原因です。

この記事では、発達障害の主な種類であるASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)について、それぞれの特性と仕事で直面しやすい困りごとを詳しく解説します。その上で、ご自身の特性を強みに変え、向いている仕事を見つけるための具体的なポイントを「自己分析」「働き方の検討」「障害の開示」という3つのステップでご紹介します。

さらに、一人で悩まずに活用できるハローワークや就労移行支援事業所といった専門の支援機関についても解説します。この記事を通じて、ご自身の特性への理解を深め、あなたらしく輝ける「適職」を見つけるための一歩を踏み出してくだされば幸いです。

発達障害の種類別の特徴と仕事での悩み

発達障害と一言でいっても、その特性や現れ方は人それぞれです。仕事でどのような困難に直面しやすいかを知ることは、対策を立て、自分に合った環境を探すための第一歩となります。

ASD(自閉スペクトラム症)の特性と仕事で困る例

ASD(自閉スペクトラム症)は、主に「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定の物事への強いこだわりや関心」という2つの特性によって定義されます。知的な遅れを伴わない場合も多く、一見して障害があるとは分かりにくいため、職場では「変わった人」「空気が読めない人」と誤解されてしまうこともあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の主な特性

対人関係・コミュニケーションの困難
相手の表情や声のトーンから気持ちを汲み取ったり、言葉の裏にある意図を推測したりすることが苦手です。「あれ、やっといて」といった曖昧な指示を理解するのも困難です。

 

強いこだわり・限定的な興味
特定の手順やルールに強くこだわり、急な変更や予定外の出来事に対応するのが苦手です。一度関心を持つと驚異的な集中力と知識を発揮することがあります。

 

感覚の過敏性または鈍麻
特定の音(キーボードの打鍵音など)がひどく気になったり、蛍光灯の光が眩しすぎたり、逆に痛みや温度に鈍感だったりすることがあります。

 

仕事で困る具体的な例

  • 「報・連・相」のタイミングや必要性が分からず、自己判断で進めてトラブルになる。
  • 複数の作業を同時に行うマルチタスクが苦手で、指示されるとパニックになる。
  • 電話応対で、相手の話を聞きながらメモを取ることができない。
  • 職場の暗黙のルールや人間関係の力学が理解できず、孤立してしまう。
  • 完璧主義が強く、一つの作業に時間をかけすぎてしまい、全体の進捗が遅れる。

ASDの特性を活かせる仕事の傾向

一方で、ASDの特性は強みにもなり得ます。こだわりや集中力の高さは、正確性や緻密さが求められる仕事で大きな力を発揮します。

向いている仕事の例
プログラマー、Webデザイナー、データ入力、経理、校正・校閲、研究職、品質管理、図書館司書、倉庫でのピッキング作業など。

 

働きやすい環境のポイント
業務内容や手順がマニュアル化されている、一人で黙々と集中できる、コミュニケーションが少ない、またはテキストベース、急な変更が少ない環境。

 

ADHD(注意欠如多動症)の特性と仕事で困る例

ADHD(注意欠如多動症)は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性が特徴です。ケアレスミスや仕事の先延ばし、内面的な落ち着きのなさといった形で特性が現れ、仕事に支障をきたすことがあります。

ADHD(注意欠如多動症)の主な特性

不注意
集中力が長続きせず、単純なミスを繰り返しやすいです。忘れ物や紛失物が多く、約束や締め切りを忘れてしまうことも頻繁にあります。整理整頓も苦手な傾向があります。

 

多動性
会議中などにそわそわしたり、貧乏ゆすりをしたりと、じっとしていることが苦痛です。常に何かをしていないと落ち着かず、おしゃべりが止まらないこともあります。

 

衝動性
思ったことを深く考えずに口に出してしまったり、後先考えずに行動したりします。相手の話を遮って話し始めたり、衝動買いをしてしまったりすることがあります。

 

仕事で困る具体的な例

  • 重要な書類の作成で、ケアレスミスを連発してしまう。
  • 仕事の段取りを立てるのが苦手で、締め切り直前になって慌てる。
  • デスクの上やパソコンのデスクトップが散らかっていて、必要な書類やデータが見つからない。
  • 会議中に他のことを考えてしまい、内容が頭に入ってこない。
  • つい余計な一言を言ってしまい、上司や同僚、顧客との関係を損なう。

ADHDの特性を活かせる仕事の傾向

ADHDの特性は、見方を変えれば長所になります。好奇心旺盛で行動力があり、アイデアが豊富な点は、変化の多い仕事やクリエイティブな仕事で強みとなります。

向いている仕事の例
営業職、販売職、接客業、企画、マーケティング、商品開発、ジャーナリスト、カメラマン、デザイナー、イベントプランナー、起業家など。

 

働きやすい環境のポイント
変化や刺激が多く、ルーティンワークが少ない、自分の裁量で仕事を進められる、体を動かす機会がある、短期集中で成果を出せる環境。

 

LD・SLD(限局性学習症)の特性と仕事で困る例

LD・SLD(限局性学習症)は、全般的な知的発達に遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」といった特定の能力の習得と使用に著しい困難がある状態を指します。

LD・SLD(限局性学習症)の主なタイプと特性

読字障害(ディスレクシア)
文章を読むのに非常に時間がかかる、文字が歪んで見える、文章の意味を正確に理解することが困難。

 

書字表出障害(ディスグラフィア)
文字を正しい形やバランスで書くことが苦手、頭の中の考えを文章にまとめることが困難。

 

算数障害(ディスカリキュリア)
数の大小の理解や簡単な暗算が苦手、図形やグラフの理解が困難。

 

仕事で困る具体的な例

  • (読字障害)業務マニュアルやメールを読むのに時間がかかり、仕事がなかなか進まない。
  • (書字表出障害)報告書や議事録の作成ができない。電話を受けながらメモを取ることができない。
  • (算数障害)レジでの会計や、見積書の作成、経費の計算などが苦手。

LD・SLDの特性を活かせる仕事の傾向

LD・SLDのある方の適職探しは、「苦手なことを避け、得意なことを活かす」のが基本です。苦手な作業をテクノロジー(OS標準の読み上げ機能、スマートフォンの音声入力、電卓アプリなど)で補うことも重要です。

向いている仕事の例
(読み書きが苦手な場合)介護職、調理師、清掃員、販売員、配送ドライバー。(対人スキルが高い場合)接客業、営業職。(創造性が高い場合)デザイナー、アーティスト、美容師など。

 

働きやすい環境のポイント
苦手な作業が少ない、または代替手段が認められている、口頭でのコミュニケーションが中心、実践や経験を通じてスキルを習得できる、ICTツールの利用に理解がある環境。

 

発達障害のある方が向いている仕事を探すポイント

自分に合った仕事を見つけるためには、やみくもに求人を探すのではなく、戦略的に進めることが大切です。

自分の特性や仕事での困りごとを把握する

適職探しの最も重要な第一歩は、「自己分析」です。自分が何を得意とし、何を苦手とするのか、どのような環境で力を発揮できるのかを客観的に把握することが、ミスマッチを防ぐ鍵となります。過去のアルバイトや職務経歴を振り返り、「楽しかったこと・うまくいったこと」と「つらかったこと・失敗したこと」を書き出し、その理由を分析してみましょう。そこからあなたの「得意なこと」や「困難を感じる環境」が明らかになります。家族や友人、後述する支援機関の専門家など、第三者の視点を取り入れることも非常に有効です。

自分に合った働き方を検討する

「働く」といっても、その形は様々です。正社員としてフルタイムで働くことだけが全てではありません。契約社員やパート・アルバイト、派遣社員といった多様な雇用形態や、在宅勤務(テレワーク)、フレックスタイム制といった柔軟な勤務形態も視野に入れ、自分の特性や体調に合った働き方を探すことで、無理なく仕事を長く続けられる可能性が高まります。

障害を開示するかどうかを考える(オープン・クローズ就労)

就職活動において、自身の障害を企業に伝えるか(オープン就労)、伝えないか(クローズ就労)は、非常に重要な決断です。

オープン就労 クローズ就労
概要 障害を開示して就職(主に障害者雇用枠) 障害を非開示にして就職(一般雇用枠)
メリット 障害への理解や配慮(合理的配慮)を得やすい 求人数が多く、職種や給与の選択肢が広い
デメリット 求人数や職種が限られる傾向 障害への配慮は基本的にないため、自分で工夫する必要がある

どちらを選ぶかは、ご自身の状況や何を優先するかによって異なります。一人で悩まず、支援機関の専門家と相談しながら慎重に検討しましょう。

仕事探しで活用できる支援機関

発達障害のある方の仕事探しは、一人で進めるよりも専門家のサポートを活用する方が、はるかにスムーズで、より良い結果に繋がりやすくなります。

ハローワーク

全国のハローワークには、障害のある方の就職を専門にサポートする窓口(専門援助部門)が設置されています。障害に関する知識を持つ相談員が、一人ひとりの状況に合わせて、職業相談や求人紹介、選考対策など、きめ細やかな支援を提供してくれます。

就労移行支援事業所

一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に、就職準備から職場定着までを一貫してサポートする福祉サービスです。事業所では、ビジネスマナーやPCスキルといった職業訓練のほか、自己分析サポート、企業での職場実習、就職後の定着支援など、多様なプログラムが用意されています。

その他の支援機関

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
仕事の悩みだけでなく、金銭管理や健康管理といった生活面の悩みも一体的に相談できる機関です。

 

地域障害者職業センター
ハローワークなどと連携し、より専門的な職業評価や、リワーク支援(休職からの復職支援)などを行っています。

 

発達障害者支援センター
就労に限らず、発達障害に関するあらゆる相談に応じ、適切な関係機関へつないでくれる専門機関です。

 

これらの支援機関は互いに連携しており、相談内容に応じて適切な機関を紹介してくれることもあります。

自分の特性を活かせる仕事を見つけるなら 就労継続支援B型事業所オリーブへ

ここまで、適職探しのポイントや支援機関について解説してきました。しかし、「すぐに一般企業で働くのは自信がない」「社会との接点を持ちながら、自分のペースで働ける場所がほしい」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方には、「就労継続支援B型事業所」が、次へのステップに進むための大切な居場所となる可能性があります。就労継続支援B型事業所は、障害や病気により一般企業での就労が困難な方が、支援を受けながら軽作業などを行い、工賃を得ることができる福祉サービスです。

私たち「就労継続支援B型事業所オリーブ」は、関西(大阪、兵庫、京都、奈良)を中心に、発達障害を含む様々な障害のある方が安心して通える事業所を運営しています。データ入力や軽作業、創作活動など、多岐にわたる作業の中から、あなたの得意なことや興味のあることを選んで取り組むことができます。週1日・短時間の利用から始めることも可能です。経験豊富な支援員が常にそばにいるため、仕事で困ったことや生活上の不安などをいつでも相談できる安心の環境です。オリーブでの活動を通じて、働く自信と生活リズムを取り戻し、あなたの「好き」や「得意」を再発見してみませんか。

見学やご相談は随時受け付けております。まずはお気軽にご連絡ください。

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