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メニエール病とは?症状や原因・仕事での対処法や利用できる支援制度を解説

ある日突然、周りの景色がぐるぐる回る、立っていられないほどの激しいめまいに襲われる。同時に、耳鳴りや耳が詰まった感じがして、吐き気もする…。そんな恐ろしい発作を繰り返すのが「メニエール病」です。

いつ起こるか分からない発作への恐怖は、仕事や日常生活に大きな支障をきたし、「また発作が起きたらどうしよう」という不安から、外出することさえ怖くなってしまう方も少なくありません。

この記事では、メニエール病の代表的な症状や原因、そして専門的な治療法について詳しく解説します。さらに、多くの方が悩む仕事との両立のための具体的な対処法や、利用できる経済的な支援制度についても、分かりやすくご紹介します。

メニエール病は、正しい知識を持ち、適切に対処することで、症状と上手く付き合いながら、自分らしい生活を送ることが可能です。一人で悩まず、まずは病気について知ることから始めましょう。

メニエール病とは?

激しいめまいや難聴などを繰り返す内耳の病気

メニエール病は、激しい回転性のめまい発作に、難聴や耳鳴りといった聞こえの症状が伴い、これらの発作を繰り返すことを特徴とする内耳の病気です。私たちの内耳は、「聞こえ」を司る「蝸牛(かぎゅう)」と、「平衡感覚(バランス)」を司る「前庭(ぜんてい)」という2つの重要な器官から成り立っています。これらの器官は、「内リンパ液」という液体で満たされており、この液体の流れによって音や体の傾きを感知しています。メニエール病は、この内リンパ液が過剰に溜まってしまう「内リンパ水腫(すいしゅ)」の状態になることで、蝸牛と前庭の両方の機能が障害され、めまいと聞こえの症状が同時に起こると考えられています。

メニエール病の主な原因

なぜ、内リンパ水腫が起こるのか、その根本的な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、発症の背景には、以下のような要因が複雑に関係していると考えられています。

ストレス
仕事や家庭における精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、内耳の血流を悪化させるなどして、発症の大きな引き金になると言われています。

 

睡眠不足・疲労
慢性的な睡眠不足や、肉体的な疲労の蓄積も、自律神経やホルモンバランスに影響を与え、発症に関与すると考えられています。

 

性格傾向
几帳面で、真面目、完璧主義な性格の人は、ストレスを溜め込みやすく、メニエール病になりやすい傾向があるとも言われています。

 

気圧の変化
天候の変化など、気圧の変動が症状の引き金となることもあります。

 

一般的に、30代から50代の女性にやや多く見られる傾向がありますが、性別や年齢に関わらず、誰にでも起こりうる病気です。

メニエール病の主な症状

メニエール病の症状は、発作時に現れるものと、発作を繰り返すことで慢性化するものがあります。代表的な症状は以下の通りです。

回転性のめまい

メニエール病の最もつらい症状の一つが、自分や周りの景色がぐるぐる回る、激しい回転性のめまいです。前触れなく突然起こることが多く、数十分から数時間、長い場合は半日以上続くこともあります。めまいがひどいときは、立っていることはもちろん、座っていることさえ困難になります。

耳鳴り・難聴

めまい発作と連動して、聞こえの症状が現れるのがメニエール病の大きな特徴です。

耳鳴り
「ジー」「キーン」といった音が聞こえる耳鳴りが起こります。めまいの前兆として現れることもあります。

 

難聴
特に低い音域が聞こえにくくなるのが特徴です。発作時には症状が悪化し、発作が治まると改善するという、症状の「波」が見られます。

 

耳閉感(じへいかん)
耳が詰まったような、圧迫されるような感覚を伴います。

 

発作を繰り返すうちに、難聴や耳鳴りが慢性化し、聴力が徐々に低下していくケースもあるため、早期の治療が重要です。

吐き気や冷や汗

激しいめまい発作に伴い、強い吐き気や嘔吐、顔面蒼白、冷や汗、動悸といった、自律神経の症状が現れます。これらの症状が、めまいの恐怖や苦痛をさらに強めることになります。

発作の経過と段階

メニエール病の発作は、大きく分けて3つの段階で経過することがあります。

前兆期
めまい発作が起こる前に、耳鳴りが大きくなったり、耳閉感が強まったりといった前触れの症状が現れることがあります。

 

めまい発作期
激しい回転性のめまいと、吐き気・嘔吐などの自律神経症状に襲われます。この時期は、できるだけ安静にして、症状が過ぎ去るのを待つことが基本となります。

 

回復期・間欠期
激しいめまいが治まった後も、体がフワフワするような浮動感や、倦怠感が数時間から数日間続くことがあります。その後、症状が全くない「間欠期」に入りますが、いつ次の発作が起こるか分からないという不安を抱えながら生活することになります。

 

メニエール病の診断と治療法

メニエール病が疑われる場合、耳鼻咽喉科を受診します。診断と治療は、どのように行われるのでしょうか。

メニエール病の診断方法

メニエール病の診断は、特徴的な症状の問診と、聴力検査などの結果を総合して行われます。「反復するめまい発作」に、「難聴・耳鳴りなどの聴覚症状」が伴うこと、そして、他のめまいを引き起こす病気(脳の病気や他の内耳の病気など)ではないことを確認した上で、診断が下されます。聴力検査では、特に低音域の聴力低下が見られるかどうかが、診断の重要な手がかりとなります。必要に応じて、体のバランスを調べる平衡機能検査や、内リンパ水腫の状態を評価するための検査が行われることもあります。

薬物療法

治療の基本は、薬物療法です。発作時のつらい症状を抑える薬と、発作を予防するための薬を、症状の段階に合わせて使い分けます。

発作時
めまいを抑える抗めまい薬、吐き気を抑える制吐薬、不安を和らげる抗不安薬などが用いられます。

 

予防(発作間欠期)
内リンパ水腫を改善する目的で、利尿薬や血流改善薬、ビタミン剤などが用いられます。

 

規則正しい生活習慣

薬物療法と並行して、発作の引き金となる要因を減らすための、生活習慣の改善が非常に重要です。

ストレス管理
自分なりのストレス解消法を見つけ、心身の緊張を和らげる。

 

十分な睡眠と休養
睡眠不足や過労を避け、規則正しい生活リズムを保つ。

 

適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動は、全身の血流を改善し、自律神経を整える効果が期待できます。

 

バランスの取れた食事
特に、水分を適切に摂取することが推奨されています。

 

仕事をする上での対処法

いつ起こるか分からない発作への不安は、仕事に大きな影響を与えます。ここでは、病気と付き合いながら、安心して働き続けるための工夫をご紹介します。

周囲の理解を得る

メニエール病の症状は、外見からは分かりにくいため、周りから「怠けている」「やる気がない」と誤解されがちです。可能であれば、信頼できる上司や同僚、人事担当者に、ご自身の病状について説明し、理解と協力を求めることが大切です。その際、医師に診断書や、働く上で必要な配慮について書かれた意見書を作成してもらうと、客観的な事実として伝えやすくなります。「発作時には〇〇のような症状が出ること」「発作が起きた際は、安全な場所で少し休ませてほしいこと」などを具体的に伝えましょう。

働き方を調整する

発作のリスクを減らし、安心して業務に取り組めるよう、働き方を調整することも重要です。

業務内容の変更を相談する
めまい発作が起きると危険な、高所での作業や、機械の操作、自動車の運転などを伴う業務は避ける必要があります。デスクワークなど、比較的体の動きが少ない業務への配置転換を相談してみましょう。

 

通勤方法や勤務時間を見直す
満員電車での通勤が負担になる場合は、時差出勤やフレックスタイム制度、在宅勤務(リモートワーク)などを活用できないか、会社に相談してみましょう。

 

ストレスの少ない環境を整える
過度なプレッシャーや、厳しいノルマ、頻繁な配置転換などは、症状の悪化につながります。可能な範囲で、業務負荷や人間関係のストレスが少ない環境を整えてもらうよう、お願いしてみましょう。

 

休職することも視野に入れる

発作が頻繁に起こり、どうしても仕事を続けるのが困難な場合は、無理をせず、休職して治療に専念することも、前向きな選択肢の一つです。心身の状態をしっかりと回復させることが、結果的に、長く働き続けることにつながります。休職中は、後述する「傷病手当金」などの制度を利用できる場合があります。

メニエール病の方が利用できる支援制度

メニエール病は、その治療が長期にわたることなどから、国の「指定難病」に定められています。そのため、様々な公的な支援制度を利用できる可能性があります。

医療費助成制度

メニエール病が、一定の重症度基準を満たすと認定された場合、「特定医療費(指定難病)助成制度」の対象となります。この制度を利用すると、医療費の自己負担額が、所得に応じて定められた上限額までとなり、経済的な負担が大きく軽減されます。申請はお住まいの地域の保健所などで行います。

障害者手帳

メニエール病による難聴や平衡機能障害の程度が、定められた基準に該当する場合、「身体障害者手帳」を取得できる可能性があります。手帳を取得すると、税金の控除や、公共交通機関・公共施設の割引など、様々な福祉サービスを受けることができます。

障害年金

メニエール病の症状によって、日常生活や仕事に著しい制限が生じている場合、「障害年金」の支給対象となる可能性があります。障害年金は、現役世代でも受け取れる公的な年金で、生活を下支えする重要な支えとなります。

メニエール病と付き合いながら働くなら 就労継続支援B型事業所オリーブへ

メニエール病のいつ起こるか分からない発作への不安は、「毎日決まった時間に出勤する」「決められた業務をこなす」といった、一般的な働き方を困難にさせることがあります。

「発作が怖くて、働く自信がない」「症状に理解のある環境で、自分のペースで働きたい」。もしあなたが、そんな悩みを抱えているなら、私たち「就労継続支援B型事業所オリーブ」という選択肢があります。

オリーブは、大阪、兵庫、京都、奈良の関西エリアで、メニエール病をはじめ、様々な病気や障害のある方の「働きたい」という気持ちをサポートしています。雇用契約を結ばずに利用できるB型事業所なので、あなたの体調を最優先した、柔軟で安心できる働き方が可能です。

自分のペースで通える
週1日・1時間からでもスタートでき、体調が悪い日は無理なく休めます。

 

発作への不安が少ない
デスクワーク中心の軽作業が多く、危険な作業はありません。発作が起きても、支援員がすぐに対応できる安心の環境です。

 

安定した環境
頻繁な業務変更や人間関係のストレスが少なく、落ち着いて作業に取り組めます。

 

まずは、働くことへの不安を和らげ、生活のリズムを取り戻すことから始めてみませんか。オリーブは、あなたが病気と上手く付き合いながら、社会とのつながりを築くための、安全な一歩を応援します。

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