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身体障害とは?種類別の症状や仕事・就職で利用できる支援を解説

「身体障害」と一言でいっても、その種類や症状、一人ひとりが抱える困難は様々です。目に見える障害もあれば、外見からは分かりにくい内部障害もあります。そのため、ご自身に合ったサポートや働き方を見つけるには、まず「身体障害」の全体像を正しく理解することが不可欠です。

この記事では、身体障害者福祉法で定められている障害の種類ごとの症状から、生活や仕事を支える公的な制度、そして就職・転職の際に頼りになる専門の支援機関まで、幅広く、そして深く掘り下げて解説します。ご自身やご家族が身体障害と向き合っている方はもちろん、職場や地域で身体障害のある方と関わる全ての方にとって、理解を深め、適切なサポートへと繋げるための一助となれば幸いです。

身体障害とは?

身体の機能に永続的な障害がある状態

身体障害とは、病気やケガなどが原因で、身体の機能の一部に永続的な、一定以上の不自由さがある状態を指します。法律(身体障害者福祉法第4条)では、「身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」と定義されています。つまり、医師による医学的な診断だけでなく、その診断に基づき行政的な認定(身体障害者手帳の交付)を受けて初めて、法律上の「身体障害者」となります。なお、18歳未満の場合は児童福祉法に基づいた支援の対象となります。

障害の原因は、出生前の要因による先天的なものと、人生の途中での病気(脳卒中や心疾患など)や事故(交通事故による脊髄損傷など)が原因となる後天的なものがあります。加齢に伴う身体機能の低下も、一定の基準を満たせば身体障害として認定されることがあります。

身体障害の主な種類と症状

身体障害者福祉法では、身体障害を大きく5つの種類に分類しています。ここでは、それぞれの種類ごとの代表的な症状や特徴、そしてどのような配慮が考えられるかを解説します。

1. 視覚障害

視覚(ものを見る機能)に障害がある状態で、「視力障害」と「視野障害」に大別されます。

視力障害
眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が弱い状態です。全く見えない「全盲」から、光を感じる程度の「光覚」、ぼんやりと見える「弱視(ロービジョン)」まで、見え方は人それぞれです。

 

視野障害
見える範囲(視野)が狭くなる状態です。視野の中心が見えにくい「中心暗点」、視野の一部が欠ける、視野全体が狭くなる「視野狭窄」などがあります。

 

文字の読み書きや移動に困難が生じることがあるため、仕事では音声読み上げソフトの活用、拡大鏡や拡大読書器の設置、書類の文字を大きくしたり電子データで提供したりするなどの配慮が有効です。

2. 聴覚または平衡機能の障害

音を聞く機能や、体のバランスを保つ機能の障害です。

聴覚障害
音が聞こえにくい、または全く聞こえない状態です。補聴器や人工内耳を使用する人もいますが、聞こえ方には個人差があります。コミュニケーション手段として、口の動きを読む「口話」、文字で伝える「筆談」、手話などを用います。

 

平衡機能障害
主な症状は「めまい」で、まっすぐ立ったり歩いたりすることが困難になる場合があります。外見から分かりにくいため、必要な配慮が得られにくいという側面もあります。

 

仕事では、口頭での指示と合わせてチャットやメールで内容を伝える、会議の内容を文字で要約する(文字起こし)、電話対応を他の社員が代わるなどの配慮が考えられます。

3. 音声・言語・そしゃく機能の障害

話す、言葉を操る、食べるといった口周りの機能に関する障害です。

音声機能障害
声帯の異常などにより、声を出すことが難しい状態です。

 

言語機能障害
脳卒中後の失語症など、脳の損傷によって「話す・聞く・読む・書く」能力に困難が生じる状態です。

 

そしゃく機能障害
食べ物を噛み砕くことが難しく、食事に特別な調理が必要な場合があります。

 

業務上のコミュニケーションでは、筆談やコミュニケーション支援アプリ、PCのチャット機能などを活用することで、円滑な意思疎通を図ることができます。

4. 肢体不自由

手・足・体幹(胴体)の運動機能に永続的な障害がある状態で、身体障害の中で最も多くの人が該当します。障害の部位や麻痺の範囲(片麻痺、四肢麻痺など)によって症状は様々です。原因は脳性まひ、脊髄損傷、関節リウマチ、手足の切断など多岐にわたります。車椅子や杖、義手・義足などの補装具を使用する人も多くいます。

仕事では、職場のバリアフリー化(スロープの設置、通路幅の確保)、机や椅子の高さ調整、PCの入力補助装置の導入、在宅勤務の許可などが有効な配慮となります。

5. 内部障害(見えない障害)

心臓や腎臓、呼吸器など、体の内部にある臓器の機能に障害がある状態です。外見から分かりにくいため、「見えない障害」とも呼ばれ、周囲に気づかれにくく、必要な配慮が得られない困難を抱えることがあります。身体障害者福祉法では以下の7種類が定められています。

障害の種類 主な特徴・症状
心臓機能障害 心臓のポンプ機能が低下し、動悸や息切れ、むくみが生じやすい。ペースメーカー等を使用している人もいる。
じん臓機能障害 腎臓の働きが悪く、人工透析を定期的に受ける必要がある人も多い。
呼吸器機能障害 肺の機能が低下し、少しの動作で息切れする。在宅酸素療法が必要な人もいる。
ぼうこう・直腸機能障害 尿や便の排泄コントロールが難しい。人工肛門(ストーマ)や人工膀胱を造設している人もいる。
小腸機能障害 栄養の吸収ができず、中心静脈栄養などが必要になる。
肝臓機能障害 肝臓の機能が低下し、日常生活に著しい制限を受ける。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害 免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなる。

内部障害のある方は、疲れやすさや体力的な制限、定期的な通院への配慮が不可欠です。通勤ラッシュを避けるための時差出勤、通院日の中抜けや休暇の許可、休憩スペースの確保などの配慮が求められます。

身体障害のある方が暮らしを支えるために利用できる制度

身体障害のある方が安心して生活を送るために、様々な公的制度が用意されています。ここでは基本となる3つの制度を解説します。

1. 身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体障害があることを法的に証明するもので、様々な福祉サービスや支援を受けるための「パスポート」のような役割を果たします。障害の程度に応じて1級から6級までの等級があります。

手帳で受けられるサービスの例

  • 税金(所得税、住民税など)の控除・減免
  • 医療費の助成
  • 公共交通機関の運賃割引
  • 高速道路料金の割引
  • 補装具(義肢、車椅子など)の購入費用の助成
  • 障害者雇用枠での就労

手帳の申請手続きの流れ

    1. 相談: まずは市区町村の障害福祉担当窓口に相談します。
    2. 診断書の取得: 窓口で「身体障害者診断書・意見書」の様式を受け取り、指定医の資格を持つ医師に作成を依頼します。
    3. 申請: 診断書、申請書、写真などを揃えて、再度窓口に提出します。
    4. 審査・交付: 専門機関による審査を経て、障害等級が決定され、手帳が交付されます。

 

2. 障害年金

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事が制限される場合に受け取れる公的な年金で、生活の経済的な基盤となります。加入している年金制度により「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。

受給には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 初診日要件: 障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診療を受けた日(初診日)が証明できること。
  • 保険料納付要件: 初診日の前日において、一定期間以上、国民年金や厚生年金の保険料を納めていること。
  • 障害状態要件: 障害認定日(初診日から1年6ヶ月後など)に、法令で定められた障害の状態にあること。

手続きは複雑なため、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

3. 更生医療(自立支援医療)

更生医療は、身体障害者手帳を持つ18歳以上の方を対象に、障害を軽減・改善する手術などの医療費の自己負担を軽減する制度です。原則として医療費の自己負担が1割になります(所得に応じた上限額あり)。人工関節置換術、ペースメーカー埋め込み術、人工透析療法などが対象となります。

身体障害のある方の「働き方」と「仕事探し」の支援

身体障害のある方が能力を活かして働くための「働き方」の選択肢と、それを支える支援機関について解説します。

「オープン就労」と「クローズ就労」

障害のある方の働き方は、障害を開示するか否かによって「オープン就労」と「クローズ就労」に大別されます。

オープン就労
企業に自身の障害を開示して就職する働き方です。障害者雇用枠での応募がこれにあたります。障害への理解や必要な配慮(合理的配慮)を得やすく、安定して働き続けやすいメリットがあります。

 

クローズ就労
障害を企業に開示せずに就職する働き方です。一般の求人に応募します。職種の選択肢が広いメリットがありますが、障害への配慮は得にくく、自己管理がより重要になります。

 

どちらが良いかは個人の状況や考え方によります。支援機関と相談しながら、自分に合った働き方を選択することが大切です。

仕事や就職をサポートする専門機関

障害のある方の就労を支援する専門機関が全国に設置されています。

ハローワーク(専門援助部門)
障害のある方のための専門窓口があり、専門知識を持つ職員が職業相談や紹介を行います。障害者向けの求人情報が豊富で、最も身近な相談窓口です。

 

障害者職業センター
ハローワークと連携し、職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援といった専門的な支援を提供します。就職から職場定着までを一貫してサポートする機関です。

 

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
仕事(就業)と日常生活(生活)の両面から一体的なサポートを行う身近な相談窓口です。健康管理や金銭管理など、安定して働くための生活上の課題も相談できます。

 

福祉サービスを利用して働く選択肢

すぐに一般企業で働くことに不安がある場合、障害福祉サービスを利用して働く準備をすることも有効な選択肢です。

就労移行支援
一般就労を目指す障害のある方が、職業訓練や職場探し、職場定着支援などを受けられるサービスです。原則2年間利用でき、働くためのスキルや知識を身につけます。

 

就労継続支援(A型・B型)
一般企業で働くことが現時点では難しい方を対象に、サポートを受けながら働く機会を提供します。

 

A型(雇用型)
事業所と雇用契約を結び、最低賃金が保障されます。

 

B型(非雇用型)
雇用契約は結ばず、体調に合わせて自分のペースで働けます。生産活動への対価として「工賃」が支払われます。

 

自分に合った働き方を探すなら 就労継続支援B型事業所オリーブへ

ここまで、身体障害の種類や利用できる制度、多様な働き方について解説してきました。「選択肢は分かったけれど、今の自分に何が合うか分からない」「いきなり一般就労を目指すのは体力的に不安だ」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そのような時は、まず就労継続支援B型事業所オリーブで、ご自身の心と体のペースを最優先にしながら、「働く」という一歩を踏み出してみませんか。

オリーブは、障害や心身の不調を抱える方が、安心して無理なく働ける場所です。

一人ひとりの身体状況に合わせた合理的配慮
車椅子をご利用の方でも作業しやすいデスクの高さ調整や、内部障害などで疲れやすい方のための休憩スペースの確保など、この記事で解説したような、個別の状況に合わせた環境を整えます。

 

自分のペースで働ける安心感
週1日、1日1時間といったごく短時間の利用からスタートできます。体調が優れない日は、気兼ねなく休むことができます。

 

多様な作業内容
パソコンでのデータ入力や、軽作業、創作活動など、あなたの興味や得意なことに合わせて作業内容を選べます。

 

経験豊富なスタッフによる伴走サポート
仕事のことはもちろん、障害に関する悩みや利用できる制度について、経験豊富なスタッフが親身に相談に応じます。

 

まずはB型事業所であるオリーブで心身を安定させ、働くリズムを掴む。そして自信がついたら、就労移行支援やA型事業所、一般就労へとステップアップしていく。そんな未来も、私たちと一緒に描くことができます。

見学や体験利用は随時受け付けております。あなたに合った働き方を、私たちと一緒に見つけていきましょう。ご連絡を心よりお待ちしております。

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