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難病・指定難病とは?違いや医療費助成の申請方法・相談先を解説

「難病」という言葉を聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。「原因が分からず、治療法もない、大変な病気…」と、漠然とした不安を感じる方が多いかもしれません。そして、ご自身やご家族が診断を受けたとき、今後の治療や生活、そして医療費のことなど、様々な悩みに直面し、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。しかし、日本では、そうした難病と共に生きる方々を支えるための、大切な制度が用意されています。その鍵となるのが「指定難病」という言葉です。この記事では、「難病」と「指定難病」の明確な違いから、経済的な負担を大きく軽減できる「医療費助成制度」の仕組み、そして具体的な申請方法や相談先まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読んで、正しい知識を身につけ、利用できるサポートを最大限に活用することで、病気と向き合いながら、あなたらしい生活を送るための一歩を踏み出しましょう。

難病・指定難病とは?

難病の定義

「難病」とは、一般的に「治りにくい病気」全般を指す言葉として使われますが、「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)では、以下の4つの要件をすべて満たすものと定義されています。

  1. 発病の機構が明らかでない(原因が不明である)
  2. 治療方法が確立していない
  3. 希少な疾病である(患者数が少ない)
  4. 長期の療養を必要とする

つまり、原因がはっきりせず、決定的な治療法がなく、患者さんの数が少ないため、長く病気と付き合っていく必要がある病気の総称が「難病」です。

指定難病の定義

「指定難病」とは、上記の「難病」の4つの要件に加えて、さらに以下の2つの要件を満たすものの中から、国(厚生労働大臣)が指定した病気のことです。

  • 患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
  • 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること

この「指定難病」に認定されると、後述する医療費助成制度の対象となります。指定難病の種類は、医学の進歩などに応じて定期的に見直されており、2024年4月1日現在、341疾病が指定されています。

難病と指定難病の違い

2つの言葉の関係性は以下のようになります。

難病 指定難病
位置づけ 法律で定義された「治りにくい病気」の総称 「難病」の中から、国が 指定 したもの
特徴 原因不明、治療法未確立、希少、長期療養 上記に加えて、患者数が一定以下で、客観的な診断基準がある
ポイント 広いくくりでの法律上の概念 医療費助成の対象 となる病気のリスト

つまり、「指定難病」は、「難病」という大きな枠組みの中に含まれる、特に支援の対象として国に選ばれた病気群、と理解すると分かりやすいでしょう。

難病の症状や種類

指定難病だけでも341疾病あるように、その症状は非常に多岐にわたります。神経・筋系、視覚系、皮膚・結合組織系、消化器系、内分泌系など、身体のあらゆる部分に様々な症状が現れます。

また、難病の多くが、外見からは分かりにくい「見えない障害」であることも大きな特徴です。体の中では痛みやだるさ、機能の低下といったつらい症状があっても、周りの人からは健康そうに見えるため、「怠けている」「わがままを言っている」などと誤解され、精神的な苦痛を感じる方も少なくありません。

指定難病の医療費助成制度

指定難病と診断された方が受けられる最も重要な支援が、経済的な負担を軽減するための「医療費助成制度」です。

医療費助成の対象者

医療費助成の対象となるのは、以下の両方の条件を満たす方です。

  • 「指定難病」と診断されていること
  • 以下のいずれかに該当すること
    • 病状の程度が、国が定める重症度分類に照らして、一定程度以上である
    • 重症度に該当しなくても、治療にかかる医療費の総額が高額である(月33,330円を超える月が、申請月以前の1年間で3回以上ある場合など。これを「軽症高額」と呼びます)

医療費助成の仕組みと自己負担額

この制度を利用すると、医療費の自己負担割合が、通常の3割(または2割・1割)から一律で2割に軽減されます。さらに、世帯の所得に応じて「自己負担上限月額」が定められており、1ヶ月の医療費の合計額が、その上限を超えた場合は、それ以上の支払いは不要になります。

階層区分 世帯の所得 自己負担上限月額
生活保護 0円
低所得Ⅰ 市町村民税非課税(本人年収~80万円) 2,500円
低所得Ⅱ 市町村民税非課税(本人年収80万円超~) 5,000円
一般所得Ⅰ 市町村民税課税(課税所得145万円未満) 10,000円
一般所得Ⅱ 市町村民税課税(課税所得145万円以上~380万円未満) 20,000円
上位所得 市町村民税課税(課税所得380万円以上) 30,000円

この制度のおかげで、高額な治療が必要な場合でも、安心して医療を受け続けることができます。

高額かつ長期の特例

さらに、医療費の負担が特に大きい方のために、「高額かつ長期」という特例があります。これは、医療費助成の対象となった月から、医療費総額(10割分)が5万円を超える月が年6回以上ある場合に、申請することで自己負担上限月額がさらに引き下げられる制度です。ご自身の医療費の状況を確認し、該当する場合は窓口に相談してみましょう。

対象となる指定医療機関と難病指定医

この医療費助成は、どこの医療機関でも受けられるわけではありません。都道府県や指定都市から「指定医療機関」として指定された病院、クリニック、薬局、訪問看護ステーションでのみ利用できます。また、助成の申請に必要不可欠な診断書(臨床調査個人票)は、専門的な知識を持つ「難病指定医」でなければ作成することができません。まずは、かかりつけ医に相談し、指定医療機関や難病指定医を紹介してもらうとよいでしょう。

医療費助成の申請方法

医療費助成は、自動的に受けられるわけではなく、ご自身で申請手続きを行う必要があります。

ステップ1:都道府県の窓口へ確認

まず、お住まいの地域を管轄する都道府県・指定都市の担当窓口(保健所や市区町村の担当課など)に連絡し、申請に必要な書類や手続きの詳細を確認します。

ステップ2:難病指定医を受診し、書類作成を依頼

次に、難病指定医のいる指定医療機関を受診し、申請に必要となる「臨床調査個人票」という、病状などを詳しく記載した診断書の作成を依頼します。この書類は、助成の認定審査で最も重要な書類となるため、作成に時間がかかる場合もあります。早めに依頼しましょう。

ステップ3:必要書類を窓口へ提出

ステップ1で確認した窓口に、必要書類を提出します。

【主な必要書類】

  • 申請書(窓口で受け取ります)
  • 臨床調査個人票(難病指定医が作成)
  • 健康保険証のコピー
  • 世帯の所得を確認できる書類(課税証明書など)
  • マイナンバーが確認できる書類 など

ステップ4:医療受給者証の交付と「償還払い」

申請書類が受理され、審査で認定されると、後日、都道府県から「医療受給者証」が郵送で交付されます。申請から交付までは数ヶ月かかることもありますが、その間に支払った医療費は、後から払い戻しを受けられる「償還払い」という制度があります。領収書は必ず保管しておきましょう。今後、指定医療機関や指定薬局で医療を受ける際には、健康保険証と一緒にこの「医療受給者証」を窓口に提示することで、助成が適用されます。

難病に関する相談窓口

病気の診断を受け、様々な手続きを進める中で、多くの不安や疑問が出てくると思います。そんな時は、一人で抱え込まずに、専門の相談窓口を頼りましょう。

難病相談支援センター

各都道府県・指定都市に設置されている、最も身近な相談窓口です。難病に関する専門的な知識を持つ相談員(保健師など)が、療養生活上の悩みや、利用できる福祉サービスの紹介、就労に関する相談など、幅広く無料で応じてくれます。

難病情報センター

国からの委託を受けて運営されている、信頼性の高い情報提供サイトです。各指定難病の病気の概要や、最新の治療法、医療費助成制度の詳細など、正確な情報をいつでもインターネットで調べることができます。

難病の患者団体

同じ病気や、似たような症状を持つ患者さんやその家族が集まって作っている団体です。同じ立場の人同士でなければ分からない悩みを共有したり、情報交換をしたりすることで、「一人じゃない」という安心感を得ることができます。

難病のある方が利用できる福祉・就労支援サービス

障害者総合支援法に基づくサービス(障害者手帳)

難病と診断された方は、その症状や状態によって、「障害者手帳」の交付対象となる場合があります。身体の機能障害(内部障害など)があれば身体障害者手帳、精神的な症状を伴う場合は精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。手帳を取得することで、障害者雇用枠での就労や、税金の控除、公共料金の割引、そして就労継続支援などの障害福祉サービスを利用できるようになります。

ハローワーク・地域障害者職業センターなど

障害のある方向けの専門窓口があるハローワーク、より専門的な職業リハビリテーションを行う地域障害者職業センター、仕事と生活を一体的に支援する障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)、治療と仕事の両立をサポートする産業保健総合支援センターなど、就労を支える機関が多数あります。

就労移行支援事業所

一般企業への就職を目指す方が、必要なスキルを身につけるための訓練を受ける場所です。

自分のペースで仕事や社会参加を目指すなら就労継続支援B型事業所オリーブへ

「病気の治療が最優先だけど、社会とのつながりも持ち続けたい」

「体調に波があるから、フルタイムで働くのは難しい…」

難病のある方にとって、働くことは、経済的な自立だけでなく、生きがいや社会参加という面でも非常に重要です。しかし、症状や通院などと両立しながら働くことには、多くの困難が伴います。

そんな時、あなたの「働きたい」という気持ちを、あなたのペースで実現できる場所が、私たち就労継続支援B型事業所オリーブです。

オリーブは、障害や難病のある方が、雇用契約を結ばず、ご自身の体調を最優先しながら、軽作業やPC入力などの生産活動に取り組める福祉事業所です。

体調に合わせた柔軟な働き方
週に1日、1時間だけの利用からでも大丈夫です。通院や体調が優れない日は、気兼ねなく休むことができます。

 

「見えない障害」への理解
オリーブのスタッフは、外見からは分かりにくい難病のつらさや、日によって変動する体調について、深い理解を持っています。安心して、ありのままのあなたで過ごせる場所です。

 

社会とのつながりを実感
簡単な作業を通して誰かの役に立ったり、仲間と会話をしたりすることで、社会的な孤立感を和らげ、日々の生活にハリが生まれます。

 

経済的なプラスアルファ
オリーブでの生産活動に対して支払われる「工賃」は、障害年金や助成金に加えて、あなたの生活に少しのゆとりをもたらします。

 

治療と両立しながら、社会とのつながりを持ち、働く喜びを感じる。そんな自分らしい一歩を、オリーブで踏み出してみませんか。まずは見学から、お気軽にお問い合わせください。あなたのことを心からお待ちしております。

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